プロローグ5
「ストォォォップッ!!!」
「ッ?!」
「魔法に関してはそれだけ?他には?」
「えっ?!創造神《私》の事より魔法ですか?」
「そりゃもちろん!なんてったってみんなのあこがれ魔法だからね!」
何を言っているのか、この残念女神(仮)は…
対象が魔法であることを度外視しても、正直神の階級になんて興味はないのである。
だって俺に関係なさそうだしな。
「うっ」
「う?」
「うぁぁぁああん!!!」
あれ?泣き出した?
さっきよりも本格的に大泣きしていらっしゃる。
こりゃまずったな。いくら残念系といえどこんな絶世の美女に泣かれてはバツが悪い。
そしてそれを慰めてやれるようなイケメン力は俺にはない。それはもう皆無と断言できるほどにはな。
言ってて悲しくなるが。
しかし、どうしよう…。
確かにひどかったかもしれないが……
うん、慰めるのがんばるべきだな。
このまま泣かせたままにしてたら、なんだかもっとコミュ障加速していくような気がするのだ。
「わ、悪かったよ、ちゃんとクオリティアの話聞くから。な?魔法なんかよりクオリティアのほうが大切だから」
あれ?何言っちゃってんの俺?好きなあの子にも○○が大切なんて言ったことないぞ。
いえ、まぁ、いませんけども彼女なんて。あぁ、悲しくなってきた。
じゃなくて、めっちゃテンパってんじゃねえか俺!
「ホント?クオのこと大切?ちゃんと話聞いてくれる?」
「うっ!」
なんだ、このかわいい生き物は!さっきの大人っぽい完璧美女どこ行った!
なんか見た目も美女ってより美少女って感じになってるし。かわいすぎるだろ!
「あ、ああ。ホントだホント。クオリティアが一番大切だし話聞くから。な?泣くのやめよ?」
またまた何言っちゃてんの?一番とか初対面の相手に、どこのナンパ野郎ですか?
そしてこれが俺の限界です。これ以上の言葉はもう出てきません。コミュ障なめんな!
「クオって読んで?」
「は?」
もう素で返してしまうくらいには頭真っ白ですよ。
え、なんでそうなった?!
「呼んでくれないの?うぅ」
「呼びます!呼びますから、泣かないで、クオッ!」
「うんっ!」
なんだその笑顔は!太陽なんかよりもよっぽど眩しいぞ。あれは、夜行性の俺たちにとっては天敵だからな。
それはともかく、かわいいぞ!かわいすぎる!思わず抱きしめてしまったじゃないか。しかも、ギュッて抱きしめ返してきた。
やばい。天国って言われても信じられるな。
って、そういや神界だったなここ。
そろそろいろんな意味で、主に理性的な意味でヤバいから話を元に戻そう。
とても心苦しいが、この至福の...ゴホン、こんな美少女と離れたく...ゴホン、もっと抱きしめてほし...ゴホン。
ヤ、ヤバい、欲望がダダ漏れになるほどヤバい。沈まれ俺の理性!
見ろ、この世の中を何も疑ってないような晴れ晴れとした素晴らしい笑顔を!この笑顔を穢したら...ではなく、穢していいはずがない!
うん、がんばれ俺の理性!あの残念系を思い出すんだ!
「は、話はよかったのか?いくらでも聞くぞ?」
「あっ、そうだったね。どこまで話したんだっけ?」
頑張ったな俺の理性よ。………まだいつ暴走するかわからないけども。
ぜんっぜん、名残惜しくなんてないから!惜しくなんないからっ!
大事なことなので二回言いました。
「上級神までだよ。次はクオの話かな?」
「わかった!んしょっと」
なにしてるんですかね、この子は?あれ、俺がおかしいのだろうか?
「何してるんだ?俺の膝なんかに座って?」
「えへへ~」
かぁいい。うん、許す!許しますとも、えぇ!
何を許すのかはわからんが大切な何かを失った気がする。