プロローグ7
「それはね、あなただよ」
「ーーッ!いやいや、クオにはなかったものとかそういうのはわからないけど、俺はそんな大層な人間じゃない。それだけはわかる、うん」
「クオにはなかったもの。それは対等な立場の存在、そしてそこに芽生える感情」
「ーーッ!」
そうか。クオは一人だったのか…。
確かにどういう存在かを考えればうなずけることではある。他の神たちもいるのだろうが、飽く迄も部下的な存在。他の神たちも対等には接することはできないだろう。
前を向いているクオの顔は見えないけど、その声音は哀しさをにじませるものだ。
「クオは世界のすべてを司る創造神。世界の中だと結果はすべて最良になる。……だけど、あなた相手にはどうしてもうまくいかなかった。説明していてようやく合点がいったよ。あなたは世界の外側に存在する。だから、この世界のものでは成り得なくても、対等になれた」
対等。
すべてが思い通りになるものと対等なんて不可能だ。だから思い通りにならないものをつくる。存在としては対等なのかもな。
だけどなんで俺なんだ?俺はこの世界の人間じゃないのか?
「確かに、そういう意味では対等なのかもな。だとしたら、俺はこの世界の人間じゃないのか?俺には人としての記憶があるんだが」
「あなたはこの世界の人間だった。多分、メーティスがクオと対等にするために、世界の外に存在する特異な、そして唯一の存在にした。だから今の貴方は何者にも、創造神のクオでさえ干渉できない存在だと思う。メーティスがどうしてあなたを選んだのかはわからないけど、でも、対等な存在になっている」
「その世界の外側?の存在になったとして、神様のトップと対等たりえるのか?」
「そうだね。いくら世界の外側であろうとも、自分より力の劣る存在に干渉できないはずがない。だとしたらメーティスがクオと対等になるように力を与えた、んだと思う」
だとしたら、メーティスとやらは口では説明できないような何か、だな。
俺の語彙力では神を超えるものをなんと呼んでいいのかわからない。
「この世界の中だったらダメだったのか?俺は元はこの世界の人間なんだろ?」
「メーティスは世界の最適を導きだせる範囲を世界の大きさにしているの。最適を導き出し存続させていくっていう意思だから、不確定要素を出すわけにはいかない。そして、世界にも大きさに合わせて容量がある。だから、世界の外側につくる分なら、クオと同等の力も与えられるんじゃないかな?」
今の状態が最適なところに、この世界で一番大きな力と同等の存在を創るとキャパを超えるってわけか。
「つまり、世界の外側にこの世界と同じ規模の存在をつくったと同義。その容量っていうのは、創りだせるものの総量とでもいえばいいのかな?だからその中で、世界にとって最良になるように創り、無くす。あなたの存在はあまりにも大きすぎる。最適化されてるとはいっても予備容量みたいなものはあるけど、それは飽く迄も予備。あなたはこの世界以上の容量があるからね。だってクオと対等になるように創られたんだもん。クオやメーティスは、世界の容量に収まるように力を調整してるけど」
「ってことは、俺もここにいるってことは無意識に力を調節しているのか?」
「ううん、違うよ。この世界の座標って言えばいいのかな?それをあなたの存在のある座標と重ねたの。力の調整はあなたもできるようになるけど、外側にいるからしなくてもよかったんだよ」
ここにいるならキャパ超えてるんじゃないかと思ったりしたが、そういうことらしい。
まぁ、確かに創造神なんかと対等な存在をつくったってぐらいだから、世界を重ねることくらいできる、のか?
まぁいいか。そんなこと対して気にするようなことでもないからな。
あと一話でプロローグ終わります。今日の十六時投稿です。
長くなってしまい申し訳ありません。
こうした方がいいんじゃないのか等の提案・ご要望、誤字・脱字報告などありましたらよろしくお願いします。
面白くなっていくよう努力いたしますので、今後もよろしくお願いします。