10回目 最初の大一番、頑張ってやっていこう
「けど、戦争にならずに要求が通ればいいんだけど」
都合の良い話だが、それが一番だ。
戦争するよりも、一番よい条件で手を取り合う。
それが最高だ。
そうなる可能性はかなり低いが、全く出来ないわけでは無い。
これまで、何度か戦争にならずに条約締結が出来た事もあった。
今回がそうではないのが残念である。
「とにかく、戦争に勝って、こっちの要求を通せればいいんだけど」
その為にも勝たねばならない。
悲しいかな、戦って勝って言うことを聞かせる。
それしかない。
ガキの喧嘩のようで泣けてくる。
そんなガキの喧嘩に、国の命運がかかるのだ。
笑うしかないが、笑えない。
ゲームを通してだが、そういったやりとりがバカバカしく思える。
だが、避けて通る事が出来ないならやるしかない。
たとえどれだけの人間を戦場に放り込んで殺す事になっても。
「最低だよな、戦争って」
これがゲームであるのが幸いだった。
誰かが死ぬような事はない。
あくまで、ゲームの中の数字でしかない。
そして、これは最悪だとススム自身が思うのだが。
送り込む側で良かったとも思う。
送り込まれる兵隊だったら、死ぬ危険を常に感じるのだから。
最悪の考えではあるが、本当にそう思う。
だからこそ、損害を押さえ、なるべく短期間で事を終わらせねばならない。
「さて、どうするか」
とはいえ、やることは決まってる。
相手のやる気がなくなるまで戦争はする。
無くなったところで交渉を持ちかける。
そこで、こちらの条件をのませる形で講和。
これしかない。
幸い、事前の工作活動で清のやる気は大幅に下がっている。
厭戦気分というか、何事につけ消極的な姿勢を国民がもっている。
清政府も同じだ。
戦争になって敗北をいくつか食らえば、そのやる気が消え去る。
あとはなし崩し的に講和に持ち込む。
何度もやってきた勝利方法だ。
今回もこれを決めたいところだ。
でなければ、泥沼の戦争に引きずり込まれる事になる。
その準備がととのう頃。
清政府との外交結果が出た。
残念ながら、締結ならず。
清は日本と対立する事になる。
予想通りだが残念な結果だった。
それを見て、ススムは即座に行動をおこした。
清への宣戦布告を。
西暦1892年。
史実よりも少し早く、日清戦争が開始される。