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第二部 花の世界 ― 香の沈黙、旅路の章
何者かによる高麗屋への侵入で、花の光は暴れ、香は沈黙へと落ちた。
誰も傷つけたくないという思いと、あの夜の恐怖を抱えたまま、
花は 自ら道を行くことを選んだ。
自分は何者かを問い続け、
罪を背負いながら、自らの力、自らの運命を探すために――。
一方その頃、奉公に上がった橙子の周りにも、静かな波が寄せていた。
結城家では、橙子をめぐる“ある企て”が、
水面下で動き始めていたのである。
姉妹それぞれの歩みが、やがて未来で交わることを知らぬまに――。
本日は、続けて第二部第1話を投稿します。




