#20
お守り作りは中々順調に進んでいると思う。
愛華さんも時間があまり無いってことで、簡単なのを選んでくれたみたい。
そして何とか形になった頃、愛華さんが何か石を取り出した。
石っていうより、宝石…かな。
綺麗な透明の宝石。
「愛華さん、それは…?」
「これは守りの石。後はこの石に願いを込めてお守りの中に入れて完成」
「ねがい」
「ええ、守ってほしい人を思い浮かべて、その人を守ってほしいと願いを込めるの」
愛華さんに渡された守りの石を握って守ってほしい人、アルベルトさんを思い浮かべる。
どうか…あの人を守ってほしいと願いをこめて。
すると、守りの石が光って透明からピンクに変わった。
「愛華さん、色が……」
「守りの石は願いによって色を変えるの。うん綺麗な色」
「色を変える石…なんだか魔法みたいですね」
「そうね。守りの石は最後の魔法って言われてるわね」
そうか。そういえば、この世界にまだドラゴンや妖精がいた時は魔法があったって何かの本で読んだ気がする。
魔法が失われたこの世界で妖精が愛したこの石だけは力を失わなかったという。
この世界を去った彼らの最後の加護が守りの石。
「守りの石は願いを込める者の思いの強さによって、発揮する力が異なるの」
「願いの強さ……」
「小雛が石に込める願いが強ければ強いほど、アルベルトを守る力は強くなる。まさに贈り物にはピッタリね」
願いの強さ。
私の願いはどれだけなのだろう。
この石はアルベルトさんを守ってくれるだろうか。
守りの石を作った袋の中に入れて、紐で閉じて完成。
「できた…」
後はこのお守りをアルベルトさんに渡すだけ。
この後は宴会を開いて、アルベルトさんにはその後時間をもらっている。
喜んでもらえたらいいな。




