第6話 褒美の授与
時は進み、アガレス帝国の皇帝の間において、褒美の授与が行われることになった。
「勇者諸君。あの約束より、一週間がたった。ステータスを見せてくれ。」
「ヒカル」
戦闘力:B
気術力:(j→C→)B
魔術力:J
「トモヤ」
戦闘力:(I→)H
気術力:(J→)H
魔術力:J
「ヒロシ」
戦闘力:(J→)I
気術力:(J→)I
魔術力:J
「おお。ヒカルはすごいな。すでに、大佐クラスか。だが、大変なのはBからAにあげるところだ。今までは、気術力か魔術力のランクの高いほうと、戦闘力のランクが一致していたが、Aランクについては、たとえば気術力をAランクにあげても戦闘力もAランクに上がるとは限らない。ぜひとも頑張ってくれ。もっともも、Bランクならすぐにも実践で活躍できるな。他の二人は・・・まあ、1週間で1ランク上げるはそうできることではない。よくやってくれたといいいたいところだが・・・将来期待できるのか。褒美を与えるにも不安が残るな。」
「陛下。発言してもよろしいでしょうか。」
「なんだヒカル。」
「トモヤとヒロシは間違いなくいずれ強くなると思います。たぶんですが、陛下よりも。ですから、気にせず褒美を与えてよろしいかと。それが励みになれば二人も早く強くなるでしょうから。」
「おい。ヒカル!陛下に失礼だぞ!」
親衛隊隊長のゼクロスが言葉をはさむ。
「いやいい。それより。なぜ、ヒカルはそんなことがわかる。」
「固有能力です。俺の固有能力は、相手の潜在的な力量を感じ取ることができます。とにかく、二人から感じる力はどこか異質なのですが、陛下以上のものを時折感じます。」
「それは素晴らしい。すでに固有能力を顕現させていたとは。固有能力を異世界人は持つことになるとは聞いていたが。ステータスカードで確認してもいいか。」
「はい。」
種族:純人族
戦闘力:H→B
気術力:G→B
魔術力:G
属性:聖>雷>炎>氷>風
固有能力:相手の戦闘における潜在能力の大きさがわかる
「確かに、固有能力欄がうまっているな。そういうことなら、安心して二人に褒美
をやれるな。だが、それなら、なぜ、たぶん俺より強くなるなどというあいまいな言葉を使ったのだ?」
「先ほども言ったように、時折感じるだけなのです。他の者の潜在能力は常にはっきりと感じ取ることができます。特にトモヤの潜在能力は全くわかりません。ただ、時折武者震いをするほど力を感じてそちらのほうを向くとトモヤがいるのです。」
「なるほどな。いずれにせよ。すさまじい可能性を秘めているのは確かだろう。それなら安心できる。まずは、トモヤに褒美だ。アグリード褒美をもってこい。」
宰相アグリードが文官に合図を送ると、部屋に一人の少女が連れてこられた。少
女は、黒髪に黒い瞳に白い肌、大きな胸という容姿で、まさに日本人のかわいい女
の子といった感じだった。
「ムジタムル商会の高級奴隷店からのBランクの品だ。今回のために購入しておいた。どうだ。トモヤ。満足してくれたか。」
「・・・はい。ありがとうございます。」
トモヤは、価値観として奴隷を受け入れているけではないが、ここで文句をいう
ような愚か者でもない。いや、単に根性がないビビりなのかもしれないが。
「それから、本来なら、ヒロシには褒美はないはずだっだんだが。ヒカルの言葉を
聞いて考えを改めた。アガレス金貨10枚やろう。これで、女を買うといい。低ラ
ンクの奴隷を買うもよし。高級娼管にいくのもよし。好きに使え。それと、もし
買ったりするならムジタムルの奴隷店舗か娼館にいけ。そこなら病気をもらったり
も絶対ないから安心できる。」
「ありがとうございます。」
「そして、最後のお楽しみだ。アグリード例のやつを。」
皇帝の間に三人の少女が連れてこられる。先日、海魚族とムジタムル商会の捕縛部の女性たちに奴隷にされたシア、クリス、オリビアの三人だ。少女たちを連れてきたのは、ムジタムル商会の販売部の女性たちだ。
「陛下。連れてまいりました。」
「おおきたか。メサイヤ。相変わらず不細工だな。彼に説明してやってくれ。」
「相変わらず余計なひと言をいいますね。私に借りがあるのをお忘れですか。なんなら、当時の相談内容を帰りに娘さんにでも話していきましょうかね。」
「そ、それはやめてくれ。皇帝の威厳がなくなる。」
・・・
「そうですか。案外、そのほうが、父として慕われると思いますがね。まあ、それは置いておきましょうか。私はムジタムル商会女性の性奴隷販売部門の最高責任者メサイヤです。以後お見知りおきを。さっそく、商品の説明をさせていただきます。まず一人目は、ヴァンパイア族の少女で、名をクリスといいます。まだ発展途上の体ですが、自信をもってSランクを付けることができる商品です。綺麗な金髪に、真紅の瞳に真っ白な肌に整った顔つき。それに、女性スタッフで体を確認したところ、文句の全くつけようのない体でした。・・・・」
その後、オリビア、シアの説明が続く。いずれも、その容姿をたたえSランクの奴隷だという説明がなされた。
ヒカルは途中までは熱心に聞いていたが、次第に興味を失った。なぜなら、少女
たちの戦闘における潜在能力がビーケルたちにも劣るものだったからだ。少なくと
もこの少女たちが自分の好敵手になることはないことは確信できた。
だが、そんなヒカルと対照的に、ヒロシは興味深々だった。
「Sランク?」
ヒロシは疑問をつぶやく。
「当奴隷店舗では、商品にD~Sランクまでランクを付けています。Dランクは、一言でいえばジャンク品です。下級冒険者や貧乏農民がお金をこつこつ貯めて嫁にと買っていくような品でございます。
Cランク奴隷は、容姿こそいまいちですが、当商会がしっかりと品質審査を行い、性奴隷としての安全性などの品質保証を行った品です。冒険者として成功したものが、こつこつお金を貯めて買う商品でございます。
次にBランク。これは、冒険者として成功した方や貴族のお金持ちなどが購入することの多い高級奴隷です。品質も容姿も優れています。
そしてAランク。Aランクともなると、本当に一部の方しか購入できない最高級奴隷でございます。
最後にSランク。こちらは、店舗には並ぶことのない幻ともいっていい特別の奴隷です。超有名な冒険者や王族クラスの方に直接お声掛けをさせてもらっております。アガレス皇帝陛下の亡き王妃様もSランク奴隷として、アガレス陛下に販売させていただいたのです。」
「ラウラーゼのことか・・懐かしいな。結局、メサイヤが、Sランクを連れてきたのは彼女以来だな。」
「そうでございましたね。というか、私もSランクを扱うのはこれが二度目ですから。」
「それほどの品。すまないな。無料でいただいてしまって。」
「本当ですよ。ですが、今回は情報もそちらからいただきましたし、海魚族に奴隷を売っていた件がありますからね。」
「まあ。よく考えてみたら、海魚族とつながりをもっていおくことも後々役に立ちそうだから気にしていないんだがな。」
「でしたら、やはり代金をお支払していただいてもよろしいのですよ。」
「それはそれ、これはこれだ。」
メサイヤとアガレス皇帝が話をする中、ヒカルが声をかける。
「陛下。俺、トモヤの褒美のほうがいいのですが。」
「なに?だが、どっからどうみてもそっちのほうが上玉だろう。」
「確かにそういうのに疎い俺でもすごいというのは感じるんですけど。俺、胸が大
きくて色白が好きなんです。正直、顔の造形とか、肌の綺麗さとかどうでもいいっ
ていうか・・・」
「・・・なるほど・・・まあ、一番成果を出したのはお前だ。お前がそうしたいというなら、交換しても構わない。」
「それならそういうことで。トモヤ。交換よろしく。」
こうして、トモヤはすさまじい美少女三人の奴隷を所持することになった。