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創造神の力で異世界無双  作者: TKG
異世界ディファード
30/221

理由

 

 宿に戻るとクオとレティは起きていた。


「遅くなって悪かったな。ちょっと迷子になってしまって」


「ううん。今さっき起きたところだから」


「そもそも時間取らせたのはこっち」


 クオとレティが小走り気味に駆けてきた。


「ん?違う匂いがする」


 と、いきなりレティがそんな事を言い出した。

 もしかしてさっき抱きついたときか?迂闊だったというか、レティの嗅覚が凄いというか。


「そうかな?クオはわかんないけど。それよりもこれからどうするの?」


「ご、ご飯食べながら考えようか。昨日のところに行くか」


「ん。お腹すいた」


 よかった。なんとか誤魔化せたようだ。

 しかし、今後気をつけなければ。まあ、今回の場合はもう会うこともないだろうし大丈夫だろう。


「そうだね。じゃあ、行こっか。」


 そうして、昼食を食べながら話し合った結果、魔物の森に魔物を狩りに行く事になった。

 ちょうど店から出る時に鐘がなったので、12時ジャストなのだろう。

 昨日はもう少し遅い時間だったので行けなかったが、今日はお試し程度だったら大丈夫だろうという判断だ。


 そして今、街に入ってきた時に通った門の前にいる。

 門から出る時にあの時の門番さんにお礼を言われた。

 俺は何のことかさっぱり忘れていたが、どうやらレティの話が本当だったようで、街道沿いにキュクロプスがいたようなのだ。


「あれ本当だったんだな。てっきり通るための嘘かと思ってた」


「心外。襲ってきたのは倒した。けど木陰に隠れている奴もいた。嘘を吐くにも真実を混ぜると信憑性高まる」


「全部一撃で倒してたから、あんなに門番達が慌てる理由がわからなかったし、どれがキュクロプスか未だにわからんからな」


「キュクロプスは一つ目のでかい奴だよ。それよりも、コータ。その剣どうしたの?」


「ああ、熊さんのところに行ったら勧められたから買ったんだよ。使わないって言ってたのに悪いな。金貨二枚だったから、今度一枚持って行く約束なんだ」


「別にいいよ。武器見に行くの勧めたのクオ達だし、ミスリルの剣が金貨二枚なんてお買い得すぎるからね」


「その剣だったら安心」


「やっぱり安いのか。今日は稼いぐぞ、早く支払い終わらせときたいし」


 と意気込んで一時間半。

 案外遠かったと思いつつ、魔物の森に着いた。


「足元に気をつけてね。魔物にばかり気を取られてると転けちゃうから」


「前に出過ぎたら駄目。初めてだから失敗するかも。フォローし辛くなる」


「わかった。指示をお願いしてもいいか?その通りに動くようにするから」


 緊張で力んでるのが自分でもわかる。

 魔物相手の戦闘が初というのもあるが、今までは突発的なものだったからな。自分から積極的に行くとなると違うということだろう。

 森の中に入っていった俺達は予想よりも早く、すぐに魔物を見つけた。


「あれはゴブリンだね。個体で見れば弱いんだけど、集団戦をしてくる魔物。人間ほど頭は良くないんだけど、大体五〜六体で行動して連携してくるの。時々、罠も仕掛けたりするから油断禁物なんだよ」


 弱いけど連携してそれを補うのか。

 人間に近い事をするんだな。もしかしたら真似ているのかもしれない、なんて思う。

 今も、木や石でできた斧や槍などを持っている。

 一体だけ人間から奪ったであろう錆びた鉄の剣を持っている個体がいるな。


「鉄の剣を持ってるのはゴブリンリーダー。統率できるだけゴブリンより、頭がいい。後ろから指示を出したりする」


「定石通りならまずはリーダーをやっつけてから、統率が取れなくなったところを各個撃破かな。今回はクオ達がゴブリンの動きを止めるから順番に倒していってね」


「了解」


 俺が返事を返したのを合図に、クオとレティは魔法を発動する。


「じゃあ、いくよ。《ディメンションパイル》」


「《シャドウバインド》」


 レティの影で縛るのは分かりやすいが、クオの魔法はゴブリンが直前の格好のまま固定されている風にしか見えないのでシュールだな。

 俺は動きの止まったゴブリン達に次々トドメを刺していく。


「ッ!...やっぱりあんまりいい感触じゃないな」


 首を切断する感触や、そこから血が飛び散るのに思う所がないわけではないが、最後までやった。

 やらないと生きていけないというのが大きいが、やらなくてもクオとレティは何も言わないだろう。

 だが、自分だけやらずにクオとレティにだけやらせるなど、そんな自分が許せそうになかったのだ。


「頑張ったね、コータ。格好良かったよ!」


「ん。かっこよかった」


 そう言ってもらえて、胸に仕えていたものがスッと落ちていくような気がした。

 生き物の命を奪う行為に躊躇いを感じていたのかもしれない。いや、感じていた。

 それがレベルアップの為だとしても、この世界では生きていくための行為で、魔物による災害の防止にもつながる。

 自分が納得できるように、自分の行為に正当性を持たせるために色々と考え込んでしまった。必要なことだとは理解していたつもりだったが、いざ自分に降り掛かるとその事を重く認識させた。


 これからも俺は魔物を倒していくだろう。自分のレベルアップの為に。

 それは仲間を、クオやレティを守ることに繋がると信じて。



 その後、一時間半くらい魔物を倒して街に帰った。

 オークやゴブリンは、魔石くらいしか素材にならないので、それだけ剥ぎ取り他は燃やした。

 宿に着いてからは、作業的に食事をとり汚れた体を軽く拭ってから泥のように眠った。


サブタイ変えました


意味→理由

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