第四話
入り口エリアはもともと、鬼や人の侵入を考えており、入り口エリアに入ってもまた、扉があり、その扉を暗証番号で開けないと入れない構造になっていた。
「まずい、入り口エリアを、突破されたら建物の中に入られるよ!デバイス持ちは皆出撃してるし。ここは」
「駄目じゃ!それはならん!」
博士はファーストが言おうとしていることが理解でき、先に止める。
「だが、今行かないでどうする!俺は皆が犠牲になるぐらいなら、鬼にでも何でもなってやる!」
「待ちなさい!」
ファーストは佐久田博士の制止を振り切り、研究長室から飛び出した。
そして、ロビーエリアについた時には激しい爆発音と共に煙が舞い、入り口エリアとロビーエリアを繋ぐ分厚い扉が破壊された。
「やっと見つけたぜ。ここが、人間の巣か。」
「ちっ。」
ファーストは自分達の居場所を『巣』呼ばわりされた事と、扉が予想より早くに破壊された事に舌打ちをした。
「巣、か。確かに君たち、鬼からしたら僕たちの住み処は『巣』なのかもね」
ファーストは避難誘導をしているもんだと思い込んでいた人物の声が聞こえ、驚きながら声がした方に顔を向ける。そこにはやはり、相棒のセカンドの姿があった。
「海虎!お前、避難誘導していたんじゃないのか!」
「そう怒鳴らないでよ。避難誘導は頼れる後輩たちに任せたよ」
ファーストの怒鳴り声に辟易しながら答えるセカンド。
「だが、お前は…もう」
ファーストは唇を噛み締め、敵を睨み付けながら呟いた。
「それはお互い様でしょ。それにデバイスをいつも持っているのもお互い様。」
セカンドは微笑みながら、そして、セカンドも敵を見つめながら、喋っていた。
「お前はやる必要はない!俺だけで十分だ!お前まで鬼になる必要はない!」
「なに言ってるの。僕もデバイスを使わないと緑鬼には勝てないでしょ。」
事実、ファースト、セカンド、サードの初期デバイスでは灰鬼を倒すのが精一杯であった。
灰鬼は自我が無く、目にした人間を襲い、食べることしかない。緑鬼は自我あり、会話も行い、灰鬼よりも強い。
「だけど、鬼になれば、力が強くなるかもしれないだろ!頼むから最後くらい俺の言うことを聞け!」
「ごめんね。達郎の気持ちは分かるけど、僕も同じくらい、君や皆が大事だから。」
ファーストの叫びも虚しく、二人は腰にデバイスを当てる。すると、デバイスからバックルが出て、腰に装着する。
緑鬼はあわよくば人間を脅し、道案内をさせようと話が終わるのを待っていたが、相手が戦闘モードに移った為、駆け出した。
が、走り出そうと一歩踏み出した時、左右に別れ息絶えた。
緑鬼の後ろには大剣を振り下ろした黒いB.Sを纏った男がいた。
あまりの出来事にファーストとセカンドは動きを止めた。そして、黒いB.Sの正体を理解している二人はお互い力が抜けたのであった。
「おい、フォース!戻ってきたなら、連絡入れてくれ!無駄にシリアスになっただろ!」
「僕も柄にもなく、かっこつけてたよ。恥ずかしい。」
ファーストは叫び、セカンドは両手で顔を隠していた。
『アウト』
そして、デバイスの必殺義を使用したフォースはB.Sを強制解除された。
だが、フォースの表情を見た、ファーストはフォースに近づこうとして動かしていた足を止めた。
フォースは怒りの表情を浮かべ、ファーストとセカンドを睨んでいた。
「さっきアンタら、なんつった?」
フォースの怒りがわからないファーストは頭に?を浮かべ、セカンドを見る。
セカンドも、フォースの怒鳴り声で両手から顔を上げ、ファーストを見る。
「さ、さっき?連絡入れてくれって事に怒ってるなら、謝るよ。冗談だって!緊急事態だったから、連絡よりも先に駆けつけてくれたんだろ!悪かったって」
「違う!さっきアンタら鬼になるって言ってたよな?あれはどういう意味だ!?」
フォースの言葉にさらに、顔を見合わせる二人。やがて、折れたのかファーストが切り出す。
「俺たちが使っているデバイスは鬼の細胞を一部転用しているんだ。だから、使用続けるとやがて、鬼になってしまう。だが、そうなる前に使用制限が来るように設定されている。だから、デバイスは使用者を一人にしか設定出来ないし、個人で使用するように促している。この事を話すと怖がって使用者が現れない懸念があって黙ってたんだ。本当にごめん。」
そう言って頭を下げるファースト。
「なるほどな」
理解されたと思ったファーストは頭を上げる。
すると、驚く、何故ならフォースはまだ、怒りの表情を浮かべていたのだ。
「このことはセカンド、アンタも知っていたのか?」
「え?あ、うん。知ってたよ。初期のデバイス持ちは3人とも了承の上で使ってたよ。」
「はぁ~」
フォースはため息をつき、一瞬顔を下げたあと再び顔を上げるとさらに怒りの表情を浮かべ睨んだ。
「てめぇらはそろいもそろって俺たちを裏切っていたんだな。鬼を憎んでるって言っておいて鬼を産み出しているんだから世話ねぇよな。」
「それは違う!」
叫んだのは中央エリアとロビーエリアを繋ぐ扉から来た佐久田博士だった。
「わしらは鬼に怯える生活を打開すべく力を合わせ、B.Sを作り上げたのじゃ。最初は使い続ければ死ぬとされていたのを使用を続けた際、健康診断で発覚した事が鬼化現象だったのじゃ。断じて鬼化するためにB.Sを作ったのではない!」
「だから、何だ?結局鬼になるんじゃねぇか!鬼を産み出してるんだろうが!身寄りのねぇやつらを集めて鍛えて、兵士に仕立て上げた挙げ句に鬼にしてるんじゃねぇか!」
「だから、違うと言っておろう!」
博士の訴え虚しく、フォースはデバイスを腰に装着する。
「もうてめぇらを信用できねぇ。ここでアンタら3人を消してやるよ。そして、俺もろともデバイス持ちをこの世から消してやる。チェンジ」
『チェンジ リミット28』
フォースはB.Sを起動し、黒いB.Sを纏った。
「なぜ。分かってくれぬのじゃ」
博士は理解してくれないフォースに落ち込み床に膝をつけた。




