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創造神の力で異世界無双  作者: TKG
異世界ディファード
36/221

神になればいいんだよ

 レティがワイバーンに聞いた山の前にやってきた。

 草原から見るとそこまで高い感じはしなかったが、目の前に来るとめちゃくちゃ高い印象を受ける。

 最初見たときは、異世界に興奮していて富士山よりも高そうなんて適当に流したが、そんなのが比にならないくらい高い。

 この山は周りに連なっている山々と比べると低いがそれでも富士山の三倍くらいに感じる。

 昔の記憶なので定かではないが、そのくらいの圧倒的な存在感を放っている。


「目の前に来て見ると想像以上にでかいな。出来るだけ麓にいてくれよ。」


 この見た目エベレスト以上の山を山頂までは登りたくない。


「そうだね。ちょっと探してみていなかったら、祠に行こっか。あそこに人族との連絡役の竜がいるはずだからね。」


 そんな近くに竜がいたのか。

 竜を倒しにいくのに竜に聞きにいくのは少し気が引けるが、竜たちは理解しているそうなので大丈夫だろう。


 それから麓の方を一時間ほど探したがどこにも見当たらなかった。


「やっぱり山頂の方にいるのか?絶対にいるんなら行ってもいいがいなかった時を考えるとな。」


「そろそろ見つけないと時間的にね。祠に行こっか。」


 あと一時間もすればお昼時だ。

 結構早く出て来たのにまだ何もできていない。

 まあ、ワイバーンは見つけたわけだが。


「祠は山脈と試練の森と深い森の境にある。」


 真逆じゃん!

 もう祠に着いた時には昼になってるよ。

 はあ。


「早く行こうか。『エンチャント・ウィンド』を使いたいくらいあるよ。」


 魔力を無駄遣いは出来ない。

 邪竜がどの程度かわからないからな。まだ俺達はレベル低いし。

『エンチャント・ウィンド』は風魔法の一つだ。

 魔法の作成をしている時に気付いたんだが、魔法の発動までのプロセスは五段階だ。

 1.魔力を集める。2.集めた魔力に属性を持たせる。3.魔法を選択する。4.対象を選択する。5.発動する。

 大体の魔法がこのプロセスで発動する。

 それに気付いた時、俺はプロセス2の状態の魔力を、即ち魔法になる前の魔力を体に纏ってみた。

 そうすると、属性によって違うがステータスに補正が出たのだ。

 これをエンチャントと名付けた。

 火魔法はSTRに補正、水魔法はDEXに補正、土魔法はDEFに補正、風魔法はSTRとDEXに微補正、光魔法はINTに補正、闇魔法はMNDに補正。

 風魔法は、スピードはSTRとDEX依存なのでこうなっているのだろう。

 補正は、微補正、補正、高補正、超補正があり、順に1.05倍、1.1倍、1.5倍、3倍だ。

 エンチャントはそれほど魔力消費が激しい魔法ではないが、時間経過とともに魔力を持っていかれる。

 なので、もう少し魔力が増えてからでないと不用意に使えないのだ。


「そうだね。歩きっぱなしで他に何もないのは辛いね。」


「ん。早く聞いて倒して帰る。」


 それから三十分ほど歩いてようやく着いた。

 この境に祠があってよかった。

 竜王山脈はもっと奥まで続いているので、一番奥だったりしたらもう帰っていたかもしれない。

 しかし、この状況は何だろう。

 祠に着いたのはいいんだが目の前では、ここの連絡役の竜なんだろうか?人の姿なのでわからないが多分そうだと思う。ここに来る途中にレティが竜族は人化するスキルを持っていると言っていた。

 その連絡役二人と美少女が言い争っている。

 美少女とは、クオとレティのことじゃない。

 しかし、連絡役二人もたじたじだ。

 もしかしたら、あの美少女は偉いのかもしれない。


「だから!いい加減にあの邪竜共をどうにかしないと試練に差し障りが出るでしょ!みんながやらないなら私がやるから場所教えなさいよ!」


「掟は守らないと駄目ですよ。邪竜であっても、翼竜であっても、同族間の問題でない場合他種族よりも同族に重きを置く。ただし、他種族に危害を加えたものに対しての報復は相手の意思を尊重する。その場合も手出しをしてはならない。姫様が守らなくてどうするんですか。この掟のお陰で竜族は他の種族と比べて数が少ないながらも結束して生き残れてきたんじゃないですか。」


 あの美少女は竜族の姫様らしい。

 とても偉かったようだ。


「そんなこと分かってるわよ!でも、このままじゃ王国との国交断絶もあり得るかもしれない。力だけを追い求めた堕ちた竜のせいで他の竜が迷惑を被るのはおかしいと思わないの!もうこれは同族間の問題よ!」


「確かに帝国とは友好関係にないので、接している人族の国で言えばあとは王国だけなので、王国との国交断絶はとても痛いかもしれない。それでも、竜が直接的な被害を受けたのではないなら同族同士で争うべきではないと思います。一度前例を作ればそれはもう後戻りできない問題となります。」


 両者の意見は食い違っているようだ。

 かたや同族を思うが故同族を打つべしと言う。

 かたや今までの同族の結束に亀裂を生むようなことは駄目だと言う。

 両方が竜族のことを思いやっている事はわかる。

 だが、あの姫様からは何か違う理由があるように感じる。妙な必死さというかなんというか。

 まあでも、竜族のことを思っているのも伝わってくるので気のせいかもしれない。

 そして、両方を解決できる存在がいるではないか。

 そう。

 何を隠そう、俺たちである。


「ちょっといいですか?尋ねたいことが」


「えっ?誰?人族なの?今忙しいから後にして。」


 あるのですが、と続けようとしたら遮られた。

 話しを聞いてもらえないようだ。

 でもここは積極的に行く。

 平和をこよなく愛する光太さんですからね。竜族のために一肌でも二肌でも脱いであげますとも。

 冗談はこれくらいにして、いい加減に時間が押しているのだ。

 早く倒して早く帰りたい。

 両方の意見を丸く収めるなんて二の次である。


「その問題、俺たちなら解決できますよ。ちょうど邪竜の討伐の依頼を受けてきた冒険者ですから。」


 姫様はまじまじと俺を見る。そんなに見られると照れそうだ。

 しかしそれもすぐ終わり、照れが顔に出る寸前で姫様は口を開いた。


「冗談なら後にしてよ。そんなこと言うから期待したけど、そのステータスでどうやって勝つって言うのよ。魔法スキルの数は多いみたいだけど上位魔法にすらなっていないじゃない。」


 どうやら俺のステータスを見ていたようだ。

 しかし、クオとレティは問題ないと言っていたのにどういうことだろうか。

 すると、レティが


「〔確かに今のステータスでは勝てない。でも、クオリティア様と私で相談した。その結果、一度本気を出す戦いを体験した方がいいという結論になった。〕」


 そう言った。

 連絡役二人と姫様はキョトンとしているが、俺は驚かずにはいられなかった。

 日本語だったのだ。

 俺はこの国の言語スキルを手に入れて以来、日本語を話すつもりで口を開いてもこの国の言葉と思われる言語になるのでしばらく日本語自体を聞いていなかった。この国の言葉に変換されるだけでなく、意味もわかるので不便はなかったから特に気にしてなかったが、久しぶりに、しかも突然聞くと驚く。


「ちょっと向こうで相談して来るので。」


 そう言って十メートルくらい二人を連れて離れる。

 目の前で相手が分からない言語で相談してたら失礼だし、怪しまれるだろう。


「日本語ってどうやって話してるんだ?無理なんだが。」


 どう頑張っても‘あいうえお’すら出てこない。


「それは、言語スキルがパッシブになってるからだよ。スキルによってはアクティブとパッシブ両方あるスキルがあってね、切り替えることが出来るんだよ。」


「ん。この場合パッシブは、話す言葉全てがその言語になる。アクティブは、例えば複数の言語を話せる場合、その切り替えが任意に出来る。パッシブでもアクティブでもこのスキルの本質である理解出来るというところは変わらない。」


「へぇ。この世界だと密談するときに便利だな。それで、いつ相談したんだ?あの時そんな時間なかったと思うんだが。」


「それはね、コータがあの二人と話しているときに念話でだよ。空間魔法にあるんだよ。距離に制限はあるけどね。」


 空間魔法は日常的にも便利なものが多いな。


「やっぱり魔法は便利だな。それもそうなんだが、今のステータスでは勝てないのに本気の戦闘ってどういうことなんだ?勝てないなら本気も何もないと思うんだが。」


「そうだね。でも、コータにはステータスを上げることが出来るよね。もし、危なくなったときにいきなり上げて力に振り回されて負けたりするよりも、出来るときに体験する必要があると思ったんだよ。クオかレティがいる時にだったら安心だし、これを早くしとくに越したことはないからね。」


 制限解除で完全に制限を無くすってことか。


「でも、それで上げても今のレベルじゃ邪竜相手だと弱いやつでも同じくらいの強さにしかならないから、もう一つダメ押しというか、完全に今ある力を発揮すれば間違いなく勝てるよ。」


 というか、邪竜強すぎだろ!

 弱い邪竜と同程度って、強い邪竜を想像したくない。


「制限解除は分かったが、俺にまだそんな力があったか?ま、まさか!俺には隠された力があるというのか⁈」


 クオが呆れた目を向けてくる。

 仕方ないじゃん。リアルに言えるタイミングがきたら言いたくなるじゃん。

 想像の中で「ま、まさか!」じゃなくて、現実で言えるんだから。


「はい、すみません。話の腰を折ってしまい申し訳ありませんでした。」


 一応謝っておく。

 だって、レティが無表情にこっちを見てくるから!怖いから!

 まだ、呆れた視線を向けられる方が居心地がいい。

 別にM属性があるわけではないからな!


「まあ、いいよ。それで、もう一つの内容なんだけど。」


 そう言ってクオが話したことは、俺が完全に忘れていたことでもあった。

 だって、この世界に来てからずっと俺にはその要素無かったし、他のことに気を取られてたから。

 仕方ないよね☆

 ゴホンッ


「神になればいいんだよ。」






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