表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/70

43回目 第二次世界大戦

 進軍は順調に進んでいく。

 内陸アジアもイランも特に抵抗なく陥落していく。

 もともと懐柔工作などを続けていたのもあるだろう。

 これを機会に独立を宣言する地域もある。

 それらととりあえず国交を締結していく。



 そうしてからインドに到達。

 本格的な攻略をしていく。



 これも事前に諜報員を送り込み、独立運動をあおっていた。

 そのおかげで、インドのあちこちで蜂起する者達が出てくる。

 高まっていた不満に応じて、その数は多くなる。

 今、それが具体性を帯びていった。



 ただ、中華民国への援助経路を遮断するなら、インドを制圧する必要はない。

 インド北部の中華民国に通じる地帯を制圧するだけで良い。

 これだけで、中華民国への物資補給が終わる。

 また、そうすると援助していた国も判明する。



 とはいえ、黒幕の正体はとっくに判明はしていた。

 ここで得られるのは具体的な証拠だ。

 それにより、情報だけだったものに物証が添えられる。

 全てが今更であるが。



「まあ、これで糾弾出来るか」

 やってもそれほど意味があるわけではない。

 だが、味方の士気が上がったり、国際関係に影響が出たりする。

 何もしないよりはマシではあった。

「じゃあ、全世界に公開」

 指示を出していく。



 報道機関を通じて公開された情報。

 それは世界中を駆け巡る…………とはさすがにいかない。

 各国とも自国に都合の悪い事は報道しない。

 報道機関だってそれは同じだ。

 都合の悪いことを報道しても金にならない。

 むしろ、そんな事を報道すれば視聴者が激怒する。

 誰だって自分の国の都合の悪い事など聞きたくもない。



 なので、自国内だけでもかまわないので報道していく。

 また、友好国にも同じ内容の事を伝えていく。

 ラジオと新聞が大々的に報道していく。

 それだけでもとりあえずは十分だった。

 どうせ敵国に届かないのなら、無理をする必要は無い。

 足下の支持だけでも集められれば十分だ。



 あとついでに、そういうった流れをくみとって、他国の報道機関が動けば良い。

 波及的にひろがっていってくれるなら、それで十分だった。



 もちろん、金を渡して報道させるという手段もある。

 報道機関は公平無私な存在では無い。

 国が運営してようが、民間企業であろうが、組織自体の都合で動く。

 国が運営してれば国の都合が。

 民間企業なら、稼ぐために動く。

 どちらも悪いという事は無い。

 国営なら国の意思で動くのは当然。

 民間なら稼がねば食っていけない。

 この事実を前に、公平無私を求める方が間違っている。

 それが金になるならともかく。



 なので、扱ってもらうために金を積むのも手段の一つになる。

 日本側の情報が都合の悪い国であっても、これで報道する事も可能ではあった。

 それなりの対価を払う必要があるが。

 金を払えば何でもひろめてくれるならそれでよい。

 非常に便利な宣伝工作道具だ。



 もちろん、報道できる限界はあるが。

 都合の良いことだけ国中に流布してくれるならそれで良かった。

 必要なのは真実や真相ではない。

 ススムにとって都合の良いことだけなのだから。

 そして、同じような事は政府だろうが一個人だろうがやっている。

 報道機関も例外では無い。



 そうした新聞・ラジオなどなどを用いて情報を拡散していく。

 イギリスが中華民国を支援していた。

 それによって戦争が始まったと。

 そして、これに協力してる国がいると。



 イタリアは地中海の通行を認めている。

 オランダは支援物資をインドネシアなどから提供している。

 これにより支援を受けた中華民国は、戦争を実施・継続している。

 技術者なども送り込み、現地に生産施設を建造。

 武装や軍備の強化を助長しているとも。



 これらに対して満洲とその友邦たる日本は防衛に乗り出した。

 幸い、中国でもこの戦争に反対した者達が出てきている。

 その者達は中華民国と袂を分かち独立。

 漢民国として満洲との和平を実現。

 争いを好む中華民国と、その背後で操るイギリス・イタリア・オランダに強い嫌悪と懸念を表明している。

 …………こういった事を報道し続けていった。



 それを聞く者がいるかどうか。

 また、聞いても信じる者がいるかどうか。

 信じたとしても、それを非難する者がいるかどうか。

 そういった問題はある。



 自国に都合の悪い話を聞く者はまずいない。

 聞いても信じはしない。

 信じたとしても、そこに問題があると思う者もいない。

 それにより自分の国が、ひいては自分の利益になるなら問題はないのだ。

 一部、理想や夢想を抱く者は別だろうが。



 まして相手からすれば、「あく の にほん ていこく」でしかない。

 そんな連中に都合のよい事実が出てきたところで取り上げはしない。

 むしろ、デマや工作だろうと考えるだろう。

 世の中そんなもんだ。

 善や正義が顧みられる事は無い。

 ただ自分の都合があるだけ。

 それを善や正義と偽ってるだけだ。



 それでも相手を引っかき回すために報道を続けさせる。

 それで相手が少しでも停滞してくれるならありがたい。



 ついでに、そんなイギリスの手引きでアメリカも絡んでると。

 ロシア・ドイツ・フランス・スペインの人間が訪れ、アメリカで武器開発や生産を行ってる。

 これを伝えていく。

 アメリカがこれでどうなるかは分からない。

 しかし、何かしらの騒動になればとは思った。



 残念ながら、敵対国ではさほど大きな問題にはならなかった。

 むしろ、「いいぞ、もっとやってやれ」という空気すら生まれた。

 敵の打撃になる事をやるなら、そうなるだろう。

 しかし、味方の方には絶大な効果をもたらした。

「こんな事をしてたのか、友好国を相手に」

 そんな意見が出てくる。



 そんな世論によって今後の動きが形成されていく。

 おかげで戦争の必要性と、誰が敵なのかを多くの者達が認識するようになった。

 これにより、内陸・東南アジアにおける戦争の意義を誰もが強く考えるようになった。

 また、この地域を制圧してる列強からの解放。

 この標語が多くの者達の胸に突き刺さった。



「インドの解放を」

 現在、イギリスの下についてるインド。

 これを解放しよう。

 そんな動きが出てきた。

 また、インドネシアもオランダから解放せよとも。



 更にイギリスに協力する国々への非難も出てくる。

「オランダ、イタリアに鉄槌を」

「アメリカを許すな」

 こんな声があがってくる。

 特に今回中心となっていたイギリスには手厳しく。

「イギリスの太陽を海に沈めよ」

「七つの海から放逐せよ」

 そんな声が高らかに響き渡っていった。



 その声に押されたわけではないだろうが。

 東南アジアからインドにかけて展開していた軍勢は、一気呵成にインドを南下。

 マレー半島も制圧していく。

 さすがにシンガポールは簡単には陥落しないが。

 この時があるのを考えて用意していた大量の爆弾・砲弾・ロケット弾を投入していく。

 海からの艦砲射撃も。

 昼夜を問わない猛攻に、さすがのシンガポールも防衛しきれず。

 ほどなく、白旗をあげる事になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ