プロローグ
初投稿です。よろしくお願いしますします。( ᴗˬᴗ)
ドラゴニスタ王国、豊かな海に囲まれた広大な大陸丸ごとを支配する強大な力を持つ王国。その王国の王族はかつて世界を支配したと言われる龍を祖先に持ち、優れた稀有な才能を有していた。
龍には『番』というものが存在し、『番』は龍にとって最も重要で価値のある唯一のものだ。または龍にとって最大の弱みでもある。龍、ひいては王族の寵愛が得られる『番』というものに王国中の夢見る少女は憧れる。いつか私にも迎えに来てくれる王子様がいるのではないか…と。
だけれど、『番』という運命は辛烈だ。『番』は龍にとって大事な大事な自分の一部。無闇に人に公開したりなどせずに自分のいつでも手の届く加護下に大切にしまい込む。いくら王宮の最奥で王の寵愛を受けるといっても会える人は王ひとり。外に出ることも叶わず日の下を歩くことは結婚後ないとの噂だ。
子供だって13人の内1人しか成人まで生きることができない。これは必ず13人中ひとりなのだ。可愛がって育てた子供を12回失わなければいけないのはどんなに辛いだろうか。中には産まれて産声をあげたその直後、腕に抱いた瞬間息絶える子供だって存在する。
龍は長寿であり『番』となれば若く美しい姿を長い間保つことが出来る。命尽きるその時まで常に龍と共にありその他のものとは縁が絶たれた状態に絶望と依存の中で心を病む人も多いと聞く。しかしそんな『番』の本質を知らない王国中の夢見る子は言う、いつか私にも王子様が現れないかしら…と。