少年は幸せである
最悪の夢で目が覚める。気付かぬうちに目からは涙が流れていた。
「メル、お兄ちゃん泣き虫になったよなぁ。何人殺しても泣かなかったのに。」
我ながら自分勝手だと思う。しかし、今はこの感情を覚えていたい。何となく、メルと話している気になるのだ。ベットから起き上がる。ミシミシと鳴っているこのベット寝心地がいいとはとても言えないが、俺はこのベットとこの部屋とこの家が大好きだ。ドアの向こうから、階段を登ってくる音が聞こえる。
「ペル起きたー?うなされてたけど大丈夫?」
ペルというのは、俺の名前だ。ペル・アリア、それが俺のフルネームである。そして、ドアの向こうから話しかけてくるのは、
「あぁ、ルル。大丈夫だよ、おはよう。」
「そう、なら良かった、おはよう。お母さんが、朝ごはんできたから降りてきてね、だってー。」
少女は階段駆け下りていく。俺も、部屋から出て1階へ降りる。
「おはようございます。お義父さん、お義母さん。」
「おお、ペルおはよう。敬語は使わないで良いって言ってるだろ?ペルも家族なんだからな。」
こういってくれのは、新聞を片手にコーヒーを飲んでいるルルの父である。そして、
「おはよう、ペル朝ごはんできたから準備してね?」
こう言うのは、食器の準備をしているルルの母である。
「分かりました。毎日、美味しいご飯をありがとうございます。」
俺は、こんなにも優しい家族に心を開けない。人間を信じれないトラウマが俺を蝕んでいる。しかし、3人は俺に心を開いてくれていると、思う。確信は出来ないが...。しかし、今の生活はとても幸せで好きである。このまま、一生過ごしていきたい。