#48
……またこのゆめ……
この夢は私になにを伝えたいのだろう。
どうして、私を呼んでいるのだろう。
でも、いつもはフォルテの湖の目の前にいるだけなのに、今日は……水の中。
…………水の中なのに苦しくないのは夢だからなのかな。
しばらく水の中を進んでいくと、見えてきたのは光。
その光に向かって行くと次に見えたのは森。
外は暗いはずなのに、森はとても明るくて、澄んだ空気が広がっている。
それになんだか、ルーチェにはない何らかの力を感じる。
ー来たかー
「……だれ?」
目の前に現れたのはアルと同じくらいのライオン。
ー我は炎の化身、お前達地上のものが妖精と呼ぶ存在ー
「ようせい…………ずっと私を呼んでいたのはあなた?」
ーあぁー
「……なんで、呼んでいたんですか?」
ー……すこし、長くなるー
妖精さん曰く、歪みの封印が解けてきているそうだ。
人間と亜人の戦争の後、巨大になり浄化することができなくなってしまった歪みを彼らがこの空間に持ってきて封印したらしい。
けれど、長い長い時間を経てその歪みの力が増して、封印を破ろうとしている。
「それで……私に何かしてほしくて、呼んでいたんですか?」
ーそうだ。お前のもとに卵があるなー
「……はい」
ーその卵をかえして、育ててほしいー
そのたまごは戦争以来、初めて生まれたドラゴンのたまごらしくて、しかも珍しい聖竜らしい。
この時期に生まれた聖竜のたまご。
歪みの封印が解けかけていることと何か関係があると考えていたが、突然たまごが消えたらしい。
そして、そのたまごを探していたら私のところにあるのを見つけたらしい。
ー卵が何らかの意思で、お前を選んだんだろうー
「…………」
ーこの世界のためにも、頼めないだろうかー
「……分かりました」
私がそのたまごを育てることで、何かが変わるのならしてあげたい。
ルーチェに来てから一度だけ魔物を見たことがあるけど、すごく怖かった。
今でもその魔物が増え続けているのに、この空間に封印してあるという歪みが封印を破ったらルーチェにどれだけ魔物が増えてしまうのだろうか。
ーありがとう……そして、すまないのだがもうひとつ頼みを聞いてくれないだろうかー
「もうひとつ……ですか?」
ーあぁ……我々と契約をしてくれないだろうかー
妖精さんが言うには、例え聖竜のたまごがかえっても成長する前に封印が解けてしまうかもしれない。
そうしないためにも、封印の強化をしなければいけない。
けれど、彼らの力は次第に弱まってきて封印を強化するどころか今にも封印が破られる恐れがあるらしい。
そうしないためにも、私と契約して力の強化をしたいそうだ。
「……私と契約しただけで、力が強くなるんですか?」
ー問題ないー
「それじゃあ……やります」
私があまりにもあっさりと承諾したから妖精さんが驚いていたけど、私は歪みの封印を守るためにできる事ならしてあげたい。
……前は、そんなこと思わなかっただろうけど、今はルーチェに大切な人がいる。
私を救ってくれた人がいる。
その人たちを守れるのなら、なんでもしたい。
「それで……契約って、私はなにをすればいいんですか?」
ーそんなに身構えなくていい。ただ、我等に名を付けてくれるだけでいいー
「われら……?」
我等ってなんだろう。
ここには私と、私の前にいる妖精さんしかいないのに……。
なんて考えていたら、次の瞬間。
目の前に、ライオンの姿以外が現れた。
蛇、狼、鷹、しゃち、熊。
ー我等に名を付けてほしいー
「……分かりました」
なまえ……名前か。
……どうしよう。
流石に、今すぐ決めるのはちょっと難しいかった。
「……明日でも、いいですか?」
ー構わない。それに、そろそろ朝だー
「そうなんですか?」
この空間はずっと明るかったから時間の感覚が変になってる。
なんてことを考えていたら、目の前が真っ暗になった。




