21回目 第一次世界大戦 2
現在、スペインが敵についてるので、ジブラルタル海峡は制圧されている。
おかげで、地中海の確保が困難になっていた。
なので、ここを制圧していく。
これには陸海空の全てを結集する事になる。
現在、ジブラルタルに続く陸路はない。
フランス・スペインと二国を突破する必要があるからだ。
それはさすがに無理だ。
なので、海上を進んでいく事になる。
その為、まず偵察として航空機が。
それから戦艦を中心とした艦隊が向かっていく。
それらがジブラルタルに到着すると、付近の軍事施設などに砲撃を加えていく。
可能なら、航空機による爆撃も行っていった。
そうして敵の抵抗力を奪ったところで、陸上部隊を上陸させていく。
奪取した港に輸送艦をつけて陸上部隊を展開。
それから主要施設を制圧していく。
当然ながら敵の抵抗も大きい。
しかし、それらは上陸させた戦車で粉砕していく。
この時代はまだそこまで強力な戦車は無い。
既に日清戦争で装甲戦闘車両を。
日露戦争で日本が開発した戦車は出ている。
それを見た観戦武官が本国に報告、各国で研究開発も始まってるのだが。
出来上がった戦車の性能は日本のものに比べればさほどでもない。
それもそうだろう。
この時期は、まだ戦車そのものが存在しない。
史実における初の戦車は、この第一次大戦でイギリスが投入するのだ。
そんな時期に、それなりの性能の戦車を作れるわけがない。
日本が異常なのだ。
なにせ、既に第二次世界大戦初期くらいの戦車を作っているのだから。
他の国からすれば隔絶した戦闘力となる。
そんなものを相手にまともに戦えるわけがない。
良くて敗走、悪ければ壊滅する事になる。
また、兵士の装備にも差がある。
この時代、歩兵銃は一発一発手動で弾丸をこめねばならない。
だが、日本は自動装填となっている。
連射は出来ないが、引き金を引けば、次の弾丸が装填される。
これが火力の差になっていく。
他にも、軽量化された歩兵用機関銃。
一人で使用可能な迫撃砲(擲弾筒)。
市街地や塹壕での使用を考えた、機関拳銃。
改良された無線機など。
様々な面でこの時代の水準を超越している。
こんなのと対決するのだ。
如何に敵が優秀でも劣勢に立たされていく。
それでも敵は勇猛果敢に立ちはだかってくる。
意外なほど粘り強く戦っていく。
その為、攻略に時間がかかっていった。
最終的にはジブラルタルを制圧するのだが。
消耗はそれなりに大きく出てしまう。
そうしてジブラルタル守備隊が稼いだ時間で、敵の増援がやってくる。
空と地上の両方から敵が迫る。
だが、攻略に時間をかけてしまったので、日本側の防衛の準備はまだ終わってない。
防衛は出来なかったが、それだけでも敵軍守備隊は十分に仕事をしたと言える。
そんな日本とスペイン軍の戦闘が始まる。
まずは空から。
空母の艦載機が迫る敵戦闘機に向かっていく。
ただ、これは日本側の圧勝で終わる。
性能に差がありすぎるのだ。
スペイン軍は複葉機で、最高時速150キロ前後。
どんなにがんばっても時速200キロも出ない。
対して日本側の戦闘機は時速400キロは出る。
単純な速度差だけでも全く勝負にならない。
そんな大きな差がついてるだけに、戦闘はほとんど一方的に終わっていく。
スペイン軍はほぼ壊滅。
日本軍は損害ほとんどなし。
制空権は日本が確保した。
その上で、迫る陸上部隊に攻撃を加えていく。
これもまた、爆弾を抱えた航空機によって行われる。
敵後方に配置された砲兵陣地。
これを重点的に攻撃していく。
見つけられたなら、司令部も攻撃していく。
加えて、爆弾を落としても機銃の弾丸があるので、地上掃射もしていく。
敵は少しでも削っておかねばならない。
こうして地上部隊同士の激突が起こる前に、スペイン軍は数を減らしていった。
それでも残った地上部隊の数は多い。
彼らは奪取されたジブラルタルを取り返すべく挑んでくる。
そんな彼らに容赦の無い砲撃が降りかかる。
展開し終えた砲兵隊が攻撃を開始した。
布陣を完全に終えてないので、どうしても限定的なものになる。
だが、射程内にいる敵兵はそれによってかなりの数が散っていった。
更に砲撃の足りないところは、戦車が襲いかかる。
榴弾を装填した戦車は、並み居る兵士に撃ち込んでいく。
のみならず、そのまま敵中を突破し、敵の後方へと回り込んでいく。
有効な対抗手段を持たないスペイン軍は、それを止める事が出来ない。
更にその後ろに、歩兵を乗せた装甲輸送車が続く。
見た目は、車輪をキャタピラに変えたようなトラックといったところだ。
ただし、装甲もつけられ、ある程度の弾丸は弾く。
荷台部分にもこの装甲はつけられている。
この荷台部分の装甲は高くなっており、座っていれば人が見えなくなる。
この装甲で銃弾を弾き、兵士を守る。
それだけではない。
備え付けの機関銃での攻撃。
更に、立ち上がった兵士による車上からの射撃。
これにより敵を安全な所から撃つ事が出来る。
おかげでこれらが通ったあとには、おびただしい数の死体が残る事になる。
運良く生き残った者もいるが、もう進軍どころではない。
彼らは周りにいる生存者とともに後方に引き下がっていく。
一部には、勇敢にもジブラルタルに向かう者もいたが。
それらは結局守備についた日本軍に撃退されていった。
そして、この方面に展開したスペイン軍であるが。
突入してきた戦車と装甲輸送車によって蹂躙されていく。
展開していた戦闘部隊の損害は大きく、まともな戦闘行動がとれなくなる。
後方から補充を求め、欠員を補う事は出来たが。
攻め込むのは難しいとわかり、しばらくの待機を余儀なくされる。
また、下手に海岸近くにいると、戦艦や巡洋艦の砲撃を受ける。
その為、ある程度の距離をおかねばならなくなった。
こうしてジブラルタルを奪われた事により、スペインは動きに制限を受けていく。
放置すれば大西洋と地中海を分断される。
しかし、取り返そうとすれば、相当の兵力を投入する羽目になる。
おかげで、フランスやドイツへの支援が困難になってしまった。
これが巡り巡ってイタリアへの圧力緩和になり。
日本が関与する側の有利につながっていく。
また、大西洋への最短距離を得る事にも成功。
地中海側の敵海軍をほぼ殲滅していった。
その後に大西洋に出て、Uボートによる通商破壊と戦っていく事になる。
こうしてヨーロッパ方面に派遣された日本軍は、相応の働きを示していった。
そして、ユーラシア大陸の東から進撃している本隊であるが。
こちらの猛攻はヨーロッパ方面の比ではなかった。
その矢面に立たされたロシアは、最悪の窮地に立たされる事になる。