#7
結局二人の説得に失敗した私は、ちょうど京介さんと愛華さんの息子の亮輔さんが城下に視察に行くというので一緒に連れて行ってもらう事になった。
「亮輔さん……すみません」
「気にするなっ親父達の言うことも最もだしな」
亮輔さんは豪快に笑うとバシバシ背中を叩いてくる。
……痛い。
亮輔さんと亮輔さんの護衛の人達に連れられて初めて訪れた城下町はとっても活気があった。
「……すごい…ですね」
「だろうっ!」
確かここは神花の首都…−鬼花−だったっけ?
今お世話になってるお城がある、神花でも一番栄えてる町。
……お城もそうだけど、この町もどことなく日本に似てる。
多分、他の町もそうなのかな。
そうなら、いくらか一人でもやって……行けそう?
「あの…亮輔さん」
「なんだ?」
「神花って…なんとなく私がいた世界に似ていて…いつからこうなのかなって」
「ははっまあ似ているだろうな。なにせこの神花は元々異世界から来た人間が作った国だからな」
それって私と同じ世界からきた人ってことなのかな。
その人もきっと帰れなかったのだろう。
帰れないと知った時、その人はどんな思いだったのだろう。
どうやって、この世界で生きたんだろうか。
そういえば、あの時京介さんは元の世界に帰るのは諦めろって言ってたけど、どうして帰れないのかは聞いてなかった。
……聞いてみようかな。
「まあ気になったんならお袋にでも聞いてみな。この国の事なら誰よりも詳しい」
「はいっ…」
「って事で難しい話は置いておいて、今はこの町を楽しめっ」
そう言って亮輔さんは色々な所に連れて行ってくれた。
お仕事の一環で城下に来てた筈なんだけど...。
いいのかなって思って、護衛の人達を見ると諦めたような顔をしてたから日常茶飯事なのかな...。
亮輔さんに美味しい果物のお店、安いくてもいい物を揃えてる雑貨のお店、他にも沢山教えて貰っていたら
随分暗くなっていて、急いでお城に戻った。




