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平凡な僕と桜坂さん  作者: まめるり
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図書館にて


「隣に座っても良いですか?」


図書館でテスト勉強をしていると藤原迅はそう声をかけられた。


「ど、どうぞっ」


僕はそう言って隣に置いていた荷物を退かした。

ていうか、この状況で断れる人はいるのだろうか。いるのなら少し見てみたい。いや別に見たいわけでもないか…


隣に座ってきたのは同じクラスの桜坂花織という人だ。

クラスではその容姿から知らない人はいなく、学年でもほとんどの人が知っているほどである。

僕からみた彼女の第一印象はおしとやかという感じ。とても日本人とは思えないくらいである。髪の色は明るく、桜のような色であり、背は平均的だと思う。


今日は5月上旬なのでそろそろテスト勉強を初めなければならない。高校に入ってから初めての定期テストだ。

僕は最初どれだけ頑張れるかで今後どれだけ良い点がとれるかが変わってくると思っている。現に中学生のとき、小学生気分のままでいたこともありとても点が低かった。順位は真ん中よりもかなり下くらい。3年生になり、

「これはやばい」

と思ったため1年間必死に勉強し、とてもではないがそこそこの偏差値の高校にはいることができたのだ。


まあそんなことがあったため、今度こそはちゃんと勉強をしようと思う。いつまで続くのかは分からないが…


僕はかなり理系が得意だ。特に数学が好き。だが、その代わり文系は全然できない。社会系は覚えれば良いだけだと思っているが、国語は何をすれば良いか分からないし英語はそもそも単語力がなくほとんど読めない。なんとなくで解いている感じだ。結構そういう人が多いのではないだろうか。

まあ、そんなこんなで放課後に勉強をしていたのだ。


勉強に疲れていたので休憩がてらふと隣を見てみた。桜坂さんは数学をやっているようだ。たぶん中学校でもやったような因数分解やそれの発展のような問題だろう。


だが、最初の方からかなり悩んでいるようだ。じーっと見ていると、目が合ってしまった。


「どうかしましたか?」

「いや、何もないよ」


人と話すことが苦手な僕はついそっけなくなってしまった。そんなことには気にしなかったのか続けて話しかけられた。ちなみに図書館なので小声だ。


「えーと、もし良かったら勉強教えてくれませんか?」

「も、もちろん良いですよっ。でも人に教えたことがないのでうまく教えれるか分からないですけど…」

「私も頑張るのでよろしくお願いします!」


思ったより明るい子だなと思った。

「えっと…どこが分からないの?」

「この問1が分からなくて…」

「ここはたすき掛けを使って解くんだけど…えーと、こういう感じで」

実際に例題を考えてそれを解いてみせる。桜坂さんはまじまじとその問題を見ている。まだしっくりきていないようだ。だから、今度はもうちょっと噛み砕いた表現で教えてみた。すると、

「じゃあこういう時はどう解くのですか?」

「それは、公式に当てはめて解くんだけど…こういう感じかな」

「なるほど…」

彼女は理解するのが早かったのでとても教えやすかった。


そうしているうちにいつの間にか帰る時間になっていた。

「えーと、そろそろ帰る時間だよ?」

「えっ?あ、本当ですね。じゃあそろそろ帰りましょうか。今日はありがとうございました!今度お礼します

ね!」

「えっ、お礼なんていいですよ…」

「そういう訳にはいきませんっ」

義理堅いであろう彼女からは絶対にお礼をするという意志が感じられた。目を見てもそれが伝わってきた。なので僕は、

「じゃあ、今度僕に勉強を教えてくれない?」

「えっ、私がですか?」

「あ、無理ならいいです…」

すると桜坂さんは少しとりみだしながら、

「いえ、分かりました!今度また教えますね?」

どうやら教えてくれるようだ。でもいつにしよう…

連絡がとりたかったので思い切って聞いてみた。

「せっかくなので連絡先教えてもらっていい?」

「あっ、良いですよ?どうぞ!」

快く受け入れてくれた。そうして連絡先を交換したあと僕たちは図書館を後にしたのだった。


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