第8話 褒美の使途 後編
トモヤが美少女奴隷を手に入れた一方で、ヒロシは皇帝からもらったお金で、ムジタムル商会の奴隷販売店舗へやってきた。
「いらっしゃいませ。本日はどうなされましたか。」
「奴隷の購入をしにきた。」
「そうでございますか。当店のご利用ははじめてですよね。」
「そうだ。」
「でしたら、まずは、こちらの用紙に必要事項をご記入ください。」
ヒロシは、必要事項を記入する。
本日の所持金→アガレス金貨10枚
奴隷の種族にこだわりはありますか。→なし
処女性は気にしますか。→気にしない
年齢制限はありますか→容姿がよければ特に気にしない
などなどだ。
「できたぞ。」
「なるほど。それでは、候補の奴隷を連れてまいりますので、少々お待ちください。」
ヒロシの前に三人の奴隷が連れてこられる。
そして、その三人のうちの一人を見て、ヒロシは驚愕した。
なぜなら、ヒロシがかつて好きだった少女がそこにいたからだ。
商人が、奴隷の説明を始めるが、ヒロシの耳には全く入ってこなかった。
「お客様!お客様!聞いておられますか。次が最後の商品になりまして、ケイコと言います。」
商人のその言葉で、ヒロシは、我に返った。
ヒロシは、よく見たら、その少女は、確かに顔付きが似ているが、似ているだけで確かに別人であることに気が付いた。
「ああ。聞いている。話を続けてくれ。」
「彼女は、ダストレアス出身ですが、戦闘力はこれっぽっちもなく、親に捨てられたようでして。そして、生きるためとは言え、自ら体を売っていたようです。顔こそ一番マシでして、病気を持っていないことも確認済ですが、いったいどれだけの数の男に股を開いていたか。値段は、安く、金貨3枚となっています。」
ヒロシは、商人の説明を聞いて思わず笑った。びっちなところもすっくりじゃなかと。そんな風に思いながらも、ケイコを買うことに一切の戸惑いはなかった。
「その女をくれ。」
「よろしいのですか。」
「ああ。その代わり。もう一人いないか。そうだな・・。この女は、どうせ自ら股を開いてきそうだが、もう一人は、反抗的なのがいいな。誰かいないか。」
「それでしたら、一人ちょうどいいのがいます。顔は、かなり不細工ですが、狼獣人でレアリティは高く、処女ですから、思い切り抵抗なさるかと思います。ただ、獣人は力が強いですからね、いざとなれば、<絶対命令>を使ってしまえばいいのですがね。」
「それじゃあ、つまらないな。」
「そこで、強力な気出薬をセットで付けましょう。ちょうどいい感じで抵抗してくれるかと思います。本来なら、全部で金貨12枚ですが、まとめて購入していいただければ、金貨10枚でよろしいですよ。」
「それじゃあ、それで頼む。」
「かしこまりました。」
部屋に奴隷を連れて帰ってきたヒロシは、さっそく二人の少女を犯すことにした。ケイコは、やはりというか、何の抵抗しなかった。うっすらと、その目に涙を浮かべていたような気もするが、暗い部屋で、また、今のヒロシでは気が付かない。
一方獣人のほうはというと、やはり、激しく抵抗した。しかも、困ったことに、気出薬を飲ませても、ヒロシより力が強かった。ヒロシが仕方なく、<絶対命令>を使おうとしたとき、ヒロシの目が怪しく光った。
ヒロシは、すぐにその理由がわかった。
固有能力が発現したのだ。
「ぐへへへへ。すごい!すごいぞ!この能力なら、この世界の女はすべて俺の者にできる。」
ヒロシの固有能力は、目を合わせて女の体を硬直させ、身動きを封じるものであった。また、その強弱を変えることも可能であったから、ヒロシは、、獣人の少女を程よく硬直させて、抵抗されながら犯すことに成功した。
ヒロシは、童貞を捨てたことで興奮し、なかなか寝付けずにいたものの、何度も何度も少女たちに自分の欲求を吐き出した疲れもあって、次第にうとうとしはじめ、ついに夢を見始めた。
「やあやあ。ヒロシ。僕は、人神。とってもいい神様で、君の力になりに来たよ。」
「嘘つけ。異世界から召喚された人物の夢に出てきて、神を名乗る人物は、敵だって決まってるだろう。」
「あれれ~おかしいな。もういいや。そうだよ。その通り、僕は、悪い神様だね。邪神ロキ。よろしく。」
「それで、その邪神様が何の用だ。」
「それはね~異世界からきて大変だろう君に力を上げようと思うんだ。」
「いらん。だから消えろ!」
「ちょっと、待ってよ!」
「どうせ、何かしらの副作用とかあるんだろ。」
「うん。そうだよ。とっても恐ろしいデメリットがあるんだ。」
「えっ!?」
「ふふ。今、こういうやつはいいことしか言わずにだますんだと思ったね。そう、その通り。普段だったら、僕もこんなことは言わないんだけどね、普通はおそろしいデメリットでも君は君しないと思ったのさ。ずばり、デメリットは僕が取り付くこと。」
「取り付く?」
「そうさ。僕が取り付くと、次第に君は良心をなくしていく。しまいには、この世界の男全員皆殺しだーとか、この世界の女全員奴隷にしてやるーとか、そりゃもう血も涙もない奴になっちゃうけど、君なら気にしないだろ?」
「なるほど、確かに、それくらいのデメリットならいい気もするがな。やはり、それだけがデメリットというのは信じられないしな。」
「ふ~ん。いらないんだ。でも、このままだと、あのシルヴィアも、トモヤが持っている奴隷も君にものにはならないと思うよ。」
「なんだと!?」
「確かに、君の固有能力はすごいけどさ。シルヴィアたちを犯したとして、その後どうするのさ。君に力がなければすぐに殺されると思うよ。ヒカルはともかく、あのザウスは、シルヴィアにご執心だろ。」
「うっ!」
「それに、人にマイナスに働く固有能力っていうのは、神の加護を持っているものには効かないんだ。そして、龍の秘宝所有者は、龍神の加護を受けているようなものだ。だから、君の固有能力は、秘宝をもった真の強者には一切効かないってことさ。そこでだ。僕が力を貸してあげる。」
ヒロシは、シルヴィアをこのままでは手に入れることができないとい事実を突き付けられ、邪神のくれる力に興味をもつ。
「いったい何ができるというのさ。」
ヒロシの質問を受けて、邪神の口もとが少し裂けた気がするが、ヒロシは気が付かない。
「それは、ずばり、邪力を使えるようになることだね。この世界には、魔術や気術の上位概念である龍術があることは聞いているね。」
「ああ。」
「実は、上位概念は、龍術以外にも、天術と邪術が存在するんだ。あまり知られていないことだけれどね。そして、この3つの術はわずかにであるものの、三すくみの関係にある。邪術は、龍術に若干の優位性を持っているんだ。これは、つまり、君は、僕と契約すれば、あのゼクロスにだって勝てるようになって、それどころかいずれは皇帝にだってなれるってことだよね。」
「ごくり。」
ヒロシが、生唾を飲み込む。
「さあさあ。どう?受けてくれる?」
「ああ。シルヴィアを手に入れられるなら、どんな極悪人にだってなってやるさ。」
「じゃあ、契約成立だね。」
ついには、邪神の口元は、もはや口とはいえないほどに避けてしまったが、シルヴィアのことしか頭にないヒロシは気が付かない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、最後に、褒美をもらったヒカルの様子はというと、たまった性欲を適度に褒美の女で発散して、何事もなく終えたのだった。