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戦闘

全身を現したゴブリンの右手には木で隠れていたから気づかなかったが、ぼろい剣が握られていた。俺は丸腰、さっさと逃げればよかった。後悔先に立たずとはこのことだ。

とにかく、ヤバい。急いで体を起こすが奴の方が動きは速かった。ゴブリンは、耳をつんざく様な雄たけびをあげるといっきに距離を詰めてきた。

そして、手にもった剣を縦に切りかかってきた。小手調べなのかそんなに速くない。それとも剣術を理解していないからか?

どちらにせよ俺は右に転がるようによけ距離をとった。だが、これが悪手だった。

転がりゴブリンから意識がそれたことを察知したゴブリンは、どうやら持っていた剣を投げていた。

そして、転がり体制を立て直した俺の左足に投げられた剣は、そのまま深々と刺さった。余りの痛みに目の前が揺れる。

そして獲物が続いて見せた隙を逃すわけもなく、強烈なゴブリンの飛び蹴りが俺の腹に刺さる。さっき飲んだ水が胃酸と共に吐き出される。喉を焼けるような痛みが駆ける。そのまま俺は、後ろの泉へと倒れこんだ。

薄くなる意識の中気持ちが溢れてきた。こんな所で、やっと、今度こそ、満足のいく人生を送ってみせるって、思っていたのに。

諦めきれない、折角もらったチャンスなのに、俺は、生きたい。力が欲しい。

強くならなきゃならない、力を・・・意識が消えかけた時、前に聞いた声がした。

「お前にとって力とは何だ?お前は力を与える代わりに何をくれる?」

力が欲しい、死にたくない、俺にとって力とは何だろう。?

兎に角目の前の脅威を排除し、命を繫げられればいい。火力、だろうか。?ああ、火力がいる。それも、とびきりの。

「決まったようだな。では、何を力のために捨てられる?」

俺は迷った。何故なら、俺には体しかもっていないからだ。考えた。

「はやくしろ」

奴がせかす。俺は答えた。

俺の寿命をくれてやる、何年必要だ。?

「なかなか、面白い答えだ。その答えに免じて3年頂こう。」

3年も?意外とケチだな。まあ、どうせ目的を果たせば無くなる命だしな。

「さて、お前の求める力とやらを思い浮かべろ、さすればそれに我が与えた物は応えるだろう。」

その声を聴いたが最後、視界は光で満たされた。光が収まると、ゴブリンが木の陰から覗いている所に戻っていた。

「面白い答えをくれたサービスだ」

頭の中に奴の声が直接響く。

折角くれたチャンスだ、この声に疑問はあるが、それよりも根拠を自分でも理解してないが、確かにこれまでにない手ごたえを感じた。

繫がった命、今度こそものにして見せる。

俺は手のひらをゴブリンに向け、手を握りこんだ。

すると、ゴブリンの数センチ前で小規模だが熱がこちらまで届くほどの爆発がおきた。

思わず笑みがこぼれる。

外れはしたが、ゴブリンは爆音に驚き逃げて行った。

なんだか体が熱に浮かされているようだ。今まで生きてきて初めて命のやり取りをした。

今更ながら、死の恐怖が体を走り火照った感覚は消え理性が動き始める。

このまま此処にいては、さっきの音で他の魔物を引き付けてしまったかもしれない。状況の整理も必要だ。

唯一分かっているのはここが異世界で、俺は簡単に死ぬということだ。どちらにせよ移動すべきだというのは、平和ボケした自分でも分かる。

それから、薄く明るくなりかけた空を見上げながらこれまで通り光るキノコの多い方にまた歩みだした。

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