#16
結局、着物を持って来た桔梗さんも加わって諦めて化粧をされて使者の方がいる京介さんの部屋に向かう。
「京介さん、小雛です」
「おう、入れ…アルベルト、娘の小雛だ。小雛、こいつはフォルテ国王の次男のアルベルト」
「はじめまして」
「ああ、キョウスケ様から聞いています。俺はアルベルト、しばらく世話になります」
うわあ。
京介さん達とはまた違ったイケメン。
京介さんやこの国の人達はどちらかっていうと日本人系の顔立ちだけど、この人は昔絵本で読んだ王子様みたいな人。
「小雛、アルベルトに城下町を案内してやってくれないか」
「えっ私が…ですか?」
初めて会った人に上手く話せるのだろうか、不快にさせたりしないか。
「俺も愛華も今手が離せなくてな。小雛はよく亮輔から城下町を案内してもらっていたろ」
「はい…分かりました。頑張りますっ」
ーーーーーー
「ご飯なら…あそこのお店がいいです。安くて美味しい」
気まずい。
嫌、私が勝手に気まずくなっているだけなのだが、アルベルト様は笑顔で聞いてくれているし。
だけど、元々人見知りで口下手な私が初対面の人と二人きりは本当にきつい。
「……ま。コヒナ様」
「あっはい。何ですか…」
「大丈夫ですか?上の空でしたが」
「はい…すみません。少し考え事をしていて…それよりあの…アルベルト様」
「はい、なんでしょうか」
「その…様付けはやめてもらえませんか…後敬語も」
元々庶民な私は様付けは本当に慣れない。
桔梗さんやお城に勤めている人にもお願いした事があるけど、初めの頃はお客だからという事で、京介さん達の子供になってからは王族だからという理由で断られている。
でもアルベルト様はフォルテの王子様だし、私に様付けしたり敬語を使う理由はないはず。
「そうですね…それでは、コヒナ様も同じ様になさるなら、俺もそうします」
「えっと……せめて敬語だけは使わせて…ください」
「ふっ…分かった」
うっわあ。
凄いキラキラしてる。
眩しくて目が潰れそう。
「あの……すみません。私あんまり…人と話す事が得意じゃなくて…つまらなくないですか?」
「いや、そんな事はない。とても楽しいよ」
私は何聞いているんだろう。
こんな事を聞いたら、気を使わせてしまうじゃないか。
「コヒナ…?」
「あ……」
「すまない、連れ回してしまったな。少し休もうか」
そう言うとアルベルトさんはさっき私が紹介したお店に入った。
「コヒナのオススメは?」
「えっと…お団子です」
「では、それにしよう。すまない、団子を二人分頼む」
「はーいっ!ただいまー!!」
亮輔さんにこのお店を紹介してもらった時は本当に嬉しかった。
今までずっとお菓子を食べた事がなかったから、初めて食べたここのお団子は本当に美味しかった。
後はケーキとか、洋菓子を食べてみたいけど神花は和菓子しかなくて、フォルテやグランデにはあるらしくって少し行ってみたい。
「お待たせしました!!」
考え事をしている間にお団子がきた。
いつ来てもここのお団子は美味しい。




