ファーの力
「先輩...どうして...。」
少年傭兵は首だけを動かす。惨いことをしたものだ。待ってろ、すぐに何とかしてやる...。さて、こいつは、こいつだけは許さないぞ。
「ファーよ!その力を魅せろ!」
剣を振るう。
「その剣...そうか、お前も契約したのか...。いいじゃないかぁ!その剣、腕ごと消してやるぜ!」
俺に近づこうとする。しかし...この剣の力は...。
「消えてなくなれ!」
敵は走って斬りかかってくる。俺は空中を斬った。その瞬間...敵から血が吹き出した。
「な...。」
「この剣、『ファー』の力は斬撃を遠くに飛ばすことが出来る。お前じゃこれを消せないだろう。」
こいつを殺すためだけの技だ。こいつには...止められる訳が無い。このまま、切り刻んでやる。
「さよならだ。奪ったものは返してもらおう。」
「俺が...負けるなんて...ありえね...。」
敵は倒れた。紅くなっていた視界は元に戻り、熱も収まって冷静になった。
数秒後、街は何事も無かったかのように元に戻った。少年傭兵の腕や脚も元に戻っていた。あいつは、一体なんだったのだろうか。敵を見る。その敵は、とっくに死んでおり何も聞けそうになかった。