邂逅そして勝利
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「はぁ、はぁ……ここまでくれば大丈夫だよね」
静かなはず地下空間、その中で僕は息を切らしながらナニカから逃げていた。
「最初の敵にしてはなんか違くないかなアレは!」
分かれ道などないほぼ真っ直ぐなこの場所、大きな声を上げればたちまち存在に気づかれてしまう、しかし半ばパニック気味な僕にそんな理性的な思考はあるはずもなく荒げた息、そして声をあげてしまう。
硬そうな蹄が地面を蹴る音が聞こえる、まだ振り切ることができていなかったのだ、僕はその音を聞いて覚悟を決めて振り向いた。
時は遡って数時間前、やっとの思いで武器を作ることができて舞い上がった僕はついに先へ進むことにした。
「ん?……これは」
そうしてちょっと進んだところにザ・自然なイメージの洞窟にはいささか似合わない、機械でできた逆さにしたワイングラスのようなものが目の前に出てきた、中に入れるようになっているのか自動ドアのようなものがついているのがわかる。
「んー、他に道もなさそうだし進んでみるか」
近づいてみると目の前にウィンドウが表示された、そこには
『この転送装置に触れると敵対モブが出現するエリアへ移動します、転移は一方通行でここへ戻ってくることはできません』との記載があった
「ここから敵が出てくるのか、よし! 覚悟を決めてレッツゴーだね!」
このときの僕は武器も持っていることだし多分なんとかなるでしょう、なんて甘い気持ちで転移装置の中へと入っていったのであった。
中に入るとまたウィンドウが出てきた。
『転移します、よろしいですか? Y/N』
迷わずイエスを選んだ、すると目の前が一瞬で真っ暗になり、軽い衝撃を足に受けたときにはまた地下世界にいた。
また、とは言ったがさっきまでの苔むした自然という感じではなくどこか整備された印象を感じる、天井まで伸びてるだろう石柱が所々に伸びており広々とした空間になっていて、どういうわけだか光源もないはずなのに暗くないのも不思議だ。
「ひっろいなあ、見た感じ横道もないしいぃぃぃぃ?!」
周りを見回していたら、ふいに床を大きく揺らすほどの爆発音がした! 敵襲と思いとっさにナイフを構えるが近くには特に敵も見当たらない。
用心しながら前へ進んでいく、するとそこには柱の一部と床を大きくえぐるほどのクレーターと何かしらの生物の肉片が飛び散っていた。
「うへぇ……やっぱ15歳未満はプレイできないとはいえグロいなあ、でもなんでこんな死に方を?」
そもそも他の生物にやられたのならそいつが居るはずなわけだが見当たらない。ふと思い立って落ちているおそらく脚であろうものに【鑑定】をかけた。
キューリボアの肉片(脚) 状態 劣
キューリボアの後ろ足の肉片、外傷がひどくまともな使用法はない
《追加情報開示が可能Y/N》
もちろんイエス
《追加情報開示》
キューリボア
角に魔力が溜まっており、衝撃に反応して爆発する。目は退化しており聴力が高い。火に弱く己の爆発に耐えられないため敵対したものと相打ちになる事が多い。穏やかな性格をしているが大きな音などで驚くとその元凶に強い敵対心を持つ。
「めちゃくちゃ欠陥生物じゃないか……」
つまりここで爆散したであろうキューリボアこと爆散イノシシ君は自爆をしたってことなのか。
まさかの事実に驚きながらもボアの亡骸を調べていた、しかしこのときの僕は自爆というものにショックを受けすぎて気づいていなかった。爆発をしたということは大きな音が鳴ったということ、実は遠くの方にキューリボアが見えていたこと、そしてその音の元にいるのは僕一人だと言うことに。
蹄が地面を力強く踏みしめる音が聞こえる、それはいくつも重なって聞こえる。それが僕にその音の主が一匹じゃないことを伝えるには十分であった。
「……ッ!」
その音が耳に聞こえたとき、僕は振り向くよりも先に駆け出した。後ろでは爆発音とボアの悲鳴のような声、それを追いかけるように数回の爆発音。
「誘爆するのかよあいつら!」
そうして冒頭に帰ってくるというわけだ。
「逃げてもしょうがないなら、やるしかないね!」
幸いなことに柱などが多いこの空間、真っ直ぐに走らず小回りを聞かせて逃げていたことで目の前にいるのは一匹だけになった。
この人形の身体は疲れというものが無いのか疲労を感じない。ただ、爆発で飛んてきた石が当たったのか身体の数カ所に軽い傷が入っている。
「アクションの経験ならある、フルダイブの撮影のときにおんなじような敵とも戦わされたこともある……よし、いける。」
過去の経験を掘り返す、そしてそれを僕に入れ込む。
前からは明確な敵意をもってボアが突っ込んでくる、60キロは出てるのではだろうか、しかし集中しきった僕には足りない。
「遅いんだよね!」
このIAOはリアルを追求したフルダイブ型オンラインRPGだ、HPの概念もあるが基本的には現実に沿って作られている。そのため……
「よいしょ!」
僕は突っ込んできたボアをギリギリで避けるようにしながらすれ違いざまに首元にナイフを突き刺した! タイミングばっちりでちょうど脊椎、急所を絶つことに成功した。
「いやこのナイフ切れ味やばすぎる……骨までキレイにいったよ」
そう、いくらHPがあろうが生き物が首飛んで生きてるわけがないのだ。このゲームは創作物の世界のように腹を貫かれても普通に動けるものではないのだ。
勢いが無くなり滑るように前にすすみ止まったボアを背に、自分の作ったナイフの切れ味に感動をしていた。まさか骨まで刺さるとは思わなかった。
ボアに刺さったナイフを抜くとボアはまるで結晶になったようにヒビが入り砕けて消えてった。この世界で死んだ生き物は皆同じように死体が消えていくのである。
「ひとまずこれで安心だね……」
こうして僕の初めての戦いが終わった。
Q めっちゃ強い人の首にナイフを刺せるならレベルとかなんもいらんやん
A めっちゃ強い人は首にナイフは刺さらんし刺せると思うなよって感じ
こんな感じのイメージでお願いします。
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