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Dランクダンジョン

 時刻は八時。


 朝食に昨日のカレーを食べて少しの間まったりとした時間を過ごしたが、いつまでもこうのんびりとはしていられない。


 俺たちはコンビニで大量の食料を手に入れた。それこそ、一月くらいなら食うに困らないくらいには余裕がある。だが、二人で一月を過ごす分の食料があったとして、その先、一月が経った後のことを考えればどうだ。行動に移さなければ餓死することになるだろう。


 また、食料には賞味期限、消費期限というものもある。既存のもの、特に生物なんかはすぐに食べられなくなってしまう。それにみんながみんな食料を求めれば数も足りなくなる。だからこそ、俺たちはいち早く行動に移し、先手を打つ必要があるのだ。


 この話は飯を食っている間に済ませて藤宮の賛同も得た。問題は食料調達にはダンジョン攻略が必須とも言えるということだ。基本的に建物は全てダンジョンと化し、未だ解放済みのダンジョンはそう多くはない。となればダンジョン化した建物の中でも俺たちが攻略対象とするのは食料品店。あとは食料以外に生活に必要な品全般を売っている場所――デパートだ。


 俺は最初、ダンジョンの難易度は建物の大きさに起因するのかと思っていたが、【鑑定】を使った結果それは全く関係が無いと分かった。というか、低レベル帯である俺たちがデパートと同じくらいの大きさである学校のダンジョンを攻略できたことから推測できても良かったものだが、昨日の俺はそんなことすっかり頭から抜け落ちて考えられていなかった。


 まあ、それはそれとして、藤宮からの情報によるとここから一番近いデパートへは徒歩で一時間程度。【鑑定】をするまで難易度は分からないが、とりあえず足を運ぶことになったわけだが。


「準備、出来た?」

「ん、おう……」


 ――なんで制服なんだろう?


 俺は着替えがないってのもあって制服のままだが、藤宮は自分の家な訳だし制服よりも動きやすい服なんていくらでもあるはずだろうに。


「制服でいいのか?」

「あー、いや私、私服あんまり持ってないから。持ってる中だと制服が一番動きやすいんだよね」


 以外だ。てっきり服なんてクローゼットから溢れるくらい持っているものだと思っていたが、そうではないらしい。俺の表情から考えていることを読んだのか不満そうな顔で文句をつける。


「別に女だからって一杯服持ってるわけじゃないから! っていうか服なんて高校生のうちは基本制服があればなんとかなるし」


 言い訳がましく早口に捲したてる。


「まあ、たしかに友達いないなら休日どこか遊びに行くとかなさそうだしな」とは言わないでおく。そんなこと言ったら俺だって休日に友達とどこか行くなんてここ最近なかったしな。


 藤宮の持論は軽く受け流し、たしなめる。興奮気味の彼女を落ち着かせるのに多少の時間はかかったが時間には余裕がある、問題ない。


「よし、もうそろそろ行こうか」

「おっけ」


 ◆


 ということで、徒歩で二時間かけてやってきたのは無駄に広大な敷地を持つデパート。いつもは絶え間なく人が行き来して繁盛しているここも、やはり人の気配はない。駐車場には何台かの車が停車しているものの、その持ち主は今、生きているのだろうか。尽きぬ疑問に頭を悩ませ、けれどその悩みが解決することはない。


「やっと着いた……」


 藤宮が憂鬱そうな顔で呟いた。その声は小さかったものの距離がそこまで離れていなかった俺の耳にはしっかり聞こえた。だが、俺もまた彼女を叱咤することはできない。


 本来一時間で着くはずだったのに道に迷って何度も同じ道を彷徨い、やっとの事で到着したのだ、愚痴の一つも言いたくなるというもの。


 俺も身体的な疲労は薄いものの精神的疲労は著しい。何度も何度も行っては戻り行っては戻りを繰り返し、募るストレスに耐え、ようやく辿り着いたのだからそれも当然か。


 鬱蒼とした顔でデパートを睨み、【鑑定】を発動させる。


 ――

 分類:オークダンジョン

 難易度:D

 攻略報酬:スキル(ランダム)

 要求レベル:20

 ――


「要求レベル20……か」

「厳しいね」


 攻略報酬は美味しい。だが、現在の俺たちのレベルは6。完全に難易度と実力が見合っていない。スキル【狂戦士】による補正込みだとしても厳しいはず。コンビニの――Eランクのダンジョンでさえ死の危険を感じたのだからそれよりも格上のDランクはまだ早い。


「これは……やめといた方がいいな」


 そう言って、藤宮と共にデパートを去ろうとした時だった――複数の人の声が俺たちの鼓膜を揺らした。





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