プロローグ2
ンっっっな訳あるかァァァアアア!!!
えっ、なんで悲しい思いにさせてくれちゃってんの?さっきから悲しい思いになってばかりなんですけど。それが目的だとしたら200%成功してるわっ!
………。
ちょっと落ち着こう。悲しくなりすぎて、今までで一番力の入ったツッコミだったかもしれない。
でもよく思い返してみると冗談で言っているようには聞こえなかった気もする。
最初はちょっと神々しかったし。わざとらしい部分もあったがな。
よし、試してみよう。まず回れ右!後ろを向いたまま話しかけてみよう。
次の反応次第で色々とわかる筈だ。
「悪い悪い。誰もいないのに声が聴こえたから幻聴だと思ってな。ついに耳までおかしくなったかと思いたくなかったんだよ。だから、聴こえなかったことにしたくってな」
「それは私も配慮が足りませんでした。そうですよね、申し訳ありません。生物というものはより高次の存在に存在するものを認識できませんから。しかし、高次のものから干渉した場合のみ、色々と条件はありますが感知できるようになりますからね。まぁ、例外もありますが」
もう悲しみません。いくら俺が平凡な顔つきだからって、そこまで言います?自分と違いすぎて後光が差して眩しくて見えない~ってか?ウルセェよ!
まあ、冗談はこれくらいにしてと。
これはあれですね。中身残念系ですね、はい。厨二臭いことを本気でおっしゃってらっしゃいますです。わたくしもですね、過去にはありましたとも。黒き焔よーとか、覚醒せよなんちゃらーとかね。でもでも、完璧な美女が真面目な顔でそんなこと言われるともう、ね。美女とか関係なく親近感わいてきちゃうレベルだよ。
つい、振り返って憐みの視線を送ってしまうというか。
「そんな目で見ないでください。何を勘違いしているかわか...……あ、あれ?なんでこちらを見てるんですか?も、もしかして見えてます?まっさかぁー、あはは、同じ神でも認識できないことがあるのに。まぁ、神にもピンキリありますからね。それでも、人間が認識できるなんて...」
思いきり素が出てるし。しかも神なんて言っちゃってるし。最初の感じだったら信じてるかもしれんが、今はもう無理だな。いくら美女でもコミュ障も発動せんわ。美しさだけは神がかってるがな。
さっきよりも強い憐憫の視線を送ってしまう。
「うっ、ごほん。本当に見えているようですね。それならそうと最初に言ってくれれば」
素が出ていることに今更気づいたようで、佇まいを正して話し出した。本当に残念すぎる。
もう取り繕えてないけどな!
しかし言えない。コミュ障を拗らせ話しかけられず、更には残念系美女と思っているとは...