少女との出会い
目が覚めた。気づけば、凄い量の汗をかいていた。まだ、忘れられない。忘れない。忘れてはいけない。このトラウマは俺が一生背負っていくべき罪の証だ。
「まだ、夜中か...。」
俺が音を立てて、メル達を起こすわけにはいかない。仕方なく、もう一度目を閉じる。
またひとつ夢を見た。そこには血塗れの少年がいた。その少年は、誰にも見つからないように自力で森の奥へと入り込み、そこで意識を失ったのだ。血塗れと言ったが、致命傷は負っていなかった。ほとんどが返り血で、自分の血は死ぬほどは流れていなかった。そこへひとり少女がやって来た。その少女はその少年を見るなり走り寄り、声を掛けた。
「怪我してるの?大丈夫?」
少年はうっすら半目をあける。そして、一言だけ言った。
「大丈夫だから...その少年はもう話し掛けないでくれ...。」
直ぐに目を閉じようとする少年を見て、その少女は少年をお姫様抱っこしたのだった。
「私より...軽い...。」
訳の分からないことを言う少女に最初こそ抵抗しようとしたが、妹に似た少女を見るなり少年は崩れ落ちた。
「私はメル。家まで連れてって、直ぐに治してあげるからね。」
少女は走り出した。