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Inosennto Actors Online〜その人形は誰がために〜  作者: 赤烏りぐ
序幕〜それは子供のように無邪気に〜
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凡ミスとパスタと後輩と

お久しぶりです、ガンダムっていいですね

 ということで始まりました、キュー○ー3分クッキングのお時間ですっと。

まずは皆さんのご家庭によくある奈落の石ころ(鉱石混じり)を用意します。そしてそこに【クラフト】!そうするとー?システムメッセージさんから、『対象のスキルは失敗しました。』との無情なメッセージが送られてきますコンチクショウ!!


「また駄目だったのかぁ。」


 かれこれ1時間石ころに対して【クラフト】を行おうとしているがうまく行かない、練度値も20を超えたが成功しない、一体何が足りないというのだ...


「スキルの使い方は間違ってないと思うんだけどな...【クラフト】なら対象のアイテムを用意してそいつに...あっ!」


 とっても基礎的な欠陥に気づいてしまった、なんて当たり前なことを忘れていたんだぼくは...石がどうなるのかをイメージしなかったらできるわけないじゃないか。こんなことに1時間も費やしていたことで若干気持ちが萎えてきたが、気を取り直して石から金属を取り出す作業にかかろうと思う。


 まずは石ころ、前に回収したトライブ鉱石なる鉱石の含まれている石だ。にぎりやすい丸みを帯びた石の中に混ざる鉱石をイメージ、灰色の中に光るキラキラを外に押し出すようにする。他のことは考えないでこれ一つに意識を集中させる...


 すると石ころがぼんやりと光って2つの光に分裂した、そして運命のステータスメッセージが届いた。


『スキルの成功を確認、トライブ純石を入手しました。』


「よっしゃあ成功だぁ!こんなに時間がかかるとは思わなかっt………ッ!」


 ゲームを開始して数時間、初のクラフトが成功し僕は思わずガッツポーズを決めた、正直めちゃめちゃ嬉しかったし今日はもうここで終わりでいいんじゃないかと思っていた。しかしそんな僕はまた冷水を浴びせられたような思いになった。


 それは一体どうしてか、


「石ころの中に入ってる鉱石の量めちゃめちゃ少ないじゃないか…」


 そう、圧倒的含有量の低さを忘れていた。石ころが僕の手のひらに収まるくらいなのだ、その中の数%しか入っていない鉱石だ、インベントリから取り出すと小指の爪程度の大きさの丸い粒がキラキラと光っていた。この粒1つ作るのにに1分は余裕でかかる、その先を見据えて僕が取った行動は1つだった。





「よし、パスタが茹で上がったから硬さを確認しt『ピピピ!!』うわ熱っちい!!!」


 あの先に見える苦行の香りを感じ取った僕はそっとログアウトを選択したのだった。ま、まあちょうどお昼くらいだったしちょうどよかったカナー?はい、萎えただけです...


 ゲーム内の時間はだいたい現実から2〜3倍の間でランダムに加速した時間で進んでいるらしく、朝にログインしてかなりの時間探検をしたはずだが、ログアウトをしてみると11時半ほどだった。これは様々な生活リズムの人々がいる中ですべての人が平等にIAOの世界で生きられるようにしているらしい。確かに現実の通りに

時間が進むとなると同じ時間しかフィールドにいられないため夜しか遊べない、なんて人も出てきてしまうもんなぁ。


 そしてお昼ごはんを作っていたわけだが、超でかいメッセージの通知音のせいで危うく火傷するところだった...後で設定いじっておかないと。そんな僕の火傷の原因してないは一体誰なのか、デバイスを確認してみるとそこには、♡愛しの杏♡と言う名前が…軽く襲ってきた頭痛をこらえながらメッセージを開いた。


『拝啓、愛しの♡、ハルカくn』──────僕は文章をそっと閉じた。


 とりあえず、かなり強くなっていた頭痛を抑えるために薬を飲みながら、送られてきたモノの解読作業を始めた。ハンパじゃない数の絵文字に語尾が何故かカタカナで終わっていて、さらには聞いてもないのに近況報告、これは...学生時代に古典で学んだおぢさん構文というやつだ。


 メッセージの送り主は柴原杏しばはらあん、僕がお世話になっている柴原監督の一人娘であり、現役高校生で僕の後輩である。おそらくこの見てるだけでSAN値が削れそうな文も学校でちょうど習ったのであろう。


 絵文字の山をかき分けて文章を解読し要約すると、


『IAOを始めたと聞きました!私も夏休みに入って時間がいっぱいあるので一緒に遊びましょう!!』とのことだ


 断る理由もないがまだ人一人はおろかモンスターにすら出会っていないため杏には、一段落したらまた連絡する。とだけ送っておくことにする。


 こんな他愛もない会話をするためだけに数十分かかるなんて思ってもいなかった。つい、メッセージに集中してしまっていたためなんの作業をしてたか忘れていた。そしてデバイスからふと目を話すと目の前にはグツグツと煮えた鍋、そしてその中で舞う麺の姿であった。


 「そいえばパスタ茹でてたんだった……」








 今日のお昼は茹ですぎてフニャフニャのパスタになりました。

 

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