プロローグ3
「何か勘違いをされていそうなのですが、先ほど言ったことに嘘はありません。なぜか私のことが見えているようですが...」
また憐憫の視線を送りそうになったがぐっと堪えた。話進まんからな。
「遅くなりましたが自己紹介を。私は事実神ですが、神は他にもいます。ですが、その中で一番偉く他の神を纏めるもの、最高神たる創造神が私、名をクオリティアといいます。ここは神界、神の住まう場所」
目の前の美女、いやクオリティアが名乗った瞬間、最初のような不思議な感覚に襲われた。
もしかしてこの神々しさってパッシブじゃなくてアクティブなのか?なんて的外れな思考がよぎったことは秘密だ。
「神とは、概念すべてに存在するもの、それを司っている者のことです。それは根本的に人間や他の生き物とは在り様が違います。神は、その概念が生まれた瞬間にそのすべてを知り、扱い、完全なるものとして生まれてくる。それ故に神とは、司るものに対して絶対的な力を発揮します。剣神であれば誰であろうと到達できない理不尽な剣技。鍛冶神であれば、打った剣は名の知れた名剣でさえ、豆腐に箸を入れるよりもすんなり両断します。商業神であれば、道端の石ころをがめつい貴族でさえ大金を積ませることができます。ただ、須らく物事には成長、進化、昇華など例外もありますが」
まぁ、話半分に聞いても凄いとは思う。
神というものを信じていないわけではない。そもそも、宇宙人だって信じている。いや違うな。存在を信じるとかじゃなく、可能性があることを頭ごなしに否定したくないだけだ。
大体、見方を変えれば俺たちだって宇宙人だ。宇宙人いない派は、何をどう考えていないと言っているのかがわからない。
神だってそうだ。人よりもすごい存在がなぜいないと言い切れる。人は自分たちが一番すごいと思い込んでいると思う。宇宙は人が理解できないほどに広い。そんな中に人が認知できないものがあってもおかしくない。
まあ、この考え方には一つ欠点がある。いないという考えだって否定できないからな。
しかし、いないと考えるよりも、いるかもしれないと考えるほうが人生を楽しめている気がするのだ。勝手だとは自分でも思うけどな。
で、さっきは神なんか言っちゃって~、とか馬鹿にしてたが、それとこれとは話が別だ。
神がいる可能性には諸手を挙げて賛成な俺ではあるが、この残念系美女が神かどうかは甚だ疑問なのだ。
俺の中では残念系なのは確定だし、そもそも神を見たことがないから判断材料が少なすぎる。
いや、待てよ...本当に神だったら残念系じゃないのか?
うん、やっぱり残念系だな。
今のだって最後のなんだよ!最初は神すごいぞーって感じだったのに、商業神のこと馬鹿にしてるだろ?!単なる詐欺じゃねぇか!確かにすごい感じはしたがもっと言いようがあったとおもうんだ。
残念系確定だな。