中間テスト
テスト当日、僕は焦っていた。
夜遅くまで勉強していたせいで寝坊してしまったのだ。さらに悪いことに、体調があまり良くない。普段だったら欠席するレベルだ。
ー約1時間前ー
「兄さん、起きなくて良いの?テストじゃなかった?」
久しぶりに話しかけられたなぁとか思っていたが、寝ぼけた頭で言われたことを考える。
「起きなくて良いの?」 と言われた。つまり遅刻しそうということだ。遅刻………
「やばっ!!」
今までにないくらいの速さで飛び起きた。眠気なんて一瞬で吹っ飛んだ。時計を見てみるといつもなら家を出ている時間だった。普段はギリギリ間に合うくらいの時間で家を出ているので相当まずい。
「ありがとう!」
起こしてくれたことに感謝しつつ急いで準備する。朝食なんて食べてる暇はない。そしてすぐに家を飛び出した。
自転車通学なので急げば数分は通学時間を短縮できる。危険ではあるが、猛スピードで学校へ向かう!
そういうことがあったのた。ちなみに遅刻は免れた。
まあ、そんなことがあったためテストに集中できるはずもなく初日のテストの点数はあまり芳しくなかった。
テストが明けて、僕はまた図書館へ行った。実は桜坂とテストの点で勝負することになっていたのだ。勝った方がなにかするとかは特に決めてない。いや、多分何もしない……と思う。
しばらくすると桜坂が来た。
「あ、いた。藤原君ー」
名前を呼びながらこっちに近づいてくる。
桜坂さんの容姿が良いこともあってめっちゃ目立ってる…
桜坂さんが僕の隣に来ると、もちろんみんなは僕たちに注目する。思っていたとおりみんなから恨みがましい目で見られる。何でこいつが、とか思われているのだろうか…
まあ、そんなことを気にしていても仕方がないので、とりあえず桜坂さんの席を空ける。桜坂さんは席に座ると、
「では、見せてもらいましょうか」
と、いきなり見せるようにと言ってきた。
「桜坂さんはどうだったの?」
「私は結構できましたよ。藤原君は?」
「んー、そこそこかなぁ」
思いきって桜坂さんに返ってきた答案を見せた。基本70点台で、数学は90点前半、英語と国語は65点くらい。社会は苦手だが、簡単だったので80点くらいだった。合計点は762点だ。10教科あるので平均点は76.2点だ。
「……数学高いですね。羨ましいです」
「まあ、得意だからね。桜坂さんは何点だったの?」
すんなり見せてくれた。社会は僕より少し高いくらいで、国語、理科、英語が85点くらい。意外なことに数学は50点くらいだった。合計点は782点だった。負けた…
「えっと…数学どうした?」
「解き方は分かっていたんですけど、時間が足りなくて…あと計算ミスが多かったですね…」
「他の教科は全部高いね」
「まあ、がんばりましたから…」
他が高い分数学が低いのが相当くやしいようだ。そこが高ければ学年1位を目指せるのではないだろうか。
「私の勝ちですねっ」
悔しいが負けを認めるしかないほどボロ負けだった。
「まあ、負けたんだし何かしてほしいこととかないか?」
「してほしいこと、ですか…」
「何でも良いよ?」
「そうですね…じゃあ数学を教えて下さい!」
「あ、いや…それはお願いしなくてもいつでも教えてあげるよ」
「え?本当ですか?」
「うん、それくらいならいつでも」
「そうですか…」
「なんかない?」
言っておきながらでなんだが、そんなに頼み事なんてないと思う。
「では…」
少し言いにくそうに照れた様子で、
「今度遊びに行きませんか?」
と言われた。
「そんなことで良ければぜひ行きましょう!」
もちろん喜んで承諾した。