分岐点?
主人公にとって重大な分岐点が待っていますwww
クオリティアは落ち着きを取り戻したあと、俺から離れない。
最初は心配をかけさせてしまった罪悪感と俺自身嬉しくもあるので好きにさせていたが、レティの話も、当初の目的のレベルアップも、門が閉まる前に町に行くことも全部進まない。
なので、ここは心を鬼にしてクオに離れてもらおうと思う。
「クオ、レティの話もそうだが、早く町に行かないと行けないだろ?だから一旦離れてくれないか?」
「イヤ…だけど仕方ないね。クオの我儘で野宿なんて事になってコータに嫌われたくないからね。我慢するよ」
「そんな事で嫌いになったりするわけないだろ?レティは町に着いてからでもいいか?」
「ん。問題ない。私は今日じゃなくてもいいから」
「じゃあ早速行こうか」
「あっ、待って。レベル上げてないよ。このまま町に行ったら何の為に森に入ったのかわからなくなるもん。泣く為に入ったのかって言われても不思議じゃないんだよ」
クオは自重気味に言った。
冷静になってきて少し気不味さでも感じているのだろうか。
俺はその気不味さをなくす為に冗談で返す事にした。
「町に着いたら幾らでも抱きついてきていいからな。俺の胸を貸してやるぞ」
「もうっ!からかわないでよ。クオはそんなに子供じゃないんだから」
「さっきは離れるの嫌って言ってたの…うおっ」
言ってたのに、と言うタイミングで横からなにかが抱きついてきた。
まぁ、一人しかいないが。
クオは離れたあと正面にいた。
レティは斜め前にいたのだが、クオに冗談を言う際に手を広げながら言ったので丁度視界から外れたのだ。
だから、気がつかなかったんだが…
っていうか何してるんだ?
「レ、レティ?何してるの?」
「クオリティア様がギュってしないなら私がしようと思って」
は?何を言っているんだこの神様は。
そう思っていると、レティが顔を目をこちらに向けた。
なるほど。
どうやら、レティも同じ考えだったらしい。
「そうだな。町に着いてもクオが抱き着いてくれないなら代わりにレティに頼もうかな。俺も寂しいし」
「ん。いっぱいギュってしてあげる」
「二人して何言ってるの?…ダメだからっ!二人だけでそんな、ホントに寂しいならクオもするから!」
多分、最後の方は何を言ったのかわかってないんだろうな。
勢いに任せて叫んでしまっている。
だがやめない。今この瞬間はこれからどれだけクオとイチャイチャ出来るかが掛かっているのだ。
そう!未来を決める重大な分岐点なのだ!
冗談はさておき、そろそろ気不味さもなくなってきた頃合いだろう。
「何をするんだ、クオ?」
「ギ、ギュッてしてあげるからっ!クオもするんだからっ!」
もう自棄気味だな。そろそろ止めないと逆に嫌われそうだ。
「ありがとう、クオ。でも冗談だ。な、レティ」
「ん。クオリティア様のこんな表情新鮮」
「えっ、冗談?どういう事なの?」
「クオが気不味そうにしていたからな。別に気にしなくていいのに」
「そ、そうだったんだ。びっくりしちゃったよ、もう。でもありがとね、お陰で気不味さなんてどこかに飛んでいってしまったんだよ」
もうさっきの表情は鳴りを潜めている。
いつものクオの表情だ。
「そりゃよかった。頑張った甲斐があったな、レティ」
「ん。でも、頑張っていたのは光太。私は抱き着いていただけ」
「そんな事ないぞ。な、クオ」
「うん、レティもありがと。でも、いつまで抱き着いているの?そろそろ離れてもいいんじゃ」
「ん。忘れてた。結構居心地いい」
居心地ってなんだよ。俺は休憩所か何かか?
「ダメだからね!次はクオなんだから。レティはその後だからね」
「仕方ない。次はクオリティア様に譲る」
そう言ってレティは離れた。
「いやいや、どんな会話だよ!大体、クオはいいのかそれで」
「え?クオはコータがいてくれれば何でもいいよ。別にコータ独り占めする気ないし」
「光太が嫌ならしない。嫌?」
「嫌な訳ないじゃないか。美少女に抱き着かれて嫌な男などいないに決まっている!」
「ん。なら無問題」
「いいのか、それで?いや、考えるのやめよう。みんな幸せでいいじゃないか、うん」
「うんっ!みんな幸せだよ」
「ん。幸せ」
俺はまた何か大切なものを失った気がした。




