初めての魔法
「室内でも問題ない、灯りを出す光魔法のライトにしよっか」
「ついに俺も魔法を覚える時がきたんだな!」
今、俺達は宿の部屋にいる。
朝食はパンにコーンスープのようなもの、焼いたベーコンにスクランブルエッグ、飲み物は牛乳だった。
普通に美味しかった。
だが、「定番って感じがいいな」と口から出てしまい、またとても眩しい笑顔を向けられたりもした。
そんな一幕はあったが、概ね平和に過ぎていった。
そして今、部屋に戻ってきている。
何故かと問われれば、念願の魔法の習得のためだと声を大にして返してやろう。
と言っても、宿に被害を出すわけにもいかないので、そんな心配のない魔法の習得をする事になったのである。
「ん。今回は攻撃性のない魔法。でも、魔法はイメージ。MPを注ぎ過ぎたり、光魔法だったらビームみたいなイメージしたら攻撃性を持つから注意」
「なるほど、魔法はイメージなのか。じゃあ、魔力を灯りに変えるイメージでいいのか?」
「うん。だけど、人間はイメージしやすいようにそれを詠唱で補っているみたいだね。イメージを言葉で補完して、その言葉の内容の現象を起こしてるの」
詠唱が存在するらしい。
聞いて思ったが、詠唱もしてみたいが人前では恥ずかしすぎる。
俺の場合、教えてくれるのがクオとレティという神様、レティに至っては属性神という最高の師だったから良かったが、勇者なんてこの世界の、詠唱デフォの人間に教えられるんだから、疑うことなく、羞恥に顔を染めながら詠唱してるんだろうな。
「でも魔法はイメージ。完全記憶があるから一度見れば簡単だよ。ってことで、使うから見ててね。…『ライト』」
クオが魔法名を唱えると空中に光球が現れた。
窓を閉めていたので薄暗かったが、徐々に光量が強くなり程良い光量で止まった。
「この魔法は、注ぐ魔力の量で光量と時間を調節できるの」
「実際やってみるといい」
「よっし。やってみるか」
まず魔力を少し集める。これは昨日も似たようなことをしたから、もうお手の物だ。
それを光に変えるイメージ。
光に、光に。よし!掌の少し上に光球が現れた。
徐々に魔力を強めていく。それと比例するように光も強くなっていく。
「ある程度、魔法を発動する場所、つまり魔力を集める場所は自由度があるよ。でも、距離が離れ過ぎたりすると操作が難しくなったり、魔力消費がすごくなったりするからね。…それと攻撃魔法になると別で、飛ばせば良いだけだから、操作とかは殆ど関係ないかな。そっちの方がスピード早いから。魔力操作スキルのレベルが上がると魔力消費を抑えられたり、操作がスムーズになったりするよ」
クオの説明を聴きながら少し離れたところに移動させたり、戻したりしてみる。
ありゃ、消えてしまった。維持も慣れないと難しいみたいだ。
さっきの感じでもう一度。
「おぉ。完全記憶のおかげかスムーズに出来たな」
「ステータス見てみたら?念願の魔法が出てるはずだよ」
「見てみるか」
コウタ タカハシ LV.8
種族:人族《神人》
年齢:16 性別:男
HP:588/588《1647/1647》
MP:294/294《775/775》
STR:42《56 (5)》
DEF:28《49(5)》
DEX:21《35(5)》
INT:28《42(5)》
MND:21《28(5)》
才能値《制限》
STR:6《8》 DEF:4《7》 DEX:3《5》
INT:4《6》 MND:3《4》
固有スキル
《【創造LV.EX】》
《【最適化LV.EX】》
《【完全記憶LV.EX】》
《【神力変換LV.EX】》
《【神眼LV.EX】》
《【神化LV.EX】》
《【制限解除LV.EX】》
特殊スキル
【取得経験値5倍加LV.EX】
【取得スキル経験値5倍加LV.EX】
《【取得経験値10倍加LV.EX】》
《【取得スキル経験値10倍加LV.EX】》
《【言語理解LV.EX】》
《【限界突破LV.EX】》
技能スキル
【アビド王国語LV.3】
【鑑定LV.1】
【魔力操作LV.1】
《【偽装LV.10】》
魔法スキル
【光魔法LV.1】
【無詠唱LV.1】
称号
《【創造神の寵愛】》
《【異世界人】》
《【世界の外側に存在する者】》
《【理に縛られない者】》
《【超えし者】》
《【至りし者】》
EXP:990
「おぉ、増えてる。これで俺も魔法が使えるようになったんだな。魔法使いコータの誕生だ」
「魔法は使えるようになったけど、注意点があるの。さっきは分かりやすく魔法名言ったけど、戦闘中に使う時は、魔法名だけはいって欲しいかな。魔物戦だけで良いんだけど、仲間が使う魔法が分からないと連携しづらいからね。人間相手だとまた別だけどね」
「そういう事だったのか。戦闘中に声出してるけど別の時はえいっ、だったからな」
「そうなんだけど、今の言われ方は納得できないよ。」
事実なんだが気に障ったらしい。
「俺はかわいいから良いと思うけどな」
「えへへ〜」
「クオリティア様チョロい」
「事実だから!クオがチョロいんじゃないからな!」
レティ恐ろしい子。まさか目の前で言うとは。
まぁ、俺も思ったが。
思わずフォローしてしまったじゃないか。
「じゃあ、次は武器屋だね。少し魔石売って剣でも買おっか」
俺達は、一階で看板娘に武器屋の場所を聞いてそこに向かった。
まだ眩しい笑顔で怖かったことを追記しておく。




