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An Endowment  作者: アタマオカシイ
第3章 成長
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番外編 スカウトマンの憂鬱

サッカーのレベルは、昔から徐々に向上している。おそらく現在の選手が10年前の選手と対戦したら、圧勝してしまうだろう。そして、取りたい選手のレベルも向上している。高校生の時点で、そこまでハイレベルな選手は…結構見かける。サッカーのクラブチームがあるような街では、大体2~3人はすさまじいテクニックを持つ。だからこそスカウトが大変なのだ。割といるから、他のスカウトと取り合いにならない、と思っていたら、全チームのスカウトが取り合っていたりする。逆に、スーパースターの素質があっても、ごくまれにだがお互いけん制しあって、結局スカウトせず、本人がチームに来てセレクションを受ける、と言う形になることも…まあ、それはほぼないか。

才能が溢れすぎて、迷うのだ。確かに、チームごとに欲しい選手は違う。すでに組織としてのサッカーを完成させているチームでは、それに従える技量と精神を持つ選手、決定力不足に悩むチームなら、突破力と得点力を持つフォワード、司令塔がうまく機能していない場合の補助的な役割がほしいチームもあるし…

うちのチーム、SCベルリンの場合は…かなりの高望み具合だ。司令塔としても得点源としても、さらに守りの要としても活躍できる、オールマイティなプレイヤーがほしい・・・とのことだった。俺の前にチームのスカウトだった男が、偏ったスカウトをしたために(それだけじゃないが)攻撃と守備のバランスがものすごく悪いのだ。4点取ったら5点取り返せ!と言った形で、リーグ最低の成績をたたき出した。チームを一新する必要があるが、いっきにとっかえたら予算がいくらあっても足りない。一人でチームを変えられるような選手を探せ、と言われてもなぁ…


何が悪いって、プロに胡坐をかいてる奴らばっかじゃないか。技術の向上をしようという努力が見られないのだ。うちのリーグの成績は悪い。ファンもだんだん離れているので、収益もきびしい。誰かいないものか…その時だった。数年前、私が現役だったころに対戦した、日本Jリーグトップの男を、見たのだった。

「うちに来てくれ。うちのチームは確かに弱い。だが、君が来てくれれば、チームは改善されるだろう」

ダメもとで誘ったら、OKとのことだった。その男の名は、タニグチ。


「ゴオォォォールッッ!またもゴールだぁ!一体だれが止められる!?このスピードについて行けるものはいるのかぁ!」

タニグチの残したものは大きかった。ファン層も拡大、彼のおかげでチームメイトもやる気が出た。いや、彼の発破でやる気を起こしたのだ。もともと、サッカーが好きだった彼らの、純粋に目指していた選手になろうと、人が変わったように練習に没頭した。オーバーワークになる選手が出てくるまでになるとは、いったい誰が予想しただろうか。


タニグチは、その後、ブンデスリーガの別のチームに移籍した。去り際、彼は申し訳なさそうにしていた。

「タニグチ、ありがとう。お前のおかげでうちのチームは強くなった。もう大丈夫だ、行ってこい」

そういうと、彼ははにかんで、

「いや、僕もこのチームに強くしてもらった。今度は敵として、成長した僕の姿を目に焼き付けて欲しい」

と言った。


この後、タニグチこと谷口博仁は、ドイツサッカー界において最強の名をほしいままにしているFCミュンヘンに移籍、ドイツリーグ最高の称号を手にした。SCベルリンは、リーグ強豪としてFCミュンヘンと対戦、僅差で敗北。しかし、その試合は大きく盛り上がり、国内の最高視聴率(32.8%)を得た。

うーん、変なとこありそうで怖い…

こういう話も書いてみたいと思ったけど、現実味は主人公がスタジアムでマイクパフォーマンスした時点で亡くなってるからいいかなぁ…

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