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創造神の力で異世界無双  作者: TKG
異世界ディファード
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試験と誤認の風魔法

「測定といっても簡易的なものである程度の値までしか測ることはできません。ここまでの魔力量があればこのクラスという風に分けるためのものですからね。」


 極端な例だが、魔力が十あればCクラスに入ることができて、二十あればBクラス、三十あればAクラスみたいに分かるなら三十以上測る必要はないからな。

 この値がどれだけかは示されなかったが、貴族のレベルを聞く限りでは、才能値の問題もあるのでC未満ということもないだろう。

 そういえば、この試験は本来入学試験として行われているものなのであまりにも酷い結果だといくらなんでも入学は厳しいとのことだ。

 まあセレスティア、一国の王女を守るというのだ。これくらい合格出来なかったら其奴は守り手として必要ないだろう。


「では、この水晶に手をかざして下さい。」


 俺からやってみる。

 言われた通りに水晶に手をかざす。

 すると、透明だった水晶が段々と黄色に輝き始めた。その後、光は黄色から橙色に、橙色から赤色に変化してそこで止まった。

 なるほど。色で規定値が分かるようになっているのか。

 三段階まで止まったということは。


「おめでとうございます。Aクラスの規定値を超えましたのでAクラス入り確定です。」


 やっぱりか。

 この段階で試験突破を通告されたらなんだか拍子抜けだ。

 貴族子弟だと才能値の平均は三から四。魔法学園に通うぐらいだからINT、MNDに偏ってると思うので四から五、高くても六くらいだろう。

 そう考えると、俺のAクラス入りはギリギリだったのかもしれない。


「でも、他の試験も一応受けてもらいます。色々な判断基準にもなりますし、規定ですので。次どうぞ。」


 次はクオがやるそうだ。

 まあ、俺たちの中で制限中一番魔力量の低い俺がいけたんだから、三人共心配はいらないだろう。


 三人共次々とクリアしていった。

 ただ、俺よりもクオ、クオよりもレティ、レティよりもリルの方が、色の移り変わりが早かった。

 きっと、魔力量が高い方が早く変わるとかだと思う。


「おい!私の授業中に余所見とはいい度胸をしているな。ちょうどいい、お前が相手をやれ。何でもいいから魔法を撃ってこい。」


 声のした方に顔を向けると、測定結果が気になったのか、三人の美貌に吸い寄せられたのかこちらに顔を向けていた男子生徒が脳筋魔法使いことカルディナに怒られているところだった。

 その男子生徒はみんなの前まで引きずられて行き、何やら魔法を撃てと催促されている。


 うわぁ。予想できるよ、この後の展開。

 脳筋教師が近い間合いで魔法使いに魔法を撃ってこいなんて言っている時点で確定と言ってもいいと思う。見てなくても授業内容が伺えるというものだ。

 あれだろ?近寄られたらどうするんだ的なやつだろ?

 連れていかれた男子生徒は理解が追いついてないのか戸惑っているようだ。


「早くしろ。もし私に当てることが出来たら今期の成績を最高評価にしてやってもいいぞ。」


 そう言われた男子生徒は戸惑っていたのが嘘のように一瞬で表情を変え、嬉しそうな驚きの声を上げた。


「えっ⁈いいんですか⁈僕そんなに成績良くないですよ?」


「どうせ当たらないからな。撃つ準備が出来るまで待っておいてやるから早くしろ。」


 あの場にいるのが俺だったら速やかに辞退するな。もし仮に当たることが出来る実力があっても。

 だって、失敗したら多分だけど近接攻撃受けるだろ?

 痛そうだし。


「後悔しないで下さいね、先生!『魔力よ、風の球となりて我が敵を討て。ウィンドボール!』」


 あ。えーしょーだ。

 よかったー。魔法の師匠がクオとレティで。

 あんなの恥ずかしすぎて普通に死ねる。

 だって、魔力よの部分は仕方ないとしても、その後は別に風の球になって『俺の敵を倒せ』とかでもいいと思う。

 少しねぇ。意識してるよね。

 とラノベ愛読者の俺は思ってしまわなくもない。


 まあ、擁護するわけではないが、若干『我が敵を倒せ』の方が短い。その短さが戦場では命取りになるかもしれない。

 むしろ、異世界人の俺は意識しているとか思ってしまうが、それが理由なのかもしれない。

 というか、いってて思ったがそれが理由だろう。


 と俺が結論を出したと同時に組み伏せられる男子生徒君。

 放たれたウィンドボールはまっすぐ進んで解きほぐされるように小さくなり消えた。

 カルディナ…先生は高速で移動して魔法を交わしながら接近したのだ。


 あれだな。なんでわざわざ見えるようにしたのか分からないな。音は無理でも風魔法は不可視の特性があるんだからその長所を消す必要ないのに。

 あれか?危ないからとか?

 息巻いてた割には手加減するんだな。格上相手にそれは。

 と考えて思い出した。

 俺は人のことを言えないのだった。この前同じようなことで神崎に注意されたばかりだった。


「なあ、なんで風魔法の特性をわざわざ消してるんだろうな。やっぱり危ないからか?」


 いつの間にか試験から見学の様相に様変わりしている周りに問いかける。


「それはあれだよ。魔法の風は緑色って常識が根付いているからだよ。」


「魔水晶という鉱石のせい。魔水晶は魔力を流すと色を変える。流す属性によって色を変えて、風属性は緑色。そこから定着した。」


 クオとレティが教えてくれるが何か引っかかる。

 なんだろうか、この違和感は。

 あっ、そうか。勇者は現代日本人なのにも関わらず、何故その常識に囚われているのだろうか。


「魔法はこの世界で教わるもの。勇者の殆どはそれが普通だと受け入れる。一部の勇者は気付いたりするけど、魔法は詠唱とセットで教えられるからなかなか再現できるものがいなかっただけ。」


 俺の考えを正確に読み取って小声で説明してくれるレティ。

 ルロイ先生がいるのに普通に話してしまいそうだった。危ない、危ない。

 だが、なるほど。

 完全に想像で魔法を使うなら簡単だが、詠唱を補助にして魔法を使おうとした時は最初に見たもののイメージに引っ張られてしまうのだろう。


 説明をしてくれた二人とは対照的に、リルとルロイ先生は不思議そうにしている。


「何の話をしているの?風魔法は緑色なのは当たり前じゃない。」


「風魔法の特性とは距離・範囲のことでしょうか?しかし、速さも他に比べてあるので選択は正しいと思いますが。」


 分かっていないようなので見学を切り上げて説明することにする。

 向こうは近寄られり危険性とそれの対処についての説明に移ったみたいだし、見る理由もあまりない。

 大声からの興味本位だったし。


「えーっと、そうだな。リル、風魔法じゃなくて風ってどんな色をしていると思う?」


「え?風?色って言われても。色なんてないんじゃないかしら。」


「だろ?魔法って想像とか詠唱とかが重要だけど、それって元となるものを模して形作られていると思うんだ。なのに風魔法は緑色をしている。風は透明なのに、だ。」


「つまり、本来風魔法は透明だと言いたいのですか?」


 ルロイ先生が聞いてくる。


「えぇ。お見せしましょうか?」


「それが本当なら是非お願いします。もし本当だったら、この試験は全て免除にしましょう。魔法の歴史を変えるものですから。」


 やばっ。言われて気がついたがこれってかなりのことじゃないのか?

 俺にとって常識的過ぎてすっかり抜けていた。

 クオとレティも忘れていたようだ。

 目立つどころの話じゃないような気がする。

 でも、今更見せませんなんて言えないので仕方ない。


「魔法の歴史を変えるなんて聞こえたがどうしたんですか、ルロイ先生。貴方がそんなこと言うなんて珍しいので見に来てしまったじゃないですか。」


 さっきも思ったが敬語似合わないぞ、先生。

 いつの間にか寄ってきていたカルディナ先生。


「顔に出ているぞ。上下関係というものがあるんだよ。」


「見た目に似合わず律儀なんですね、先生。」


「生徒になった暁にはたっぷりと可愛がってやるから覚悟しとくんだな。」


 こっわ!


「遠慮しておきます。」


 片手を前に出し明確な拒絶を行なっておく。


「遠慮するなって。まあ、確定事項だから心配しなくていい。」


 なんの心配だよ!俺はまだ始まってもいない今後の学生生活が心配になってきたんだが⁈


「まあいいや。それじゃあ、あそこの土壁を見ていてくださいね。」


 十メートルくらい離れたところに土壁を出す。


「む、無詠唱ですか。今から起こることを考えるとこんなことで驚いてはいられないのでしょうか。」


 いやいや。これを魔法学園の教師が無詠唱なんて言っちゃダメでしょ。

 今のは本当の意味での無詠唱じゃない。想像して魔法を使ったからな。

 だけど、ルロイ先生のようにカルディナ先生も生徒達も驚いている様子だ。

 まさか、世界でも有数の学園と言われているこの魔法学園でもこのレベルなのか?

 ヤバい。クオとレティに教えられた魔法ってハイレベル過ぎたのか?

 こうなってくると、魔法学園に来て正解だったように思う。


「それじゃあ、いきますよ。『ウィンドボール』」


 分かりやすいように魔法名を添えてゆっくりと不可視の弾丸を放った。

一般的に言われている無詠唱は声による詠唱や魔法陣を用いた詠唱をせずに想像だけで魔法を発動することです。これはスキルではありません。

スキルの無詠唱は想像すらも省略する、使ったことのある魔法を想像を省略して行うスキルです。

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