表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界トリップしたら鬼娘に!?  作者: ひなた こはる
第一章
43/59

#42

「さて、いつまでもコヒナを拘束するわけにはいけませんね」


「……え?」


拘束ってなんのことだろう。

アンジェリアの事を誘ったのは私なのに。


なんて考えていると、不意にアンジェリアが横を向いた。


「あら、いらっしゃったんですね。アルベルトお兄様」


「呼んだのはお前だろう。アンジェリア」


アンジェリアがアルを呼んだんだ。

アルも一緒にお茶を飲むのかな。


……ハッ!!

私も亮輔さんを呼べばよかったかな。

でも亮輔さん今、出発前の最終チェックしてるんだよね。

ああ……でも、終わってからこっちに来てくださいって頼めばよかったかも。


「さて、私はリョウスケ様に挨拶をしてきます。コヒナとアルベルトお兄様はゆっくりお話しをしていてください」


アンジェリアは席を立つと庭園を出て行って、アンジェリアが座っていた椅子にアルが困惑しながらも座る。

メイドさんがアンジェリアが飲んでいたお茶を下げて、新しいお茶をアルの前に出して下がる。

すぐに準備してくれたって事は、アンジェリアにあらかじめ言われてたのかな。


「アル、今日仕事は?」


「休みだ。リョウスケの手伝いをしていたら、メイドに呼ばれてな」


「そうなんだ」


アルは仕事だと思ってたし、アンジェリアとと最後に話をしたかったからお茶に誘ったけど、アルの仕事が休みだったらアルも誘えばよかった。

……そういえば、フォルテに来てからずっとアルと一緒にいた気がする。

だからだろうか。アルと一緒にいないと、アルが隣にいないと凄く、違和感がある。


神花だとそれが普通なのに。

神花に帰れば、彼はいないのに……それが少し寂しい。


「アンジェリアには感謝しないとな。コヒナが神花に帰る前に話ができる」


「……うん。そうだね」


「コヒナ? どうした?」


「……寂しいなって思って」


だって、神花に帰ったらもうアルが隣にいない。

アルとこうやって話ができない。

アルと、笑いあえない。


もう会えないなんてことはあり得ないけど、それでもこうやって毎日のように会うなんてことはできない。

それが寂しくて……苦しい。


でも、どうしてアルに対してだけこんなことを思うんだろう。

やっぱり、私の初めての友達だから?

私の恐怖を、取り除いてくれたから?


「ねえ、アル。私はどうしたのかな? どうして……苦しいのかな。どうして……涙が止まらないのかな」


気づいたら出ていた涙が、拭っても拭っても止まらない。

ねえアル。貴方なら、この涙の止め方を知っていますか。

この寂しさを、苦しさをなくす方法を知っていますか。


「コヒナ、俺はその答えをコヒナ自身に見つけてもらいたいと思ってる」


「私が……見つける?」


「ああ……その苦しさの訳も、涙が止まらない理由も、コヒナが考えて、自分の力で見つけてほしい」


じゃあ、見つからなかったらずっとこのままなのだろうか。

このままずっと、寂しくて、苦しくて、涙が枯れるまで泣き続けなければいけないのだろうか。


「だが、俺も寂しいのは同じだからな。……手紙を書くよ」


「てがみ……」


「ああ、コヒナに沢山の手紙を書く。だからコヒナも俺に沢山手紙を書いてくれないか」


手紙ならアルの声が聞けなくても、手紙でアルの事を知れたのなら、少しはこの寂しさも、苦しさも和らぐかもしれない。


そうしてアルの言ったように、この寂しさと苦しさの訳を考えてみよう。


「わかった、アルに沢山手紙書くね。だからアルも沢山手紙ちょうだい?」


「ああ、約束だ」

こんにちは。

ひなた こはるです。

フォルテ滞在編終了です。

そして、作者の中ではここで第一章が終了になります。


次の話からは第二章になります。

これまでは日常のような話でしたが、第二章ではもう少し話が進展できればな……と思っております。


これからも『異世界トリップしたら鬼娘に!?』をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ