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レベル上げの日々にて

 ゲームの電源オフ後、勇者が育った街にある酒場での会話。


 勇者まさとし(以下、ま)「今日何体スライム倒したんだよ……」


 幼馴染の魔法使い・ゆかり(以下、ゆ)「倒しすぎて、与えるべきダメージ量と貰える経験値覚えちゃったわ……。でも、レベルが上がって一撃で倒せるようになってくる感じ、RPGの醍醐味の一つよね!」


 ま「確かに後半は楽になってきたけど……。スライム側も倒されすぎて、倒される時のアクションで遊び始めてたし。倒される時のアクション大喜利みたいな」


 ゆ「バトルの中で何回か同じスライム見たけど、モンスター業界も数が不足してるのかしら?」


 まさとしとゆかりは、冒険2日目以降しばらくレベル上げの日々に明け暮れていた。いや、正確には彼らを操作している「プレイヤー」によってレベル上げ「させられている」というべきか。


 ま「そろそろこの武器も変えたいよ。いつまで「えだこんぼう」で戦うんだこのプレイヤーは!」


 ゆ「あなたはまだマシよ。私なんて、魔法使い設定なのにまだ杖すら持っていないもの。どこから火球が出てるのって話だわ」


 ま「そもそも、今から魔王討伐に出掛けようとする人に対する王様からの支度金が「50ゴールド」て。どんだけ財政難何だよこの国は! 子供のお小遣いのほうがよっぽど貰ってるよ」


 王様(以下、王)「……王様役として恥ずかしいよ。どんだけ貧乏なんだこの国は……」


 ゆ「とりあえずレベルは上がったんだから、そろそろ次に進むんじゃないかしら? 王道でいくなら、次はちょっとしたダンジョンなんかに向かいそうよね」


 王「ダンジョンに行くんだったら、普通のプレイヤーならぼちぼち新しい武器や防具を買い揃えるだろうな。電源がオフになっている今のうちに前もって見ておくのもいいんじゃないか?」


 というわけで、まさとしとゆかりは街にある武器・防具屋へ向かった。


 武器屋(以下、武)「最初の街の武器屋役ほどつまらない役はないよ。こんなもん絶対序盤に外すやろ、ってやつしか売ってないからね。そう考えると、最初っから魔王がいる城の付近にある街の武器屋が魔王を倒しに行く方が手っ取り早いよな」


 ま「まぁまぁ、楽でいいんじゃない? ここでは何を売ってるの?」


 武「「えだのけん」と「きのつえ」だな。序盤だから、どっちも木で出来たものだな」


 ま「……まぁ、無いよりはましか。防具は?」


 防具屋(以下、防)「RPGの王道「おなべのふた」だ。これだったらぶっちゃけ、家にあるやつ持っていってもどうにかなりそうだよね。魔法使い専用だと、「ぬのきれのローブ」なんてものもある。これで防御力が上がるというのは甚だ疑問だが」


 ゆ「戦闘で得たゴールドがあれば全部買えそうね。といっても、買うかどうかはプレイヤーが決めることだけど」


 ま「「おなべのふた」を持ってウロウロしたり、誰かに話しかける勇者って凄い構図だよな。主婦かよって」


 武「世界を救うため魔王討伐に向かう勇者一行に対して、あくまで「定価」で売り付ける武器・防具屋も地味に凄いよな。ある意味商売人としてプロだよ」


 防「ま、序盤の街の武器・防具屋で手に入るものなんて、次のダンジョンに落ちてる宝箱に入ってるから買わなくてもいいけどな!」


 武「俺らの立場よ……」


 ま「ゲームが始まったらまた来ることになると思うから、その時はよろしくねー!」


 ゆ「まだ時間ありそうだから、ちょっと王様がいるお城の中でも見学しとく? 王道のRPGだと、割と序盤で最初の街は破壊されたり燃やされちゃう傾向があるから、その前に見ときましょうよ!」


 ま「それ、王様役の人が聞いたら泣くぞ……。いくら設定とはいえ、俺たちが生まれ育った街が無くなるっていうのはちょっと寂しいよな……」


 ピロリーン。


 ま「まずい! 思ったよりも早く戻ってきた! 俺たちも早く元の位置に戻るぞ! あれ? 俺最後どっちの方向向いてたっけ……」


 ゆ「私まだトイレ行ってなーい!」


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