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An Endowment  作者: アタマオカシイ
第5章 覚醒
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36蹴 常勝軍団

うちのチームは…強い。これも偏に木之元先輩のおかげである。



木之元流きのもとながる、鬼才藤村をして天才と言わしめた男だ。こいつの戦略は、プロに向いている。一定の期間勝負を続けるプロにおいて、常に全力を出し続ける、そんなことをする必要はない。負けてもいい試合などないが、勝たねばならない試合に絶対に勝てるように、力をためておくのも重要である。木之元はペース配分をわきまえていた。

こいつは間違いなく大物になる。その素質があった。その天才が言った。

「俺の卒業後、俺よりもすごいやつがここに来ます。まだ青いところがあるので、たたきなおしてやってください」

こいつがここまで言うやつというのは、どれだけの技術があるのか…考え込んでいた時、あるニュースを見かけた。

【シミズジュニア、全日本少年サッカー大会3連覇】

取材対象は、シミズジュニアクラブ。彼らのなかに、そいつはいた。

プレイを見て思った。なんだこいつは。得体のしれない底知れなさがある。こんなやつを、俺に任せるというのか、木之元。もしこいつが引っ越しでもしたら、どうしろというのだ。藤村は苦笑した。引っ越さなくとも手に余りそうだ。おもしろい、お前は俺を試そうというのか。その勝負、乗ってやろうじゃないか。まあ、こいつが静岡に居続けるという前提でだが。



尊は藤村の事情などつゆ知らず…当然だ。面識があったわけではないのだから。清水第三に入った。木之元先輩に呼び出され、いろいろ聞かれたが、あれはなんだったのだろう、とのんびり考えていた。その訳は、2年後に知ることになる…。


1年のうちに、まだまだ公式戦はあった。県選抜ごとの大会で選手として選ばれたり、市のフットサルのイベントに出場…公式戦とは違うな。他になかったわけではないけど、ジュニアユースの選手ではないので県選抜だけか。ユースはユースでレベルが高いんだよな。ユース選手と対戦したらどうなるんだろうな(ジュニアユースです。ユースだと高校生たちになります)


と思っていたら、清水エキスパーツのジュニアユースチームとの練習試合の機会があった。さすがはプロを目指している子どもたち、|遊びでやってる部活のレベルとは《・・・・・・・・・・・・・・・》比べ物にならないな。まあ、うちのチームもプロ目指してるやつのほうが多そうだけど。何が腹立つって、部活を見下してやがる。かなりの点差で勝ったとはいえ、しょせんは部活動。そういう目だ(※大学のサッカー部がサッカー同好会を見る目、というとわかりやすいかもしれないしそうでもないかも)。決めた、メタメタにしてやる。てめーの敗因は一つだ。てめーはオレをおこ…やめよう。天下のマンガ家と真っ向勝負して勝てるわけがない。


さあ始まりました清水第三サッカー部対清水エキスパーツジュニアユース。実況はわたくし、藤尊でお送りします。試合?俺は出ないよ。前の遊び(大会)について絞られた挙句に、試合出場禁止の処分。部活内だけでしか言われてないけどね。おおっと早くも土本仕掛ける!シュート!決まった!あれに反応できないとは、煽るだけ煽って大したことないのかぁー!?おっと空気が変わったか!ユースの反撃…早くも挫かれるー!いやいや舐め腐ってたのを見直してもその程度って、もはやお笑い種…もう実況もアホくさくなってきた。やめよ。


結果は圧勝。二人ほど涙をためている。やりすぎたのは俺じゃないからな!なんだよ5分ごとに1点取っていってやがる。それも誤差なしで。前半5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分と後半5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分きっちり。10点取って圧勝。攻め入る隙も与えない。支配率?70:30だよ。キモイよこの数値。力の差ありすぎだろ。清水エキスパーツ、ちゃんと教えろ!と思っていたら、実は2軍だったそうで。1軍?また別のところで試合してたってさ。どうやらセレクションに受かって浮かれてたバカどもを、一回ボコボコにしてもらうことによって気合を入れさせようとしてたとか。し、知ってたし!二軍だって知ってたし!武内と前川がいない時点で気づいてたし!


2年になってからも、清水第三は常勝街道まっしぐらであった。

新人戦、優勝。北信越大会、優勝。全中、優勝。天皇杯、まだ出られない。誰だ聞いた奴!素人か!素人なんだな!?


いやぁ、手ごたえ無いわ(大嘘)。苦戦した試合もないことはなかった。というか、結構あったような気はする。圧倒的ステータスにものを言わせたサッカーに一時期なってしまい(3年の引退と1年の入学で)、要注意選手が執拗にマークにつかれ、新人が慌てふためく間にボールを取られてしまう、そんなかんじである。あれは危なかった。連携が取れるまでは負けかけたりもした。勝ってたけど。


そして3年目、事件は起きる。これまで順調に来ていた、そんなときであった…

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