倉庫から取り出したボイスレコーダーに母親の婚約破棄の時の記録があった件について・・・
このタイトルを書きたいがための内容・・・
ではどうぞ(  ̄ー ̄)ノ
ある日、倉庫を整理していると古びたボイスレコーダーをみつけた。
なんとなく気になったので機械の得意な俺は簡単にメンテナンスをしてから中身を確認した。
最初は授業の内容とかがメインだった。
けど、途中から何やら雲行きが変わってきた。
ヒステリックに叫んでいる女性と冷静に言い返している女性。
おそらく、冷静に言い返しているのはこのボイスレコーダーの持主の俺の母親だろう。
少女らしい随分可愛らしい声だが、幼い頃に夫婦の寝室から似たような声が聞こえてきて興味本意で聞いてみたから間違いない。
・・・あれは今にして思うと両親に申し訳なかったな。
そして、しばらく流していると、どうやら男を取り合ってる・・・いや、母親の婚約者にちょっかいかけている女との会話らしいと気付いた。
そういえば、母親は父親と結婚する前に婚約者がいたとか言ってたな。
あんまり詳しく聞けなかったし、これでわかるかも。
・・・なんて思っていた過去の俺を今の俺なら止めていたかもしれない。
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《ボイスレコーダー音声のみ》
『ランリー!貴様との婚約を破棄する!!』
『あら?婚約破棄とは穏やかではありませんわね。しかも、このような夜会の会場でとは。私、何かしましたか?』
『とぼけるな!貴様は、マニーに様々な嫌がらせをして挙げ句に命まで狙ったてはないか!!』
『マニー?誰ですの?』
『おのれ!あくまでしらを切るか!この女狐め!』
『しらを切るも何も・・・もしかしてそちらの殿下の隣にいるご令嬢がマニー様ですの?』
『当たり前だろ!』
『ひ、酷いですよ・・・ランリー様。あんなにお話ししたのに・・・』
『マニー。大丈夫だぞ。何があっても俺が守るからな。』
『アグニ様・・・』
『そうですか・・・確かに私その方には何度か会ったことありますわね。』
『認めるのだな!』
『面識があったことは認めますわ。ですが、嫌がらせなんてしませんわよ。そもそもそちらのご令嬢が私に突っかかってきて迷惑していたので、原因が殿下であったことがわかってすっきりしました。』
『なんだと!』
『そ、そんな言い方・・・』
『いえ、婚約破棄されるのなら、せめて今までの鬱憤は晴らさせていただきますわ。このさいですからはっきりと言いますが殿下は女癖が悪すぎます。私は殿下のことを好いてはいませんからいいですが、他のご令嬢なら間違いなく後ろからナイフで刺されてますわよ。』
『な、嘘をつくな!お前は俺を好きなのだろ!』
『はぁ?殿下のどこを好きになれと?顔と家柄以外は特にいいとこありませんし、私の好みはもっと穏やかな方です。横暴な殿下など特に好きではありません。』
『では、貴様は王妃の座に固執していたのか!ますます許せんな!』
『さ、最低です!人をなんだと・・・』
『王妃の座になど興味ありませんよ。そもそも王家の要請がなければ誰が好きこのんで王妃などやりますか。』
『おのれ!どこまで侮蔑するつもりだ!』
『事実なのですが・・・とりあえずこちらの音声を聞いてもらいますか。』
《ピッ》
《この性悪女!》
《悪役のくせにでしゃばるんじゃないわよ!》
《どうせあんたなんて婚約破棄されるんだから!》
《あんたが私をいじめないなら捏造するから!それであんたとはおさらばね!いい気味だわ!》
《ちょっと!どうしてイベントの邪魔するのよ!》
《私はヒロインなのよ!》
etc........
《ピッ》
『今聞いてもらったのは私がここ最近彼女から詰め寄られた時に保存した音声ですわ。』
『な・・・で、出鱈目よ!』
『おのれ!マニーを嵌める気か!』
『偽物ではありませんわよ。まったく・・・まあ、とりあえず婚約破棄は構いませんが、冤罪だと分かる嘘はお止めなさい。なんなら、他の生徒にも聞いてみなさいな。私があなたに言いがかりをつけられたところは聞いた人がいても、あなたへの嫌がらせなどしているのを見た人はいませんわよ?』
『いや、見たものはおるぞ!そうだろ!ウィーク伯爵令嬢とドランコーリ子爵令嬢!』
『はい・・・』
『私たち確かに見ましたよ。』
『あら?あなたたちは・・・ふふ・・・なるほど。ウィーク伯爵令嬢、ドランコーリ子爵令嬢。あなたちの言葉に偽りはありませんか?一応、最後にチャンスはあげますので。』
『あ、当たり前です!』
『そうです!私たち確かに・・・』
『そうですか・・・なら仕方ありませんね。あなたがたがあくまでも嘘をつくならこの書類をうっかり落としてしまうかもしれませんよ?内容は・・・言わずとも心当たりがおありでは?』
『『なっ!』』
『なんだ?それは?怪しいな、見せてみろ!』
『『殿下!いけません!』』
『これは・・・どういうことだ!ここに書いてあることは本当なのか!』
『『それは・・・』』
『ええ、お二人のご実家はなかなかうしろ暗いことをしていましてね・・・それに二人は私が殿下の婚約者なのを気に入らなかったみたいでしてね。だから、そこのご令嬢が誘惑した殿下を横からかっさらうつもりだったみたいですが・・・まあ、私も冤罪はかかりたくないので捕らえてもらいましょう。衛兵。この二人を頼みます。』
『な、なんで!』
『そんな・・・』
『さて、あとは証言する人はいますか?殿下。』
『そ、それは・・・』
『そのご令嬢一人の証言しかないならこの話は終わりですね。とりあえず、私は婚約破棄の報告に家に戻ります。殿下にはしかるべき後にきちんと我家への賠償を願いますね。』
『待て!まだ話は・・・』
『あ、あと、そこの殿下を籠絡されたご令嬢にも後日話がいくと思いますが・・・まあ頑張ってください。それでは殿下サヨナラです。』
『待て!』
『待ちなさいよ!』
『ふふ・・・馬鹿な人たちですね。明日には婚約破棄と冤罪の沙汰が下るでしょうし・・・特にあの二人の苦しむ顔は楽しみですわね・・・あら?いけない。まだボイスレコーダー入ってたわ。』
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「・・・・・・」
えっと・・・なにこれ?
音声はさっきので終わりみたいだけど・・・え、続きは?結局あの人たちどうなったの?
ランリーは母親なのは分かった。
その婚約者は王子でアグニ?って人で、それを取ったのがマニーとかいう令嬢。
ていうからアグニなんて王子いたか?
今の王様の名前は確かシャリバンとかいう名前だから王位は継承してないんだろうけど・・・
ていうか、うちの母親怖すぎるんだけど!
「怖いけど・・・気になる・・・」
仕方ないので、俺は母親に直接聞きに行った。
そして、ボイスレコーダーをみせて聞いたところ返ってきたのは・・・
「懐かしいわねー。確かあのあと二人とも辺境に飛ばされたのよ~。王子は王位を剥奪でね。その時のあの二人の顔は面白かったわね~。そのあとにあなたのお父さんと出会って結婚したのよ。あんなぼんくらな王子よりもかっこ良かったわね~。ライバルも多かったから蹴落とし・・・いえ、お話しして、お父さんの外堀をう・・・仲良くなっていって結婚したのよ~。」
ハッキリと言おう。
母よ。あなたは怖すぎる。
まあ、そんなことを言いつつも結局俺は母親と同じような婚約破棄された令嬢と後に結婚したのだけど・・・これをその嫁に聞かせたら「お義母さま素敵です!」と誉めていたので感性が同じだったらしい。
まあ、あれだよね。
母親の婚約破棄の記録なんて聴くんじゃなかったよね・・・
お読みいただきありがとうございます。
前に書きかけて放置していたものを修正して載せました。
ボイスレコーダーの内容オンリーの書き方が難しくて途中で放置してしまってました・・・
まあ、息子が女怖い(ガクブル)しているのと、母親の婚約破棄の記録が残ってたというのが書いてみたかっただけです。
それではm(__)m