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灰色の世界  作者: 春﨑 ゆう
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第二話

人型の鬼は目隠しをされ、手錠されたまま連行された。

目隠しされながら移動した為、本来の倍以上の時間がかかった。

そして、特殊合金で囲まれた部屋に入らされ、椅子に座らされてから目隠しが外された。

「やっと外されたか。ていうか、すげぇ頑丈な部屋に入らされたな。」

人型の鬼は部屋を見渡しながらつぶやいた。

「B.Sからの映像から見て、思っていたけど、あなた独り言が多いのね」

人型の鬼から3mほど離れた場所から30代の女性が話しかけた。女性と人型の鬼の間には一人のB.Sを装備した部隊陸の隊長が立っている。そして、女性の横に70代ぐらいの男性が立っている。その人の前にもB.Sを装備した隊員が一人立っている。そして、人型の鬼の横にもB.Sを装備した隊員が立っていた。

直径8mほどの部屋に5人と一匹が入っていた。

「まあね。あとダメもとで言うけど、デバイス返してくれない?あれつけないとまじでやばいことになるよ?」

「あ~、そういう脅しには屈しないから。こちらの質問以外は黙っててくれるかしら。じゃないと」

人型の鬼の横にいる隊員が鬼の首筋に剣をあてる。

「あなたの首が飛ぶわよ」

鬼は頷くと首が切れる為、無言で女性に対し肯定の意思を表示をする。

「あ、そのままじゃぁ頷けないわね。おろしてくれる?」

女性の指示に従い、隊員が剣を降ろす。

「まずは、あなたが何故、私たちに攻撃しないのか。簡単に掴まったのか教えてくれる?」

「信じてもらえないと思うが、俺は元人間だ。だから、人を食わないし、人を攻撃しない。ゆえに抵抗もしないんだよ」

鬼の発言に驚き少し沈黙が流れる。

「ありえないわ。」

沈黙を破ったのは女性だった。

「鬼は遥か昔から存在しているけど、人が鬼に変化した何て事例なんて一件も無いんだから。それに人が鬼に襲われたとしても、人が鬼に変わる事は無かったわ。鬼が人を食べることはあるけどね。」

女性の発言に鬼は意外そうな反応をした。

「まじか。お前らが使っているデバイスは安全なものに改良されたのか。」

鬼の発言に周りが静まり返る。

「話が見えないんだけど、あなたが鬼になった理由はB.Sのせいだって言いたいの?」

「あぁ。そうだ。俺は使用制限を超えてデバイスを使った為、体がデバイスに耐え切れずに鬼化してしまったんだよ。」

鬼の発言に再び静寂が訪れた。

「ちょっと待ってくれるかの?」

そこで待ったをかけたのは今まで黙って聞いていた。70代の男性であった。

「わしはここで研究を任されている。源六(げんろく)という者じゃ。お主が持っていたあのデバイス。見たことが無いものでな。今は解析中だが、どこから手に入れたものじゃ?」

「あれは佐久田博士が作ったものだ。そして俺が第一被験者、桜井達郎だ。」

鬼の発言に驚いたのは女性と源六博士のみ。他の隊員は警戒をしているだけだった。

「あなたどこからその情報を手に入れたの?それは機密事項よ」

女性はかなり警戒し、鬼をにらみつけた。

「それは張本人であるからとしか言えないな。しかもこの事が機密事項だと知っていれば話さないさ。話したら余計に疑われるだけだからな。」

「待てよ。とすると、もしかしてお主、抗生剤無しでB.Sを使ったのか」

「ん?あんたは理解してくれたみたいだな。そう、俺はデバイスの副作用で鬼になっちまったんだよ。」

沈黙が流れた。

「待って、どうゆうこと?B.Sは安全じゃなかったの?」

この発言には隊員も驚いていた。

今まさに自分たちが使っている物が鬼を生み出す装置だなんて聞いていなかったのだから。

「おぬしら落ち着け!解除をするでない!」

慌てて、B.Sを解除しようとする隊員に怒鳴りつける源六博士。

「いいか。よく聞け、そのB.Sは一時的に身体能力を上げる薬を投与しているが、その副作用を抑える薬も着用後に投与する仕組みになっている。その身体能力をあげる薬が鬼に変質する薬と昔は言われていたんじゃ。もっとも今は昔の薬をさらに改良し、鬼に変質することはないが、下痢や嘔吐などの副作用程度に抑えられているがな。」

博士の言葉に安堵する隊員たちであった。


「その副作用に関しては、最初から鬼化することを伝えられてはいた。だが俺はたとえ俺自身が鬼となろうとも、それで沢山の命が救われるのであれば構わないと思っていたけどな。」

自分の命を落としてまで人の命を救おうとした。その発言に周りが驚く。

「それが本当ならあなたは人類の救世主ね。でもおかしいわ。仮にあなたが言った事が本当だとしましょう。でも、その副作用の事が分かっていて、尚且つ使用制限が明確に分かっていたなら、そもそもあなたは鬼になってなどいないじゃない。」

「使用制限を越えてでもデバイスを使わないといけない状況になったらどうする?それでも、使わずにいられるか?」

「それは……」

女性は少し考えて、なにかを言おうした時

「俺には出来なかったよ」

人形の鬼は呟いた。


そして語られる人型の鬼の過去の話。










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