#18
城下から帰ってくると、桔梗さんがお茶とお菓子を用意してくれた。
因みに、桔梗さんが用意してくれるお菓子は全部桔梗さんの手作りだ。
お店のお菓子も好きだけど、桔梗さんの用意してくれる物が一番美味しい。
今日はお饅頭、美味しそう。
けど、さっきお店でお団子を二人分食べたし、これ以上食べたら絶対に太る。
でも……食べたい。
……うん。
明日セーブすればいい。
桔梗さんの作ってくれたお菓子を残すのは勿体ない。
「……美味しい……ふわふわ…………」
桔梗さんの作ってくれたお菓子、それに私の後ろには獣姿のアルベルトさん。
お城に帰ってくると、アルベルトさんは城下でした約束通り猫の姿になってくれた。
でも、その姿は猫というよりライオンで、アルベルトさんに聞いてみると、大型種なんだそうだ。
しかも私の知ってるライオンよりもずっと大きくて、凄い迫力があったけど不思議と全然怖くなくて、自然と手が伸びてて、触るとすっごいフワフワ。
その後、ライオン姿のまま寝そべったアルベルトさんを背もたれのようにして座らせてもらっている。
「アルベルトさん。お饅頭食べますか?」
「……ん?いや、俺はいい。コヒナが食べてくれ」
……これ以上食べたら本当に太らないだろうか。
でも、アルベルトさん何だか眠そうだし、そっとしておこう。
そして私は明日おやつを食べない。
おやつを全部食べ終わると、私も眠くなってきた。
アルベルトさんは寝てるみたいだし、私も少し寝てよう。
ーーーーーー
「こひなー。そろそろ夕飯の………あらっ」
愛華が小雛とアルベルトを呼びに小雛の部屋に行くと、ライオン姿のまま寝ているアルベルトとアルベルトを枕にして寝ている小雛が目に入った。
珍しい。
小雛が今日会ったばかりの人にこんなに気を許すなんて。
『アイカ様』
「あら、アルベルト」
アルベルトも寝ていると思っていたが、どうやら起きていたようだ。
だが、それもそうか。
アルベルトはフォルテの騎士団の団長で、あの国で一番強いと言われている男だ。
知らない人物ばかりのこの国でそう簡単に眠る訳がない。
『少しの間寝ていました。起きたらこの様になっていて』
「あら、珍しい。貴方がこんな所で寝るなんて」
『ええ。自分でもそう思います』
騎士団長になってからは、決して他人がいる所で眠った事なんて無かったのに。
「小雛も貴方に少し気を許している様だし、貴方達いい関係になれるかもね」
「ん…………愛華さん?」
「おはよう、小雛。そろそろ夕飯の時間よ」
「……っ。アルベルトさん、すみません」
寝起きでボーっとしていた小雛だが、目が覚めてきたらしく慌ててアルベルトに枕にしていた事を謝った。
『いや、気持ちよさそうに寝ていたな』
「さ、私は先に行っているから早く来なさいね」
「はっはい」
愛華は部屋から出ていくとニヤニヤしながら、廊下を歩いていく。
「あの二人…いい感じになるかもね」




