23回目 第一次世界大戦 4
「さー、ロシア軍には頑張ってもらわんと」
かつての味方に向かっての進軍を指示していく。
ロシアとドイツはこうして味方から敵に変わって相対していった。
特段驚くような事では無い。
第二次世界大戦の最後では敗北後のイタリアがドイツに攻め込み。
日本も最後は世界のほぼ全てに宣戦布告された。
今、ロシアがドイツに攻め込むのも珍しい事ではない。
そういうものだ。
だからこそ、戦争には負けるわけにはいかない。
勝たねばならなかった。
負ければどうなるか分からない。
あらゆる暴虐がゆるされる。
名誉ある敗北など存在しない。
敗北とはどこまでも惨めで辱めを受け続ける事だ。
負けて実利を得るなど、弱者や敗北者の負け惜しみでしかない。
そしてドイツはロシアの猛攻を受ける。
今まで味方だったので、防備もろくにしていない。
全くしてないわけではないが、オーストリアが主戦線だった。
背後とまではいかないまでも、側面を突かれた形になる。
対応はどうしても後手に回る。
もっとも、そこはさすがドイツというべきか。
完璧ではないにしても、速やかに対応をしていく。
事前に用意していた予備陣地を用い、ロシアの猛攻を防ぐ。
もともと、あらゆる方面からの戦争を想定していたのだ。
対ロシア戦を考えての準備もしてある。
とはいえ、これで形勢は不利になった。
代わりにオーストリアとトルコはかなり有利になっていく。
まず、圧力を受ける方面が一つ消えた。
とくにオーストリアは二分していた戦力を一方向だけにする事が出来る。
トルコはそれこそ正面の敵が消えた。
戦力を他の方面の増援に回せる。
また、この時期になると、ジブラルタルを日本が奪取している。
そちらに戦力を向けるために、スペインが戦力を割いてもいた。
イタリアへの圧力は若干だが下がっていく。
それでもフランス・ドイツは相変わらず圧力をかけ続けてきている。
勢力が大きく変わったとはいえ、まだまだ状況がどうなるかは分からない。
ただ、ロシア側からの圧力がドイツに大きくのしかかる。
もとより厳しい戦いになるのは想定内ではある。
しかし、ドイツもこれにはさすがに押されていく。
何せ、ロシアは捨て身の突撃を何度も繰り返してきている。
その勢いを止めるのも難しい。
やむなき後退を何度も繰り返す事にもなった。
「何でここまで?」
その突撃にドイツ側は驚き疑問を抱く。
どうしてここまでやるのかと。
「うん、その調子でどんどん突撃してね」
指示を出すススムは鬼畜な事をさせていた。
ロシア軍に指示が出せるようになってるので、止まる事の無い突撃を強要していた。
おかげでロシア軍の損害はとどまる所を知らない。
徴兵可能人口もすぐに底をつく。
にも関わらず、徴兵枠を拡大し、次々に戦場に兵隊を送り込む。
既に12~60歳の男女別なく突撃させていた。
兵器の生産も追いつくわけもなく。
歩兵用の銃すらも全体の10%しか補充されてない。
それでもかまわず、突撃を繰り返させていく。
「これ、現実だと素手で突撃してるんだろうな」
考えると恐ろしい光景だ。
だが、気にする事無くススムは指示を出し続ける。
「このまま国が潰れるくらいになってくれないと」
戦後を考えれば、ロシアをまともな状態のまま放置出来ない。
ここで可能な限り消耗させ、回復に時間がかかるようにしておく必要がある。
同時に、ロシア内にいる共産党関係者や共産主義者も消滅させる。
徴兵対象の中にそういった者もいるはず。
実際、ゲームでこういった事をすると、その後共産党の動きが消える。
「そのまま戦争の中で消えていってくれ」
戦後の様々な問題を事前に潰すべく、容赦の無い指示を出していく。
鬼や悪魔の所業であった。
とはいえ、ロシアである。
畑で兵隊がとれるなどといわれる国だ。
こんな事気にしてやる必要もないだろう。
その甲斐あって、ドイツは一気に押し流されていく。
戦線は大きく後退し、ベルリン近くにまで迫っていた。
これで終わるわけでもないが、それでもかまわず突撃を仕掛けさせていく。
その間に、後方で日本・オーストリア・トルコの軍勢を再編成していく。
ロシアが息切れしてきたところで交代する予定だ。
ついでに、フランスの正面にいるイタリアにも支援をまわす。
日本軍の一部をまわし、前線の補強にあてた。
これで南側の戦線を支える事に成功する。
加えてジブラルタルへも増援を回す。
これで更に防衛がやりやすくなる。
敵を分散させる事にも成功していった。
加えて、オランダにも兵力を回す。
地味だが、こちらにもドイツ・フランスは軍勢を向けている。
最前線が急がしくて、大幅に兵力を回していられなかったようだが。
それでも戦争が続いており、かなりの猛攻にさらされていた。
こちらにはイギリスが増援を回していたのだが。
それでも不利な状況は変わらない。
そこで、地中海からジブラルタルを抜け、そのままオランダに陸軍を向かわせる。
空軍も運び、現地に展開する。
これで戦線をいくらか補強していく。
そんなこんなで時間が経ち。
あらためて攻勢を開始していく。