◇ギルドで絡まれるのもお約束◇
GW?何それおいしいの?
ゴールデンでないウィークなら満喫中さっ!
つまりは正常運転と・・・。くぅーやすみてぇ。
テンプレというか様式美というか
「ここは嬢ちゃん、坊ちゃん達が来るようなところじゃないぜ」
ガチムチ兄貴の数人に囲まれてしまった。目の前に筋肉の壁。 ああ、なんてすばらしい筋肉・・・なんて素敵な光景なのだろう。
さっき声を発したのは正面にいる赤ら顔の筋肉達磨だ。 肩幅があり得ないくらい広くて、金属の胸当てから溢れんばかりの胸板には
三連の巨大な詰め傷がなまなましい。
「ここは子どもの遊び場じゃないんだ、うろちょろされたら目障りだ」
左手の顔中髭だらけの、脂肪と筋肉で膨れ上がった、巨体の男が凄んで見せた。
まるでシルエットが達磨みたいだ。
ふとレオを盗み見ると、涼しい顔をしていた。
余裕あるなぁ。
「そうだぜ。怪我しねぇ内に早くかえんな。お家でママが待ってるぜ」
黄ばんだ歯をむき出して、頭が薄らっている、ザンバラ髪の男も哂った。
こいつの仇名は…落ち武者だ。今命名してやった。
「この、アジャールの魔の地は、余所とは違う、魔物の凶暴さも桁違いだ。
わかってて…ここで登録するつもりか?舐められたもんだ」
ずい、と黒装束の隻眼の男が前に出た。
いつの間にか背後を固められ、出入り口を塞がれている。
あれ?ヤバイ状況じゃね?
周囲に目を走らせると、視界の隅にレオが静かに一歩下がったのが見えた。
「?」
一瞬、違和感がした。
「おい!聞いてんのか嬢ちゃん!!」
恫喝しながら、やはり筋骨隆々の、丸禿の男が俺の胸倉を捕えようと手を出した。
あれ?いつの間に荒くれVS俺になってんの?
こんな筋肉バカに勝てるわけもない。
「あっギルド長だっ!」
俺は筋肉共の背後を指さして叫んだ。
馬鹿は見る~♪
その隙に手をのばして、後退をはじめていたレオの腕を掴んで一気に受けつけ
カウンターの中へ飛び込む。
「助けて!きれいなおねぇさん。新人イジメだよw」
語尾が微妙にふざけた感じになってしまったのも仕方ないだろ?
まさかあんなに簡単にひっかかってくれるとは。
レオの手を強引に引き寄せて、受付のおねえさんの手に握らせてみた。
案の定、おねぇさん、レオの顔みてボーっとなった。
そしておねぇさんは、期待どおり、両腰に手をあててカウンターの上に乗った!
「…どこのどいつ?こんな薄幸そうな美少年にいじわるするのは?」
大槌的な何かを軽々と肩に担いで、筋肉共を見下ろした。
おねぇさんに威圧されて、ギルド内は静かになりましたとさ。
ギルドの受付のおねぇさん最強!
やっぱり王道だよね!
俺達はこっそりと別室にて手続きをしてもらい、こっそり裏口から出してもらったよやったね!
あとで赤毛筋肉と髭だるまが、別室まで、おねーさんに脅されて、謝りにきてくれた。
「驚かして悪かったな。・・・・・・・・俺達、子どもが無鉄砲して死んでいくのを見てくのが辛くてな。このアジャールは最果ての町だ。砦の外の魔獣など、王都周辺のものとはレベルが違う。忠告のつもりだったが、言葉が悪かったな。
まぁこの町にいる間に嫌なこととかあったら言いな。薬草採集とかに行くなら、
ついてってやるぜ。必ず言えよ」
と言ってくれた。まさかのいい奴。
俺、ちょろいんだろーか?
ちなみに落ち武者と丸禿は騒ぎを起こしただけでなく、騒ぎを煽動したとの事で
ギルド長に呼ばれて怒られてた。
ざまぁw
黒装束の男には誰も何も言えないようだった。
なんかこええよ!あぶねぇー空気醸してるよ。何者だよあの人。