一輪の花束
あのとき、誰かがもう一歩踏み込んでいたら、何かが変わっていたのかもしれない。
一輪の花は...
第一章 三輪の花束
中学校に入った日、教室には見知らぬ顔ばかりだった。
小学校がいくつか合体した学校だから、誰が誰だか、まったく分からない。
緊張で手が少し震える。胸の奥がざわついて、声も心なしか小さくなった。
席に座ると、隣で楽しそうな声が聞こえた。
多分、今流行りのアニメの話をしている。
「ねぇねぇ、そこの君〇〇っていうアニメ知ってる?」
隣にいた人が話しかけてきた。一瞬びっくりしたが、反射的に答えた。
「え、知ってる!めっちゃ好き!」
声が思ったより大きかったかも、と慌ててしまった。
でも、話しかけてきた人は嬉しそうに笑った。
「まじで!俺▢▢好き!君は?」
「僕は△△かな…▢▢も好きだけど、△△はバトルシーンがめっちゃ好きで…」
早口になってしまった。キモいやつと思われてないといいな...
でも、その緊張を、相手も同じくらい楽しそうに返してくれた。
「△△のバトルシーン俺もめっちゃ好き!でも▢▢もこういう魅力があって――」
ものすごい勢いで語る声に、思わず笑ってしまう。
「何?お前らオタクなの?」
もう一人が口を開いた。
「オタクで何が悪い!」
笑い声が教室のざわめきに混ざる。
その瞬間、教室の中で、二人と自分だけの小さな空間が生まれた気がした。
「あ、君名前は?」
早口で話していた方が聞いてきた。
「あ、えっと、僕は…」
緊張で声が引っかかる。
「ごめん、先に俺から名乗るべきだった。俺たくみ。よろしく!」
大きく手を揃えながら自己紹介するたくみ。
「あ、俺あおば。よろしく」
無表情で、でもきちんと視線を合わせて言うあおば。
「あ、えっと僕はみなとって言います。よろしくお願いします…!」
少し小さめの声で自己紹介した自分に、二人はにっこり微笑んだ。
初日の学校が終わった。
二人とは途中まで帰る道が同じで、出身小学校の話や担任の愚痴など、些細な会話をしながら歩いた。
たくみは手を大きく振りながら熱心に語る。あおばは時折鋭いツッコミを入れる。
そのリズムに自然と笑いが混ざり、今日出会ったばかりなのに、三人でいると心地よさが胸に広がった。
でも少しだけ、たくみの勢いに圧倒され、あおばの言葉が胸に刺さる。
(あとで、このテンションについていけるだろうか...)
小さな不安も、胸の片隅に残った。
夕陽が道をオレンジ色に染め、三人の影が長く伸びる。
足音が小さく響き、今日の出会いが少しだけ特別に感じられた。
「この学校も、なんとかなるかもしれない」
そう思いながら、肩の力が抜けていくのを感じた。
初めて小説を書きましたMといいます。
下手ですがよろしくお願いします。




