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異世界トリップしたら鬼娘に!?  作者: ひなた こはる
第一章
41/59

#40

ついにダンスパーティー当日。

私は朝から大忙しです。


……いや、私が大忙しというより、アンジェリアとエレノア様、それにメイドさん達が大忙しなんだけど。


私は起きてから朝ご飯を食べて、その後はひたすら衣裳部屋で着せ替え人形状態だからただ立ってるだけだ。


「コヒナちゃん、どのドレスも似合うから迷うわぁ」


「コヒナはなにか気に入ったドレスはありましたか?」


「わたし……? 私は特に……ぁ」


どのドレスが良いかなんて分からないけど、昨日アルからもらったペンダントに合うようなドレスがいいな。

せかっく素敵なペンダントをもらったんだから、パーティーにもつけていきたいし。


そう言って、アンジェリアとエレノア様につけていたペンダントを見せる。


「なるほど……分かりました! 少しお待ちくださいっ」


アンジェリアは少し部屋の奥に消えると、ひとつのドレスを持ってきた。

ふわふわした薄ピンクのドレス。……かわいい。


ドレスはアンジェリアが持ってきてくれたものに決まって、その後軽く昼食を食べたら、お風呂に入って、あがれば今度はメイドさん達によるお化粧とドレスの着付け。

……化粧とヘアスタイルはまだいい……それでも合わせて二時間位かけてもらったけど。

問題はドレス……というよりコルセットだ。

……内臓が出るかと思うくらい、締め付けられて……正直今でも内臓が出そう。





準備も終わって、いよいよパーティー開催。

ダンスパーティーにはフォルテの貴族の方も呼んでるらしくて、知らないダンスホールには知らない人が沢山いた。

とりあえず私は、用意されてるお菓子に手を付けつつ、なるべく人のいない所にいく。

アニータ先生には及第点はもらったけど、たった数日練習しただけなので……はっきり言ってしまえばパートナーの足を思いっきり踏みそうで怖い。

レッスンの時だって、パートナー役の人の足を何回踏んだことか。


「どうしたぁコヒナ。そんな所で壁の花きめこんで」


「亮輔さん」


亮輔さんは、当たり前だけど、見慣れた和装じゃなくて洋装で、なんだかいつもとは何となく雰囲気が違う。

両手の山盛りに料理がのってるお皿がなかったら。


「亮輔さんこそ、その大量の料理はどうしたんですか? まさか……全部食べるんですか?」


「当たり前だろ。この国の料理上手いんだよなぁ」


なんて話している間にも、亮輔さんは料理を全部食べてしまって次の料理を持って戻ってくる。

……まだ食べるんだ。


「リョウスケ様、コヒナっ!」


「……見つかった」


「おーどうした? アンジェリア」


「どうした……ではありませんっ! お二人とも今日の主役だというのに、こんな所でなにをしているんですか!?」


と、こちらに近づいてくる怒った様子のアンジェリア。

アンジェリアの後ろにはアルもいて、彼も苦笑いをしている。


……まあ、そうだよね。

陛下が私たちのためにダンスパーティーを開いてくれているのに、肝心の主役がいないんだもん。

私はともかく、亮輔さんはやっぱりいないとまずいんだろう。


「すまんすまんっ料理があまりにも美味そうだったものだからな」


「まったくもう……では、行きましょうか」


「どこにだ?」


「……っリョウスケ様のことですから、どうせパートナーもいないのでしょう。仕方がないので私がお相手になってさしあげます!」


「おっ? おぉ」


亮輔さんはアンジェリアに引っ張られながら、人込みの中に消えていく。

……もしかしてアンジェリアって。


「ねえ、アル。アンジェリアって、亮輔さんのこと……」


「そうだな、そろそろ七十年になるか」


アルから明確な答えはもらえなかったけど、多分私の言いたいことをきちんと理解しての言葉だと思うから、そういう事なんだろう。

そうなんだぁ。アンジェリアって亮輔さんの好きなんだ。

ということは近い将来、アンジェリアが私と姉妹になるかもしれないんだ。


……でも、七十年アンジェリアの片思いなんだよね。

しかも、多分亮輔さんは気づいていない。


「亮輔さんって……にぶい?」


「俺はコヒナも人の事は言えないと思うけどな」


「うん? 何か言った?」


「いや……なんでもない。それで、どうする?」


どうするって……なにが?


そんな私の表情を読み取ったのか、アルが仕方ないといった様子で私の前に立ち手をとる。


「俺と一曲踊っていただけませんか?」


「……ぇ」


「そろそろラストダンスだ。最後位踊ってもいいんじゃないか? なにより、俺がコヒナの練習の成果を見たい」


「……へたくそだよ」


それに、きっとアルの足を踏んでしまうし間違えたりもするだろう。

それを理由にお菓子を食べたり、亮輔さんと話したりしていたのに。


ああ……でも、アルなら例え足を踏んだとしても許してくれそうな気がするのはなんでだろう。


「なんの問題もない。俺に任せておけ」


「じゃあ……よろしくお願いします」


初めての本番で、よく覚えてはいないけれど……でも、アルのリードのおかげで今までで一番上手に踊れた気がした。


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