◇目が覚めたら、見知らぬ男性の家でした◇
文章書くって難しい・・・・
朝日が窓からさしこんでいる。
窓っていっても雨戸みたいなものが枠にはまっているだけなんだけど。
そのかすかな板と板との隙間から、太陽の光が糸のように寝ているベットの上の俺の顔に差していた。
「ん…」
――ここどこ?
目をゴシゴシこすり起き上がると、周囲を見渡す。
一瞬、とまどい、そして昨日の異世界トリップを思い出す。
――中世にタイムスリップしたみたいだ。
部屋の中は、木製の壁に床に、家具、簡素なベッドがあるだけで、TVやエアコンや照明や、そういったものは何ひとつなかった。
枕元のテーブルには燭台が置いてあり、俺の荷物もそこにおかれていた。
靴は足元にならべておいてあり、靴下も畳んでそばにあった。
部屋の外からはいい香りがただよってきており、思わず、おなかがぐーっとなった。
俺は、窓に近づき、ちょっと戸惑いつつも窓の扉の留め金をはずし、内側から押して、外側に拡げて開けた。
とたんに、光が部屋に流れ込み、ちょっと眩しくて目がくらむ。
目が慣れて、外を見ると、この部屋は3階にあるようで、外を見下ろせる。
――本当に異世界に来ちゃったんだなぁ。
電柱も電線も見当たらない、眼下に広がるのは、どこか異国風の建物。
犬の獣人らしい女の人が、家の前の通りを掃除している。
その前を、旅装束の人達が、まだ眠そうな顔をして馬をひきつつ通りすぎる。
そして、それらすべてを取り囲んで、威圧感のある高い壁がぐるりと町を取り囲んでいた。
ため息をつきつつも目の前の見知らぬ景色に見とれていると、階下から人が昇ってくるような音がした。
「目が覚めたかい?あんまり寝ていると目がくさっちまうよ」
そう言って声をかけてきたのは年配の女性だった。
灰色の丈の長いワンピースに白い前掛けをかけている。髪も白髪のまじったグレ イで、俺の母親よりは歳が上な感じだ。
瞳の色は薄い黄緑で、ハワイ特産のペリトッドを思わせる色だ。
顎がとがり、痩せぎすで、ちょっとばかり気難しそうな印象を受けた。
「ご主人さまが、食事を一緒にってお待ちだ。仕度したらおりといで」
彼女は水差しを壁際におき、顎でそこをしゃくった。
そこは洗面ボゥルっぽいものがついていて、排水しかついていなかった。
どうやら上水道はついていないらしい。
――ここで顔を洗えということか。
喉が渇いていたので水差しの水を飲んでいいのか迷ったが、洗面専用なのかもしれないと思ってやめておいた。
この程度の文化だと、生水が本当に飲めるのか不安だ。聞いてからにしよう。
寝て起きた時と一緒の服装になるが仕方ない。
ちなみにどんな格好かというと、制服のブレザーとスカートの下にジャージズボンという女子高生の最も萎えるスタイルと言われている姿だが気にしない。
俺は顔と手を洗って髪をととのえて階下におりた。
食堂と思わしき部屋に入って、――美味しそうないい香りのする方へ進んでいった結果、たどり着いたのだ――、俺は目を瞠った。
超絶イケメンが、何やら羊皮紙っぽい書簡を頬杖つきながら眺めていた。
金茶色の髪はゆるくウェーブを描いており、やや俯いているため、長い睫が、その頬に影を落としており悩ましげだ。
鼻筋はすっと通っており、かといって高すぎもせず、その下の唇は薄めだが、ゆるく片側に持ち上がっており、やや皮肉目な表情を作っていた。
彼は、いわゆる騎士服と言われる服を着込んでおり、それは大変似あっていた。
思わずため息がでそうな位の美形っぷりである。
俺の腐った方面に特化した友人なら「ごっつぁんです」とか言いながら、大っぴらに出来ないシチュをいくつも立ち上げて、それをおかずに、ご飯を軽く3杯はいける位である。
しつこいだろうがもう一度言う。
超絶イケメンがそこにいた。
俺はおもわず、この場に居ない友人を思い浮かべ、残念だったなと肩を叩く想像をした。
いや、実際この事を知ったら、友人はハンカチをかみしめて間違いなく歯噛みするだろう。
そのイケメンは俺に気づいて、柔らかい笑みを浮かべた。
「よく眠れたか?」
そう問いかけられて、彼の前とその向かい側に、すっかりと食事が整えられているのを見る。
俺はすっかり、そのイケメンに食事のオアズケをさせてしまっていたらしい。
「あ、はい」
見惚れていたため、タイミングを逃した微妙な返事をした俺に、さっきの年配の女性が、椅子をすすめてきた。
「こちらにどうぞ。今あたためた直したスープをもってきますから」
やっぱり俺は、イケメンを待たせていたらしい。申し訳ないことだ。
「疲れていたんだろう?起こしても起きなかったから、君の同意なしに我が家に連れてきてしまったが、このアジャールの砦には知り合いがいるのか?」
「――いいえ」
「そういえば、記憶が曖昧だとライラに言っていたそうだな。あれから思い出した事はあるか?」
「いえ…」
俺は俯く。
異世界人だって言ったって頭がおかしいと思われるだけだ。
イケメンは、しばらく煙るような瞳で俺を見ていたが、肩をすくめて言った。
「ま、話はあとで。まずは朝食をとろうか?苦手な食材はあるか?」
言われてテーブルの上を見る。
パンのようなものと、ハムのようなものと茹で卵的な何かと、サラダ的なものが並んでいる。…多分食べられるだろう。
俺は好き嫌いがないから、よほど突飛な味付けでなければ食べられるはずだ。
「いえ。この中にはありません」
俺は返事をしてイケメンの正面の席に座る。
フォークのようなものとナイフのような物が横に並んでいる。
これで食べるようだ。
不審に思われないようにイケメンのマネをして食べよう。
食事マナーとかあるかもしれないし。
ふと視線を感じてイケメンを見ると、何故かキラキラした目をして彼は微笑んでいた。
「本当に、気が付いていないようだな。改めて名乗っておくが、俺はウィルベルト・ディーバ。皆はウィルって呼ぶ。この砦の守備隊の隊長をしている。改めてよろしくな」
――なんですとーーー!!!!