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なろうラジオ大賞3

行先はサイコロ次第

「ほんじゃ、次は俺様の番。」

 サイコロを手にしたアーチは訳あり連中の寄せ集めの中では、最年少。本当だったら、まだ学校に通っている年齢のはずだ。どこで手に入れたのか、偽造された身分証明書では16歳ということになっているが、ありゃ絶対に嘘だ。

 舐められまいとしているのか、ワザとデカく見せている態度に、周りの連中も薄々気付いているが、黙っていてやる程度には皆、大人だ。


「6と6。すげえ! 12だぜ。決まりだな。」

 幸運にも最高の目を出した興奮で、アーチは、子供らしいはしゃぎっぷりを見せている。


「おお、すげえ、すげえなあ。んで、どこにするんだ? さっさと決めてくれや。」

 1人、大人げない奴が混じっていたようだ。あからさまに、ムッとした顔で、水を差している。


「アーチ、どうでもいいけど、食事が不味いところは勘弁だかんな。ロンドアとかはやめろよ。」

「あら、ロンドアなら、最近変わってきてるんだから。ロンドアいいわよ~。あそこならショッピングも楽しめそうだし。」

 自分の希望をあからさまに押し付けてくる奴2名。ったく、どいつもこいつも。


「アーチ、そいつらに耳貸すな。お前の勝ちなんだから、お前が行きたいところにしろ。慌てなくていい。どうせ準備には丸1日以上かかるんだ。」

 俺は見かねて、アーチに声をかけた。


「俺、行ったことがないところがいっぱいなんだ。どこに行っても楽しめそうなんだけど……。」

アーチは壁に貼られた航宙図に顔を寄せながら、思案していた。そして、

「空飛び猫が棲んでいるのってどこ? 俺、空飛び猫の群れが飛んでいるところが見たい!」

と言ってきた。空飛び猫だって? あんなもん、何が面白れぇんだ?


「ははは、空飛び猫な。よっしゃ、決まりだな。うんうん、いいねえ。美味い魚が食えるぞ~。」

「まあ、悪くねえ選択だよな。んじゃ、手続き行ってくらあ。出航予定は明後日になるな。おい、航宙局に用がある奴他にいねえか? 乗っけてくぞ。」

「あたしも行く。持ち出し上限まで準備しなきゃでしょ。やっぱりカジノじゃない? あそこに行くんだったら。航行許可証の期限は問題ないから、途中で降ろして。」

 3人は満足したらしい。面白くねぇのは、俺だけかよ。

 

「ブランは別のところが良かったんか?」

アーチは困惑したようだった。


「いや。そう言えば、何で空飛び猫なんだ?」

「だって可愛いじゃん。」

俺の問いに、アーチは、無邪気に答えたのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] とある長編のワンシーンって感じですね。 ロンドア、楽しそう。 [一言] 無邪気にかなう物なし!
[良い点] まさかのSFの話だったとは!って驚きを、軽~く越えてくる空飛び猫の存在。 なにそれ驚き!可愛い!見たい!どこに行けば見れますか!?
[良い点] 空飛び猫の群れ、なにその夢のような光景! 私もアーチに賛成♪
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