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An Endowment  作者: アタマオカシイ
第2章 発芽
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11蹴 サッカー帝国

ドイツのサッカーリーグといえば、ブンデスリーガである。

健全なサッカーリーグ、およびクラブ経営を行っているとされ、多くの国々の模範とされている。

サッカーのために行くのであれば、やはりサッカーチームのある地域に行くのがいい、どうせなら強いチームのところが一番だ、ということで、ドイツ最強の名をほしいままにしているチームの本拠地、ミュンヘンに引っ越した。内田選手、安達選手には悪いが、ドイツサッカーというものに触れていきたいと思った。


…いやいや、なんだこれ。明らかに日本人だよね?カード持って空港に立ってるの。それも、有名な人じゃないか…なんでファンが寄ってこないのか、不思議なくらい。

【藤裕斗さん 尊くん ようこそドイツへ】

おっかなびっくり、プラカードを持っている青年に話しかけた。父が。

「あのー、谷口さんですか?FCミュンヘンの」

「あぁ、貴方が藤さんですか!で、この子が尊くんかな?ダッチに聞きました。ドイツに住んでサッカーの勉強をするんだって?ぼくでよければ、いろいろ聞いてくれ」

どうやら、安達選手が手を回してくれていたらしい。全く知らない土地に二人、という超絶不安な生活のスタートかと思っていたので、一安心…ってわけじゃない、そういうわけじゃないんだ…

え、谷口さん?知り合い?

「いやな、お前がドイツに行きたいというんで、内田さんに相談したんだ。そうしたら、安達さんが『ドイツには谷口がいるから』と、連絡してくれていたらしいんだ」

なるほど、また知らなかったのは俺だけ…また?なんでそんな風に思うのだろう?

「尊くんは知らなかったかな?初めまして、谷口たにぐち 博人ひろひとです。テレビでは見てくれていたかもね」

と自己紹介をしてもらった。

「もちろんです!谷口さんほどの人を知らない日本人はいませんよ!」

この人物、谷口博仁は、日本サッカー界開闢以来…難しい言葉は抜きだ。日本人で初めてドイツの年間最優秀サッカー選手賞を獲得した、日本サッカー史上最高の選手と名高い。外国人選手で選ばれるという点でも、彼の技術がどれだけドイツの観客たちを魅了したか分かる。いやぁ、お隣さんが日本のリーグトップクラスという時点ですごいのに、引っ越し先で日本最高のサッカー選手に会えるとは。サッカー嫌いでも飛び上がって喜ぶレベルである。

さらに喜ばしいことに、彼の住むマンションの隣に、幸運にも引っ越すことができるようだ。いやいや、お隣がトッププレイヤーって、すごすぎでしょ。恵まれすぎよ尊くん。

ちなみに裕斗もサッカー選手の親友がいるのだが、これは後に知ることになる。


ある程度町を案内してもらったのち、俺を引き受けてくれる学校に向かう。日本以外の国では、小学生でも落第や進級は当たり前なのである。と、いうことで、向かった先は日本でいう高校である。いやぁ、かわいがられるだろうなぁ(震え声)。説明を受けて、後日入学テストを受け、見事に合格。


「今日から新しくこの学校に入った、タケル君だ。」

「日本から来ました、藤尊です。サッカーの勉強をしに来ました。よろしくお願いします」

教室から、あんなガキが、とかサッカーだとよ、とかいう声が聞こえる。バカにされているのは間違いないようだ。席について、授業を受け始める。このレベルなら聞かなくても何とかなりそうだ。だが、いきなりそれでは心証が悪いだろうから、始めは真面目に聞くことにした。したんだが…

ペチャクチャとうるさい。たしかに、学力レベルの高くないところに来たとはいえ、これはひどすぎる。授業を聞くのもばかばかしくなるレベルであった。1限が終わったところで、クラスメイトから話しかけられた。

「よう、日本人」

「あんな弱小国からサッカーのためにやってきたなんて言わないほうがいいぜ」

「俺たちがかわいがってやるよ」

要するに、目をつけられたのである。こういう時は下手に出るとエスカレートするので、実力を見せる意味もかねて、サッカー勝負を申し込んだ。まあ、自分の技量を見るためなんだけどね。


中学生レベルであれば楽勝。21対1でも、反則をする奴がいなければ大量に得点するレベルだ。

大学レベルになるとかなりきつい。11体11の普通の試合でも、結構足手まといになってしまいそうだ。

だったら高校レベルならば?ここも教育のレベルが高いわけではないとはいえ、ドイツリーグ最強チーム有する地である。なかなかにレベルは高いのではないかと思った。

もちろん、3対1ではさすがに無理だと思うので、1対1でやった。

ボールを持つ俺が相手を抜いたら勝ち。カットされたら負けである。

まず一人目、アダムが俺の前に立ちふさがった。

「とっとと俺に負けて、家でママのおっぱいでも吸ってな」

などとぬかすもんだからついかっとなって、一瞬で抜いた。

「なぁっ?!」

ボールを取ろうと反応はしていたアダムだったが、予想以上に速かったようだ。バランスを崩して派手にずっこけた。クスクスと笑い声が聞こえる。おっと、こんなにギャラリーがいたのか。

「悪かったね、みんなの前でカッコ悪いとこ見せちゃって」

そう言って手を差し出すと、

「お前、なんでそんなに上手いんだ?今度教えてくれよ」

おっと、ただの悪ガキかと思ったら、意外に素直だった。

「いいよ、明日からでも、何ならこの後でもね」

「おいおい、アダムに勝ったからって余裕かよ?アダムもそんな奴に負けるなんてなっさけねぇなぁ。それにあっさりと軍門に下りやがって。覚えとけよ」

と立ち上がったのはヨナタンである。英語的に読むと、ジョナサン。ドイツ語、あんまりカッコよくない?

「とっとと終わらせてやるから、かかってこい」

多分ヨナタンもアダムとどっこいだろう。いや、さっきの発言からすると少しは実力があるのかもしれない。

とか考えていたら、ただの体重移動でひっかかった。2勝目。

「認めねぇ…認めねぇぞ!ウワーン!ママー!」

威勢はよかったものの、負けたら一気に逃げていった。正直腹が立った。

3人目は、アダムとヨナタンよりは上手いのか、俺の実力を見てかこういった。

「やるね。あの二人にあっさりと。本気で行くよ」

と言った。彼の名前はゲッツである。

試しがてらに裏街道をしようとしたら、カットされる未来が見えた。これではだめだ。いったん後ろに下がって、抜く体制を取る。今度はエラシコで…ついてくる。じゃあ逆に振って…ついてくる。

これは仕方ない。ゲッツはかなり上手いようだ。ゲッツを認めながら、負けず嫌いな俺が本気を出した。

ヒールリフトである。これは全く予想外だったようで、なんとか抜くことができた。いやあ、危なかった。と。

「ワァッ」

「ヒューヒュー!」

拍手喝采、大歓声。見ると、校長や先生方も俺たちの様子を覗いていたようだ。

と、いうことで、学校中の全生徒に認めてもらった。ヨナタンは除いて。

「なんでそんなに上手いんだよ!」

「今度は俺とやろうぜ」

「私も!」

「僕も!」

囲まれて、身動きが取れない。体はまだ小学生だから、つぶされそうである。

色仕掛けしてくる女生徒まで現れる始末。こんなことに流されはしないぞ!(全年齢対象だし…そこまで書かないよ)

まあとにかく、俺は人気者になれた…ということだろう。練習相手には困らないと思う。俺は高校生の上位レベルの技術があると考えてよさそうだし、高校に入ったのはいい選択だった。高校生ならサッカークラブに入るだろうし、クラブならばレベルの高いやつらがもっといるだろうし…


俺の未来は明るそうだ、そう考えていた時期が、僕にもありました…

長くなりました…きりいいんだもん!

次々入れたいものがでちゃって長文になりました…すみません

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