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9回目 ここからは歴史通りに、でも事前の状態は全く違う

「まあまあ早いか?」

 今回の進み具合を見てそう思う。

 運も絡んでくるからなんとも言えないが。

 それでも西暦1880年でフィリピン確保は結構早い。

 これで今後の展開も楽になる。



 フィリピンという資源供給地を得たことで生産が安定する。

 全ての物資がそろうわけでは無いが、これで資金に余裕が出来た。

 少なくとも、他よりは幾分安く資源が手に入る。

 それだけでも上々だ。



 また、戦闘経験を積めた事で、軍の能力も上がる。

 これが結構大きい。

 おかげで、この後に控える戦争もいくらか楽に進めていける。



「あとは、開発を進めて……」

 やるべき事を更に進めていく。

 今の段階でも、史実よりは相当進んでいる。

 あらゆる点で国力は上だ。

 しかし、それでも油断は出来ない。

 何せ、次に控えるのは当面の大敵なのだから。



 ロシア帝国。

 日本が接する国の中では最強だろう。

 これが着々とやってきている。

 出来ればこれを撃退して安全圏を確保したい。

 しかし、なかなかそうはいかない。



 まずもって、アジアの大国である清にやる気がない。

 もう少し頑張ってもらいたいのだが、残念ながらそれは期待できない。

 国力は決して小さくは無い。

 むしろ巨大と言っても良いのだが。



 一応、ゲームなので様々な工作は仕掛けている。

 清がやる気を出し、アジアで頑張ってくれるように。

 そうなれば言うことはない。

 その戦力は決して小さなものではない。

 土台となる国力も悪いものではない。

 なのだが、今ひとつやる気になってくれない。



 工作の結果、かなり前向きになってはきている。

 しかし、どうしてもその動きは鈍い。

 一応独立を保ってはいるが、様々な形で浸食されている。

 残念ながら味方として期待は出来ない。



 ならばせめて同盟を。

 それが無理でも互いに戦争しないという不可侵条約でもと思うのだが。

 これがやっぱり上手くいかない。

 なんというか、史実に沿った展開になっている。



「今回は駄目か」

 早々にススムも諦める。

 場合によっては、清がやる気を出し、ロシアとあたり合う事もあるのだが。

 今回はそれは期待できそうになかった。

 となれば、この先にあるのは歴史と同じ出来事。

「戦争か」



 可能な限り避けたいところではある。

 この時期の日本にとって、清は決して弱い敵ではない。

 国力の全てを注ぎ込んで挑む強敵だ。

 ススムによって底上げされてるとはいえ、ゲームの日本でも手こずる相手だ。

 しかも、ゲームならではの難しさもある。



 ゲームだと、戦争がいつまでも終わらない。

 領土の全てを失うまで続ける。

 そういった事態もありえる。

 早期の講和による終了が難しい事がある。

 そういう風にプログラミングされてるからだろうが。

 このあたりがゲームの限界といえる。



 それが結構起こるのだ。

 おかげで、何年も戦争を続けるという事態も起こりうる。

 また、場合によっては清を支援する国も出てくる。

 そうなると、本当に泥沼の戦争になりかねない。



 なので、清との戦争には慎重にならざるをえない。

 史実より有利な条件を作れたとしてもだ。

 その有利すらも覆される事がある。

 ここが難しいところだ。



 それでも、できるだけの準備はしていく。

 戦って勝てるように。

 もちろん、戦争以外のところでも勝てるように。

 領土も人口も格上の相手と戦争をするのだ。

 やれる事は全てやらねばならない。



「といっても、やる事一つしかないんだよねー」

 相手の内部を攪乱し、戦争が出来ない状態にする。

 基本、これしかない。

 弱い者が勝つには、相手を少しでも弱くする必要がある。

 もちろん、自分が強くなる事を忘れずに。

 でないと差が縮まる事は無い。



 とはいえ、謀略だけでどうにかなるわけではない。

 実際にぶつかり合う戦力は必要になる。

 そして、相手への交渉(という名の脅迫など)も。

 とにかく、ある程度有利なところでぶつかり、そこで講和に持ち込む。

 でないとどうにもならない。

 延々と戦争を続けられたら、国力に余裕の無い方が潰れる。

 残念ながら、日本にはそんな余裕は無い。



「どうしても金がかかるよね」

 史実でも、国家予算の二倍という戦費がかかったという。

 これが延々と続けばどこまで予算が膨れあがるか。

 想像するのも恐ろしい。

 史実の日本よりは余裕はあるが、それも無限というわけではない。



 本質的に、ロシアとの戦争と同じなのだ。

 広大な領土に引きずり込まれれば負ける。

 そうなる前に手を打たねばならない。

 問題はそれが上手く出来るかどうか。

 ゲームではあっても難しいところだ。

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