#2
それから半月。
あんなに酷い怪我をしていたのに体は信じられない速さで回復していって今では歩けるようになった。
「もう大丈夫ね」
「そうですか」
「でも、まだ無理はしないでね。傷が痛むようならすぐに言うこと」
そう念を押されると、愛華さんは綺麗な着物を差し出してくる。
「きれい」
「気に入ったのなら良かった」
眩しい…
大輪の花って表現は、この人のためにある言葉なんだとこの半月で何回思っただろう。
「その着物に着替えたら、行きましょうか」
「行くって…どこに」
「私たちの王の所へ」
おう…さま?
王様ってあれだろうか、国の一番偉い人。
えっそんな偉い人に会いに行かなきゃいけないの?
「大丈夫よ。そんなに緊張しなくても」
そんなに顔に出てただろうか。
愛華さんは着物を後ろにいた人に渡すと、私の腕を引いて立たせる。
「さぁっ早く着替えましょう!」
「はっはい!」
「小雛ちゃんに似合うと思って京介をおど……京介に頼んであつらえてもらったの!」
………ん?
あつらえた?
誰かのお古とかではなく…?
新しく作ったって事?
こんなに高そうな着物を…?
「愛華さん!そんなの着れませんっ」
「でも、小雛ちゃんの着ていた物はもうぼろぼろで着れないわよ?」
「じゃあ、誰かのお古とかっ」
とにかく、そんな高そうな物は着れないと必死にうったえる。
「いや。小雛ちゃんにはこれを着てほしいの。駄目かしら?」
ずるいっ。
美人にそんな顔をされたら断れませんっ。
結局愛華さんに押し切られるように着物を着ることになり、愛華さんや後ろの女の人に楽しそうに着物を着せられ、化粧に髪のセットをされた。
疲れた……。




