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その日はとても急いでいた。
寝坊して学校に遅刻しそうだった。
何時もだったら、絶対に寝坊なんてしないのに!
「今日はテストなのにっ!」
なんて焦って周りを見ていなかった。
だから
迫って来る車にも気がつかなかった。
ーーーーーーー
「………ぃ」
なに……
誰かが、呼んでる。
でも身体中が痛くて、指一本動かせない。
目も、開けられない。
ーーーーーーー
見つけたのは偶々だった。
日課である見回りをしていたら、見慣れない着物を着た女が血塗れで倒れていた。
「おいっ!大丈夫か!?」
慌てて近寄り、呼吸の確認をすると微かだが息はしている。
だが急いで手当てをしなければ、手遅れになる。
「もう少し頑張れっ」
聞こえてるか分からないが、励ましのために声をかけ抱き上げると、急いで来た道を戻った。
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