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An Endowment  作者: アタマオカシイ
第10章 ユーティリティプレイヤー
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97蹴 オタワ

カナダ南部に位置するオタワは、この国の首都である。オランダの王妃が亡命した際に、オランダ国内で生まれないと王位継承権が与えられないことに配慮し、一時的に病室をオランダ領とすることで、生まれてきた王妃は王位継承権を受けることができたため、オランダは恩義の返礼としてチューリップを送るようになり、そのことから「チューリップ・シティ」とも呼ばれる。人口の多い大都市、というわけではないが、行政都市のひとつであり、連邦政府の行政機関が集中する都市でもある。


オタワストライカーズは、再度カナダフットボール協会が編成された際、2番目に登録されたチームである。もともと3部リーグに登録されているチームがあったが、ホームスタジアムはカナディアンフットボールのスタジアムであったため、改めてOCサッカースタジアムが建設され、ホームスタジアムとなった。収容人数は15000人であり、ほかにもいくつかのスポーツ施設が併設されている。カナダサッカーリーグの再編成に合わせて新規参入したチームで、まだルーキーが多いチームだ。地元の子供たちにサッカー教室を開いたり、イベントもたくさん行っている。ユニフォームは、市旗をイメージしたグリーンの上着とブルーのズボン、アウェイでは白と黄緑色のチェック柄の上着と水色のズボンである。


オタワで人気のスポーツは、アイスホッケー。次いでバスケットボール、フットボール、ソフトボールで、サッカーはその次である。オタワに強いサッカーチームがなかったことも、サッカー人気が増加しなかった原因だと思われている。オタワとしてはストライカーズに期待しているようである。








はるばるカナダまで来て、手ぶらで帰るわけにもいかないのでお土産を買う、そんなジョークは置いておいて。チームメイトは特徴的だった。日本人を嫌悪しているジェームズ、何人かわからないくらい混血のガルマ、一匹狼気質のロバートに、キザなチェン。驚いたのは市橋さん(シミズジュニアクラブの先輩)がコーチだったことだ。

「お前を呼んだのは俺だ!(大声)といっても過言ではない(小声)。まあダメ元で呼んでみたんだがな。カナダにサッカーを広めるなら、スーパープレイヤー呼んだほうがいいだろう、と思って考えたんだが、今や日本のサッカーテクニックは世界でも注目されているからな。日本一のお前が来れば見に来るんじゃないかと思ったんだが…」

「まあ俺が数日前から来てるって、言ってませんからね。パパラッチが昨日来てたので、広がるとしても今日でしょうから、今日は来ないんじゃないですか?いや、そもそもカナダにはサッカー浸透してないんですよね?大スターやらキングやらが来ないと、見に来ないんじゃないですか?」

「言いふらして来いよ!今日から行くって!アメリカからも見に来るわ!」

市橋さんは前線が後退していた。もう少しわかりやすく言うと、おでこが広くなっていた。もっとわかるように言うと、ハゲてきていた。

「ハゲてない!断じてハゲてはいない!」

というんだけど。そりゃ10年ほど見てなかったからわからんけどな。


チーム自体は2年前にできていて、発足当初から市橋さんはコーチをしているようだ。予算がないのでコーチは彼一人。俺を呼ぶより設備投資とかコーチ増やすとかしたほうがよかったんじゃ…素人だからわからんが。ただ、B/C的に、長期的な目で見ると、スーパープレイヤーを呼んだほうがいいとのこと。井の中の蛙だけどねぇ…。ワールドカップは散々だったし。


知り合いがいるというだけで結構心強い、そう思った。

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