雪の下の妖精クラの物語
ここは山の奥の奥のずっと奥。人間が足を踏み入れることのできない太古の森が残る場所。
妖精や精霊が平和に生活している大森林。
雪の下の妖精クラは今日も元気に微睡んでいた。
雪の下の葉の上にその白く輝く体を横にし、白くとても長い髪を首にマフラーのように巻き付け、大きな4枚のキラキラ輝く透明な羽で器用に小さな体を包んでいる。
そこへお隣さんの三日月キノコの妖精が大気から集めた花粉をクラに持ってきてくれた。
魔法で出来ている透明な円状のガラスのような容器に花粉がコロコロと浮いている。無数の花々や杉などの花粉、三日月キノコの花粉が入っている。
三日月キノコの妖精クヌートは三日月色の肩下まで伸ばした髪を後ろで綺麗にお団子結びにしている。小さな4枚の羽が可愛らしいが、クラより大人びて見える。
「キトキト」
花粉を受け取りお礼を言うクラ。
「リアリア」
それに笑顔で答えるクヌート。
クヌートはクラに花粉を渡すとポテっと地面に降りて、三日月キノコの下に戻り仕事を再開した。
クラはクヌートに貰った花粉を横になりながらポリポリと食べている。
朝日が差し込んできて森が目を覚まし始める。
クククグク、クククグク、クククグク
キーィキーィキーィ
ゴーーゴーーゴー
チチチチチチチ
サー、サーァ、サーァ
ポリポリポリ
朝日の中、森の目覚めを聴きながら2つ目の花粉をほおばるクラ。
クヌートも手を休めて朝日を浴びリラックスしている。
二人の前を小さな水の精霊が通り過ぎていった。
水の精霊のミストを浴びてさらにリラックスするニ人。
クヌートは満足したのか仕事に戻った。
クラは微睡みながらポリポリと花粉を食べている。
ポリポリポリポリ、ポリ、
「ヌクヌク ヘワヘワ」
クラは花粉を食べている途中で眠くなり夢の中に入っていった。