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創造神の力で異世界無双  作者: TKG
異世界ディファード
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ここ数日遅くなってしまい申し訳ありません。

 

「ここからは一層気を引き締めていくぞ。どこから敵が来るか分からないからな、単独行動なんて厳禁。密集の縦隊を維持だ。」


「なあ、本当にセレスティア様を襲ってくる敵ってやつは来るのか?」


「まあ、さっきも襲われたわけだしほぼ確実だろうな。」


「ですが、コータがいるので安心ですね。」


 ティアがそう明るく言ってくれる。

 場の空気が重くなりすぎないようにだろうな。ありがたい。


「ま、魔物とかは大丈夫だったけど、人は分からないからお、お願いするね?」


「任せとけ。俺は竜をも倒そうとしてるんだぞ?そこら辺のひよっこ暗殺者になんか負けるはずないからな。」


 とは言ったものの、真の敵である人間を相手にしたことのない俺がどこまで出来るのか。

 果たして、本当にギリギリの戦いになった時に必要とあらば息の根を止めることが出来るのか。

 そんな不安ばかりが今になって頭を過り出す。


 しかしそんな弱音ばかりは言ってられない。

 俺が言い出したことで三人を危険に晒しているということが際立って大事なんだ。

 擦り傷の一つもさせるわけにはいかない。


「仕方ないか。今の状態じゃどう考えても魔力足りないからな。」


「何かするの?」


「ああ、俺のとっておきだ。」


『制限解除』『神化』。

 流石に声に出すのは憚られるので心のなかで。

 この状態なら広範囲に空間把握を張り巡らせて、尚且つ攻撃にも魔力を使えるはずだ。

 いくらなんでもさっきまでの状態で自分とティアだけならともかく三人は無理だと思うし、王女を狙いに来るような敵を舐めすぎだ。


「『テリトリーグラスプ』」


「なっ、これは魔力⁈まさかお前なのか、コータ…」


 へぇ。強すぎる魔力は、魔力感知を持っていなくてもある程度魔力に精通している者ならば感じ取ることが出来るみたいだ。

 キャロルも声が出ないと言わんばかりに驚いている様子だ。

 因みに、テリトリーグラスプはただの空間把握の魔法に魔法名を付けてみただけです、はい。


「どうですか、敵はいますでしょうか?」


「いや、いないな。ちらほらとファングウルフならいるんだが、敵らしい気配は特に……いや、これはうちの生徒か。」


 四人の人間と思しき反応を見つけたが、恐らくこれは学園の生徒だ。

 移動の仕方の拙さもそうだが、何よりその中の一人を俺は知っている。

 魔法学園の試験の時にレティに敗れたリロンコだ。

 こんな緊急時に名前を間違えてなんていられないからな。


「ん?これか?」


「この濃密な魔力の魔法でさえ詳しい場所が分からないのか?」


 多分だが、敵は空間魔法を使って身を隠している。

 街で襲われた際、素早く逃げ切ったことからそう仮定した上で、空間把握で探っていると明らかに怪しい場所が一つ。

 そこは一切の何もかもがどこにあるか分からない状態だった。

 つまり、何らかの手段でシャットアウトされている。


「でも、これは…固有スキルってことか?」


「どういうこと?」


「自分で言うのもなんだけど、今結構全力で索敵してるから並大抵の魔法では俺の索敵からは逃れられないと思うんだよ。」


 今の状態の俺の魔法であれば、たとえ空間魔法なんかで領域干渉を行なっていたとしても完璧に中の状態を悟らせないのは難しいはず。

 それが出来るのは、特化した固有スキル。

 それともう一つ。考えたくはないが、俺より圧倒的に強いか、だ。


「この規模の魔法から逃れるのは相当の技量、又は相応のスキルがないと無理でしょう。」


「つまり強いのがステータスか、スキルかってことか。」


「そういうことになるな。」


 さて、どうしよう。

 敵がいると思しき場所は分かった。恐らくその空白地帯だろう。

 懸念要素としては敵の一切が分からないこと。

 敵の戦力も分からなければ、数も分からない。もしかするとその場所が囮で向かったら背後から、なんてこともあるかもしれない。

 かといって、相手に先手を打たせるのも危険が伴う。


「一応、敵の居場所(仮)を確認しとくか。『ハイパーオピア』……やっぱりというかいないな。」


「正確には見えないといった方が正しいのかもしれませんね。」


 ハイパーオピア、遠視の魔法だ。

 これまた転移の特性を応用して作った視覚を飛ばす魔法なのだが、俺がいると仮定した場所に敵影はない。


「ッ⁈嘘だろ⁈」


「どうかしましたか、コータ?」


 移動している。

 これは確実に敵がいる。

 空白地帯そのものがこちらに向かって移動してきている。


「敵ながら感心するな。そんな使い方があるなんて思いもしなかったぞ。」


「何を言って」


「さて、敵が一直線にこっちに向かってきているから三人には俺の疑似結界の中に入っていてもらう。魔力を注ぎ込みまくった特別仕様だから破られることはないと保証しよう。」


「だ、駄目だよ!その人達、すごく強いかもしれないんでしょ⁈一人でなんて危険だよ!」


 それこそ駄目だ。敵の強さが分からない以上、バラバラに守るのは無理かもしれない。

 せめて一箇所にまとまっていてもらわないと。


「キャロル、私達では力不足なのです。あまりコータを困らせてはいけませんよ?呪うなら今力がない自分自身を呪いましょう。私も含めて。」


「で、ですが!っ⁈」


 ティアはいつも守る守られると言っているが、本当は悔しいのかもしれない。

 守られるということが、見ているだけというのが辛いのかもしれない。

 笑顔の前で強く握られ震える拳がそう語っているように見えた。


「時間がない。文句なら後で聞いてやるから疑似結界の中で存分に考えといてくれ。『スペーシャルイソリューション』!」


 キキンッ!!!


 また針か。

 直前まで詳細な居場所が掴めなかったせいで対応が取れなかった。

 魔法発動が後一瞬遅れていたら誰かに当たっていたかもしれないな。


「たった一人を殺すためにこれだけの人数を送り込んでくるとは、帝国は余程人材が豊富らしいな。」


「また失敗だわ。いい加減にしてもらえない?邪魔もほどほどにして欲しいんだけど。」


「おいおい、もうその針のお遊びやめた方がいいんじゃねぇのか?」


「お前たち集中しろ。そんなだから失敗するんだぞ。」


 俺の鎌かけには完全スルーだな。ここでゼスティル帝国の仕業かどうか判断出来たら楽だったのに。

 それにしてもにー、しー、ろー…十人も送り込んでくるなんて、どれだけティアのことを重要視してるんだよ、ったく。

 それにしてもこいつら勇者か?

 十人中四人が黒髪黒目。神崎の時のように知っている奴こそいないがこれはどうなっているんだ。

 残りの六人はこっちの人間だろうが、さっきからピクりとも動かない。


「おい、根暗!さっさとこの男の情報をよこせ!」


「ッ⁈だ、駄目…な、何も分からない…」


 ツンツン髮のヤンキーが大人しそうな女の子に怒鳴りつける。

 なんの話だ?俺はこの女の子のことなんて知らないし、向こうも知らないはず。

 鑑定されているにしても俺の隠蔽は最大レベル。上位鑑定であっても見抜かれないはずだ。

 ま、まさか勇者ということは…固有スキル関連か!


「あ?それはどういうことだ。」


「それって久々の上位種族じゃないの?」


「なるほど。これ、俺たちの手に負えなくないか?」


 ツンツン髮を始め、他二人も推測を話し出す。


「なあ、質問いいか?」


「あ?なんだよ、死に様くらい自分で選びてぇってか?」


「お前ら帝国の間者だろ?帝国はなんでティアを今更狙うんだよ。」


「そんなの決まってるだろ。そいつが神崎の側をうろちょろして迷惑してるからだよ。」


 神崎?こいつら神崎のことも知ってるのか?

 いまいち話の流れが読めない。


「あいつの力は勇者の中でも別格だ。最初は従わなければ殺そうとも考えていたらしいが上も考えも変えたみてぇでな。」


「おい、話しすぎだ!」


「別にいいんじゃない?上位種族くらい今までも何人か殺ったんだし。この男も殺ってしまえば問題ないでしょ。」


「不意をついて、弱点を突いて、弱みを握って。それでもボロボロになってだがな。魔力感知なんてない俺でも分かるこの魔力、勝算あるのか?」


 警戒レベルマックスだな。

 なんだよ、上位種族をやったって。

 でも、やはりこいつらは勇者なのか。なんか一人は今にも逃げ出しそうだし。


「『スペーシャルイソリューション』」


「ッ!何しやがった、テメェ!」


「いや、ちょっと逃げられたら困るからな。そこの女の子今にも逃げそうだったから。」


「………。」


 悔しそうな表情をしているが、誰一人として逃す気はない。

 果たして上位種族に勝てるような相手に勝算があるのかは俺が問いたいところではある。

 しかし話を聞く限り、色々と画策した上でということなので俺にも勝算はあるはずだ。


「おい、根暗!早く俺を隠せ!使わないとこんなに連れてきた意味ないだろうが!」


「『自己空間発動』。」


 ツンツン髮が叫び、言われた女の子が詠唱をしたと同時に消えた。

 なるほど、この空白地帯な感覚。さっきと同じだ。

 これは彼女の固有スキルだったのか。

 で、もう一人の女の子が固有スキルではないと思うけど針と毒を使った攻撃、隠れた男と目の前の男の攻撃は不明、か。


「ハハハッ!これで俺は無敵だぜ!『切り裂け』!」


「この声。そうか、思い出したぞ。パーティでティアを襲ったやつと同じ声だ。」


 俺がメアリーさんに回復魔法をかけている後ろで、取り押さえられて喚き散らしていたやつと同じ声だ。

 言葉遣いなんかに違和感は感じるが、そこは固有スキルを使う上での補正か、言葉に気をつけたりしていたんだろう。


「というか舐めてるのか?こんな速いだけの魔法でやられるわけないだろ。」


「なっ⁈剣で斬った⁈」


 いや、このくらい魔法との親和性の高いミスリルの剣なら出来るだろ。

 少し魔力を纏わせてひょいって斬ったらいいだけじゃないか。


「ツンツン髮のスキルは恐らく人を操作する系のものだな。で、使っている最中は無防備になるから隠れたと。」


「おいおい、バレてるじゃないか。」


「クソったれ!さっさと死にやがれ!『切り裂け』!」


 いや、一度目でまったく効かなかったんだから二度目もないだろ。

 流石に変えろよな。それか少しフェイントを入れるとかさ、何かあるだろ。

 しかし複数人操ってくるのは厄介だな。

 それに隠れられては面倒だ。


「さて、どうしようかな。」

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